空想大河ドラマ「小田信夫」第3回~黒田城攻め | 日々のダダ漏れ

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空想大河ドラマ
「小田信夫」




第3回 「黒田城攻め」

柴田は黒田城攻めを前に、敵城内に「鼻薬を効
かせた」内通者がいると自信満々。信夫は「鼻
薬」とは何かが気になる。さらに、満たされない
自らの人生に思いが至り、城なんか攻めてどう
するのかと内省する。目指すは「天下布武」と励
ます明智だが、「布武」の意味が誰にもわからず、
話しはそれていくばかり。出陣の日、信夫は「人
間五十年」を踊ろうとするが誰も見に来ないので
明智に怒りをぶつけるのだが…。


**********

柴田) ムラカタには鼻薬をかがしておきま
   したゆえ、小田に傾くのも、時間の問
   題かと思われ申す。
明智) さようか。
   オヤカタ様。黒田城攻めのご決断を!
   甥の、信良様とて戦国の子、
   きっと分かって下さります。
家臣) オヤカタ様!
家臣たち) オヤカタ様!
信夫) 明朝、
   夜明けとともに黒田城に向け出陣する!
   皆の者、戦の支度をせい!
一同) はっ!
信夫) 明智、柴田よ、お主らは残れ!  
   策を練るぞ。
明智・柴田) はっ!


明智殿の説得により、
我がオヤカタ様、小田信夫は、
黒田城攻めをご決断されたのでございます。


**********

明智) 本当にムラカタはこちらに傾くのだな。
   この戦、ムラカタの出方一つにかかって
   るといっても過言ではないのだぞ。
柴田) まあ、大船に乗った気でおられよ。
   わしが鼻薬をかがせた時のやつの顔を、
   みんなに見せてやりたかったわ。
明智) オヤカタ様、それがしが先方として、
   黒田城に攻め寄る。オヤカタ様と、柴田
   殿は、本能寺辺りの寺で待機頂く。
   ムラカタ殿が反旗を翻し、丹羽殿と共闘
   し、黒田勢を城から追い出す。そこを、
   オヤカタ様と柴田殿で討つ。
信夫) うん! おおかたはそれでよいであろう。
明智・柴田) はっ!
信夫) しかし! 一つ疑問がある。柴田!
柴田) はっ。何でござりますか?
信夫) 鼻薬って何?
柴田) えっ?
信夫) 鼻薬、よいにおいがするの?
柴田) よいにおい?
明智) 恐れながらオヤカタ様。
   鼻薬とは、賄賂の事でございます。
信夫) このうつけが! 
   そんな事は分かっておる。
   そうじゃなくて、そのもととなっておる、
   鼻薬のにおいをかいでみたいのじゃ。
明智) 鼻薬をかぎたい?
信夫) うん。どんなにおいがするのか、
   さっきからず~っと考えておったのじゃ。
柴田) ずっと?
信夫) 多分、ス~ッと甘い香りがすると思う
   んだが、どう思う?
柴田) えっ、拙者ですか?
信夫) うん。
柴田) あ~…
   草みたいなにおいじゃないですか?
信夫) 草?
柴田) 草っていうか、その…漢方薬みたいな。
信夫) それはないな。
柴田) 何ででございます?
信夫) だってかいでみたいか? そんなの。
柴田) いや、かぎたくなくても、薬だから。
信夫) ハハハハハハ! おかしい、おかしい。
   そんな草のにおいかいで、何で裏切っ
   たりするんだよ。ハハハハハ…。
明智) 鼻薬ってそもそも、鼻の薬ですか?
信夫) えっ?
明智) 鼻の薬なのか、鼻から使う薬なのか、
   どうなんだろうと思って。
柴田) いや、拙者も思うんですが、
   「はな」って鼻だと思ってるけど、
   野に咲くお花の可能性もあるかなって。
信夫) お花の薬って事?
柴田) それだと夢があると思いませんか?
   武将って普段は殺伐としてるじゃない
   ですか。殺すとか殺されるとか。
   物騒でしょ?
信夫) まあね!
柴田) お花のにおいをかぎたくなる事も
   あるのかなって。
明智) ああ、あるよね。戦場でさ、こう、
   フッと、花のにおいとかすると、
   癒やされるよね。
信夫) 癒されてどうすんだよ! えっ?
   武将だぞ? 相手を傷つける事が仕事
   の人が、癒されてどうすんだよ!
明智) 必要でしょう。だっていろいろ傷つ
   くじゃないですか。血生臭い戦をする
   んですよ。そんな時にこう、花の香り
   をかいで、落ち着いた気分になりたい
   じゃないですか。
信夫) え~そんな事ある? だってぐっちゃ
   ぐちゃだよ、戦場なんて。そんな所で
   お花のにおいかぎたくなんの?
明智) かぎたいよね?
柴田) うん。えっ、オヤカタ様は、
   そんな事ないんですか?
信夫) えっ…わしはほら、ほとんど陣の中
   にいるから、前線の事は知らないから。
柴田) ああ…。
明智) まあ確かに、我々は指揮する方です
   からなあ。あんまり血生臭い所にはい
   ないですよね。
柴田) 足軽は大変だよね。あっ、そうだ!
   今度の戦で、若い足軽たちにお花の贈
   り物をするっていうのはどうですか?
信夫) ああそれすっごい喜ばれるかも。我々、
   上の者も、みんなの事見てるよ~ていう
   意味でね。どうしても、上の者だけが甘
   い汁吸ってるって思われがちじゃない。
柴田) 思われてるよね、実際楽だし。下の者
   に比べると、生活も充実してるし。
信夫) いや、でも何かわし、
   満たされてないんだよね。
柴田) えっ? オヤカタ様が満たされてない
   なんてなったら、下の者は困りますよ、
   みんな。
信夫) え? 分かんない?
明智) 分かりかねます。
信夫) 分かんないか。う~ん、何かこう…これ
   でいいのかな~みたいな? 考えちゃうん
   だよね。やっぱ考えない人っているでしょ? 
   何でもこう、言われた事をやれちゃう人? 
   わしはやっぱ、考えちゃう人だから。上に
   立つ者としてさ、何か、これでいいのかな、
   みたいな?
明智) …で?
信夫) …で!?
明智) どういう結論に至ったんですか?
信夫) よくない。
柴田) えっ?
信夫) え…だから、よくないって、思った。
柴田) よくない?
信夫) うん。
明智) えっ?
信夫) えっ?
明智) よくないって思って、
   どうしようと思ったんですか?
信夫) 今そこ。
明智) えっ?
柴田) それ考えてないのと一緒じゃないですか。
   だって、よくないって思ったから、次どう
   するんだってところが大事でしょ?
信夫) いや、すんごいぼんやり…ぼんやり、
   嫌だなあみたいな? 分かんない?
明智) 分かりますけどまあ、明日は朝から、
   黒田城攻めなんですから。ねっ?
信夫) 攻めてどうすんだろうね!
明智) えっ?
信夫) そんな黒田城なんて
   攻めてどうすんだろう?
明智) いやいやいやいや…。
柴田) だって、オヤカタ様には天下布武
   するっていう夢があるでしょ。
信夫) それも何か。言われているから
   やってるだけっていうか。
柴田) えっ、そうなの?
信夫) そういうふうに言った方が、
   みんな喜ぶかなって。
柴田) いやいやいや…困りますよ、そんなの。
明智) そうですよ。もうそういう方向で動い
   ちゃってるじゃないですか。今さらそん
   な事言われても、関係各所にどう説明す
   るんですか?
信夫) じゃあさ、本気で出来ると思う?
   天下布武。
明智) 出来ますよ! 天下布武。できると思
   ってやらないと、やってられないですよ、
   そんなの。
柴田) やりましょうよ!
信夫) ていうかさ、意味分かって使ってる?
   天下布武。
柴田) ちょっちょっちょっ…
   バカにしないでよ!
   天下で布武するって事でしょ?
信夫) だから、それはどういう事?
柴田) いや、それは…
   詳細は分かりませんけど。
信夫) 分かんないの?
柴田) 詳細はね! ざっくりした意味は
   分かりますよ。ねえ?
明智) 何? ちょっと言ってみて。
柴田) だから、布武の武は武将の武でしょ?
明智) 布は?
柴田) だから…音? 音のあれ、語感の問題?
明智) えっ?
柴田) 天下武だったら締まりが悪いから、
   天下布武みたいな。
明智) えっ!?
柴田) いや、違うか。いやだから、詳細は
   分からないと言ったでござろう?
明智) ちょっとちょっと…。
柴田) いや…明智殿は分かってんの?
明智) 当たり前でしょう。
   布武の布は布ですよ。
柴田) 布!?
明智) そうですよ。
信夫) うっそつけ~! 
   布って、あの…服とかに使う?
明智) そうでござる。
柴田) えっ、どういう意味でござる?
明智) だから、武を布みたいに広げよう
   っていう意味でしょう。
信夫) そもそもさ、武ってさ、
   広げるものなのかね?
柴田) 何か、変えません? その言葉。
   もっといい感じの言葉に。
信夫) ああ、そうだね!
明智) オヤカタ様がそんな事
   言いだしたら、困りますよ。
信夫) でもわし…
   本当は人とか殺したくないんですよ。
   やっぱり、みんなが幸せでいるのが、
   一番でしょう?
明智) みんなそれはそうだけど、だから
   こそ天下布武を成し遂げてね、争い
   のない世の中をつくったらいいじゃ
   ないですか。
信夫) えっ、それわしの仕事?
明智) 何なの? そこブレちゃまずいでしょ!
   ねえオヤカタ様、やっていきましょうよ!
   頑張ってやりましょうよ、天下布武。
信夫) 頑張ってどうにかなる事ならさ、
   それはやるけど。
明智) いやでも、
   頑張らないと始まらないから。
   「千里の道も一歩から」ですよ。まずは、
   明日の黒田城攻め、頑張りましょう?
信夫) 大体さ、千里ってどんぐらいの距離
   か全然想像つかないからさ。その時点
   でやる気がそがれる。
明智) じゅあ、「二里の道も一歩から」。
   ねっ? 二里だったら想像できるでしょ?
信夫) でもそれはさ、天下布武っていうのは
   すんごい難しい事なんだけど、一歩一歩
   行けば近づけるっていう話でしょ?
   だから、千里っていう本当に想像がつか
   ない距離じゃないと、意味がないんじゃ
   ないの? 全くないよ。
柴田) そもそも、
   戦って何でこんなに多いんですかね?
   結構、やんなくてもいい戦も、
   たくさんあると思うな。
明智) いやいやいや…武将がそれ言い
   だしちゃまずいでしょ。
   仕事なくなっちゃうでしょ!
柴田) そうかもしれませんが、そうなったら、
   別の仕事探せばいいんじゃない?
明智) そんな簡単に言うけど、他の仕事って
   いったって、大変なんだからね。

(寝転ぶ信夫)
明智) ちょっとちょっと何やってんの。
信夫) あ~あ…嫌だなあ。
   茶人になろうかなあ。
   茶人は、お茶いれて、もっともらしい
   事言ってれば成り立つんでしょう?
明智) 成り立たないから。怒られますよ!
   いろいろ細かい面倒な事が
   あるんですよ、茶人にも。
柴田) あっ、拙者はあれだな! きこりがいいな。
信夫) えっ…何で?
柴田) まあ、ああいう、一人で森の中に
   小屋かけてさ、ず~っと籠もって、
   自然と対話するみたいなのに憧れる
   んですよ。鳥の名前を覚えたり。
信夫) 寂しくなるんじゃないの?
柴田) え~…結構、拙者一人が、好きだから。
信夫) え~!? 
   絶対一人になったら寂しくなるって。
柴田) いや、そんな事ないって。だって拙者、
   結構夜とか一人でも全然平気だし。
信夫) えっ、真っ暗なんだよ?
   化け物の類いとかも出るんだよ?
柴田)  オヤカタ様は
    そんなの信じてるんですか?
信夫) 信じてないけど、狼とか出ちゃうよ?
柴田) いや、出るでしょうね。
明智) ちょっと! 
   おしゃべりすんならもう寝ましょうよ。
   ねっ? 明日早いんだから。
信夫) ああ、駄目駄目駄目。やる事あるから。
明智) 何ですか?
信夫) 「人間五十年」やってないし。
明智) えっ!?
信夫) あの…戦の前にはもうやる事に
   決まったから。
明智) えっ? 
   もういいじゃないですか、今回は。
   ねえ、終ってからやれば?
信夫) 終わってからじゃ駄目なんだよ。
明智) じゃあ、明日の、朝やりましょう。
   ねっ?
信夫) 朝はもう駄目。忙しいし、みんな
   バッタバタバッタバタしてるし。
   注目してくんないし、
   集中して見てくんないから。いくよ。
明智) 大丈夫ですから! ねっ?
   ちゃんとそういう時間つくりますから。
   「オヤカタ様が舞う」って言ったら、
   みんなすぐに集まりますから! ねっ?
信夫) 信じていいの?


**********

明智) いやいやいやいや…
   晴れてよかったですね。
   戦日和ですよ。
信夫) みんなは?
明智) あれ? まだ来てない? 
   おかしいなあ。
信夫) ちゃんとわしが舞うって言った?
明智) 言った…と思うけど。
信夫) えっ、どっち?
明智) 言いました。
信夫) じゃあ、何だよこれ!
   何で誰もいないんだよ。
明智) う~ん…いや、まだ皆、戦の準備に
   てんやわんやなんじゃないですか?
信夫) ほら~。忙しくて「人間五十年」
   見てる暇なんかないじゃないか!
明智) いや…もうちょっとしたら
   皆少し落ち着くと思いますので。
柴田) ああ、でも…拙者もそろそろ、部下の
   ところに戻らないとさすがにまずいかな。
信夫) ほら!
明智) すぐ! すぐですから!
   ちょっと練習しといて下さい。
柴田) じゃあ、3人でやりますか?
明智) そうしましょう、そうしましょう。 
   ねっ?
信夫) (ため息)
明智) はいはい、分かりました分かりました。
   じゃあ、ちょっと…。
   皆の衆、皆の衆! ちょっと来て~!
   オヤカタ様の「人間五十年」始まるよ!
   皆の衆に見てほしいんだって~!
信夫) ちょっと!
明智) 何ですか?
信夫) これじゃあわしがわがままみたいに
   思われるだろう?
明智) だってそうじゃないですか。
   見せたいんでしょう?
信夫) 別に見せたくないよ。
明智) じゃあ3人でやりましょうよ。
   何も戦の準備してる人たちまで
   巻き込む事ないじゃないですか。
信夫) 巻き込むって何だよ!
柴田) まあまあまあまあ…
   2人とも。ねっ?
信夫) わしの「人間五十年」
   みんな好きだって言ってんだろ?
明智) そんなのおべっかに決まってるでしょ!
   みんな忙しいんだから。
   そんな殿の「人間五十年」なんて、
   見てる暇ないんですよ!

(愕然とする信夫)
(顔をゆがめ、明智を睨みつける信夫)

思えばこの時、お二人の運命の歯車は、
狂い始めてしまったのかもしれません。


**********

空想大河はコントじゃないんだよね。意外とちゃ
んとしてるというか、戦国時代にもこんな殿様が
いたかもしれないと想像してみよう~みたいな?
意外とためになるかも!と思ってしまった今回w

「鼻薬をかがせる」とは?
「鼻薬」とは、もともとは子供が鼻を鳴らして泣く
時に、子供をなだめすかすために与える菓子の
ことであったが、そこから相手の気を引いて手な
ずけるための金銭の意味が生じ、ちょっとした賄
賂を渡すという意味で「鼻薬を嗅がせる」と用い
るようになった。(by 日本辞典

へえへえへえ!とボタンがあったら押すところ~。
てっきり、相手を気絶させて拉致するための鼻薬
かと思ったよ~。賄賂だったとは…。それならちょ
っと、どんな香りか嗅いでみたい気がする~フフ。

「天下布武」も、何となく知ってるつもりになってい
たけど、「信長がムニャムニャ…」レベルだったし。
「天下布武」って、信長のご朱印(いわゆるハンコ
みたいなもの?)にこの言葉が使われていたのね。
「俺は天下とったるぜ~」宣言みたいな気持ちだっ
たのかな~と想像して見たり。「人間五十年」の舞
も、考えてみたら、一生懸命練習したりしてたんだ
よな~あの信長も…とか思ったら、何だかちょっと
笑えてきたりして。本物の信長くんも、俺のかっけ
え舞を見て褒めろ~って思ってたのかなあとかw

もう一つの小田家の、信夫くんの運命はいかに?


●「小田信夫」HP

「小田信夫」関連ブログ↓
第1回~決戦桶狭間
第2回~武士の威信
第3回~黒田城攻め
第4回~本能寺の辺

NHK(大河/時代劇/スペシャル・その他)ドラマ関連ブログリスト


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