大河ドラマ「おんな城主 直虎」第33回~嫌われ政次の一生 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

大河ドラマ 
「おんな城主 直虎」




第33回
嫌われ政次の一生


政次) ひよんどり。

なつ) 川名のお祭りですか? お正月の。

政次) うむ。見た事はあるか?

なつ) いいえ、義兄上は?

政次) ないが、面白いらしいぞ。この寒い

  中、水に入れられ、火に当てられ。

なつ) さんざんな。

政次) さんざんだ。

(なつの膝を枕に横になる政次)

なつ) お食事は?

政次) 後でいい。

なつ) あっ、誰かに見られたらと。

(起き上がろうとする政次)

なつ) あ! あ…あの、

  大事、大事ございませぬ。

(膝に頭を乗せ直す政次) 

政次) 昔ここの検地を、先代と共に

  ごまかそうとした事があって。

  先代はひどうてな。俺に任せると

  言うたあげく、最後は全ての罪を

  俺になすりつけようとした。

  ひどくはないか。

なつ) フフッ。はい。

政次) しかし、

  それでよかったのかもしれぬ。

  なつが笑う話となった。

(なつの着物の袖を見る政次)

なつ) あ、あの、これは。

  義兄上のお袖に、入っておったのです。

(白い碁石を取り出すなつ)

(手に取った石を見つめる政次)

(政次の目をふさぐなつ)

なつ) 今はなしです。今だけは…。

(手を離すなつ)

政次) はい。

 

**********

 

傑山) 私は、和尚様は但馬を突き出す

  お考えかと、思うておりました。

南渓) 政次が死ねば、

  あれは死んでしまうからな。

  翼が一つでは、鳥は飛べぬ。

  2人して落ち延び、

  そこで再起を図ればよい…。

 

**********

 

南渓) 「頭を頼り、そなたを盗み出して

  もらう。但馬と2人、気賀に逃げよ」。

 

**********

 

直虎) どこまで偽れば気が済むのじゃ!

近藤) 偽りではない。

  見よ、こちらが刀傷じゃ。

直虎) 政次! 何とか申せ!

政次) もう少しであったものを。

  もう少しで、首を取れたものを。

直虎) 何を言うておるのじゃ! 政次!

  共に徳川につくと話をしたではないか。

  共にしの殿を差し出し、共に…。

政次) 信じておられたとは、おめでたい。

直虎) 我はもう、だまされぬぞ。

  我はもう。

近藤) 尼殿をお連れせよ!

家来) はっ。

直虎) 政次! 政次! 返事をせよ!

  政次! 政次!

 

**********

 

近藤) まさかかような山猿に足をすくわれ

  るとは、思われなんだか。おぬしはとう

  に、わしをだました事など忘れておるだ

  ろうの。
政次) 何のお話をされておられるのか、

  分かりかねますが。
近藤) 取れるものは取る。取れる時にの。
  悪う思われるな。世の習いじゃ。

 

**********

 

直虎) 亀。我はもう二度と、

  あのような目はごめんじゃ。

  どうか、鶴を。

 

**********

直虎) 政次は? どこじゃ?
龍雲丸) 尼小僧様に、これをと。

(白い碁石を受け取る直虎)

直虎) まさか、政次はもう…。

龍雲丸) いや、生きてる。

直虎) どういう事じゃ。

南渓) 本懐ゆえ、戻らぬそうじゃ。

直虎) 本懐?

 

(回想)

政次) すまぬが、俺は行かぬ。

龍雲丸) えっ! 何で。

政次) 殿や俺は逃げればよいかもしれぬ。

  しかし、恨みが晴れなければ、隠し里や

  寺、虎松様、民百姓、何をどうされるか

  分からぬ。そして、井伊にはそれを守り

  きれるだけの兵はおらぬ。

龍雲丸) けど。

政次) 俺一人の首で済ますのが

  最も血が流れぬ。

龍雲丸) けど…あんたがいなくなったら、

   あん人誰を頼りゃいいんだよ。

政次) 和尚様がおるし…

  おぬしもおるではないか。

龍雲丸) ごめんこうむらぁ!

   大体、あんた、

   あんたそれでいいのかよ!

   おい、このままいきゃ、あんたは

   井伊を乗っ取ったあげく、罪人と

   して裁かれるってことだろ!?

   悔しくねえのかよ! 井伊のため

   にって、あんなに! 誰よりも!

   駈けずり回ってたのは

   あんたじゃねえかよ!

政次) それこそが小野の本懐だからな。

  忌み嫌われ、井伊の仇となる。恐らく、

  私はこのために生まれてきたのだ。

龍雲丸) 分かんねえわ、俺にゃあ。

政次) 分からずともよい。

 

(碁石を手に駆け出す直虎)

龍雲丸) 尼小僧様。もうやめとけ。

直虎) 我が話をしてくる。

龍雲丸) あの人は。

直虎) 忌み嫌われるために

  生まれてくるなど、そんな

  ふざけた話があるか!

龍雲丸) あの人は

   やりたくてやってんだよ!

直虎) お前に何が分かる!

  政次は幼い頃から、家に振り回され、

  踏み潰され…それの…それの何が

  本懐じゃ!

龍雲丸) 井伊ってのはあんたなんだよ!
   あの人の言う井伊ってのは、あんた

   の事なんだよ! 小野って家に生ま

   れた事で振り回されたかもしれねえ。

   つらい目にも遭ったかもしれねえ。

   けどそんなもん、その気になりゃ

   放り出す事だってできた。

   そうしなかったのは、

   あの人がそれを選んだからだ。
   あんたを守る事を選んだのは、

   あの人だ。

   だから本懐だって言えんでさ。

直虎) 頼んでなどおらぬ。

  守ってくれなどと頼んだ覚えは

  一度もない!

 

**********

(井戸端に座り込み、手の中の

 碁石を見ている直虎)
直虎) 和尚様。これは一体…

  どういう事なのでしょうね。

  私に次の手を打てと、

  いう事なのでしょうか。

南渓) 誰よりも、あやつの事が

  分かるのは、そなたじゃろう。

  答えは、そなたにしか分から

  ぬのではないか。

(立ち去る南渓)

直虎) 政次…我は…

  我は何をすればよい?

  今さら…そなたに、何を…(泣)。

 

**********

 

(回想)

直虎) 我をうまく使え。

  我もそなたを、うまく使う。

 

**********

 

南渓) 次郎。

  今日、政次がはりつけになる。

  我らは、引導を渡しに行くが。

  行くか?

直虎) 参ります。

  政次が行くというなら、

  私が送ってやらねば。

  我が、送ってやらねば。

(碁石を握り、立ち上がる直虎)

 

**********

 

(槍を奪い、政次に向ける直虎) 

(直虎を見る政次)

(政次を刺す直虎)
直虎) 地獄へ落ちろ。小野但馬。
  地獄へ。ようも、ようもここまで

  我を欺いてくれたな! 遠江一、

  日の本一の卑怯者と、

  未来永劫語り伝えてやるわ!

(笑う政次)

(血を吐く政次)

政次) 笑止! 未来など。

  もとより女子頼りの井伊に、

  未来などあると思うのか!

  生き抜けるなどと思うておるのか。

  家老ごときにたやすく

  謀られるような愚かな井伊が。

  やれるものならやってみよ!

  地獄の底から!

  見届け…。

(政次の胸から槍を抜く直虎)

(槍を捨て、近藤に向き直り一礼する直虎)

 

**********

 

(牢の中に残された、政次の綴った文字)

 

白黒をつけむと君を ひとり待つ
天(あま)伝う日ぞ 楽しからずや

 

**********

 

いや~まいった。まさかここまでやってくれ

るとは。さすがドラマチックな展開が得意な

脚本家さん。少女漫画でもなかなかやれな

い展開をまさかの大河でやってくれるとは。

 

愛する人の息の根を自らの手で止める。そ

れは、男ならよくある話。女性なら自ら自害

することで、愛する人の負担を減らすの図。

敵に殺されるぐらいなら、自らの手で…と考

えてしまうのが日本人的なのかはわからな

いけれど、直虎が取った行動は共感できる。

それでも、時代やら、立場やらある中で、こ

んなことが可能だったのは、直虎が女性で

あっても城主だったからできたのだと思う。

一瞬オスカルとアンドレを思い浮かべたけ

れど、もっと激しくもっと悲劇的で美しい。

 

2人で碁を打つシーンの積み重ね、2人が

心を交わした時間の積み重ねが効いてる。

嫌われ政次の、直虎への愛情が深すぎて、

重すぎて…ああなるしかないよなって思う。

脚本家さんも、自然とそうなってしまったの

だと思う。今まで描いて来た絆を思えば、あ

あするしかなかったのだ。直虎は。政次は。

 

一世一代の大芝居。愛する男の心臓を貫き

ながら罵声を浴びせる女、心臓を貫かれな

がら血反吐を吐きながら女に悪態をつく男。

壮絶な命のやり取りの中で行われるラブシ

ーン…だった。愛の言葉にしか聞こえなか

った。すげえ…すげえよ、マジすげえ~~。

描きたくたってなかなか描けない。演じたく

たってなかなか演じられない関係だと思う。

高橋一生じゃなきゃ成立しない気さえする。

彼が演じる政次ならば、この最期は本望で

あり、幸せだったとさえ思えてしまうのだ。

 

いや~ホントすごいものを見せてもらった。

あれこれ書かないつもりっだったのに書い

てしまった。政次の微笑みを思い出すだけ

で泣けてくる。よくぞここまでドラマを膨ら

ませてくれたもんだなと。後半戦が楽しみ。

 


●「おんな城主 直虎」HP

「おんな城主 直虎」関連ブログ↓

第1回~井伊谷の少女

第33回~嫌われ政次の一生

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