「まんぷく」 第144回
第25週 「できました！萬平さん！」
鈴の手術は成功・・・新たな課題と萬平の夢
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鈴さんが病室に帰ってきたのは、
手術が始まって、２時間後でした。
小山内） どうぞ、ご安心下さい。
手術は無事終わりました。
福子） 無事いうことは、
手術は成功したんですね。
克子） 母は大丈夫なんですか？
小山内） もちろん逐一経過は見て
いきますが、とりあえず今のところ
は、大丈夫だと思います。
萬平） 一体何が起こったんですか。
小山内） 炎症を起こしていた、大腸
の一部、腸管が、破裂しました。
源） 破裂！？
小山内） 破れたんです。
タカ） 破れた！？
小山内） 今井鈴さんが、痛みを訴えて
こられた時、私は虫垂炎を疑いました。
ただ、痛みが、徐々に左下腹部に絞ら
れてきたため、内臓逆位症の可能性
も考えました。通常はおなかを切って
中を見て確認するんですが、患者さん
がご高齢だったので、とりあえず、抗
生物質の投与治療で様子を見ること
にしたんです。しかし、再び激しい痛
みを訴えられたので、急遽、開腹手術
を行いました。すると、虫垂炎ではなく、
大腸憩室症という、命に関わる病だっ
たことが明らかになったわけです。腸
を縫合しましたんで、そうですね、順調
に回復すれば、３週間ほどで、退院で
きると思います。
吉乃） ３週間…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
電・真一） 大腸憩室症？
電・萬平） ええ。腹を切ってみて
初めて分かったそうですよ。
電・真一） 初めてって…
大丈夫なんですかその先生は。
やぶ医者なんや…！
神部） やぶ医者！？
岡・森本） えっ！？
電・萬平） いやもう信じるしかありませんよ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
電・忠彦） 手術は無事終わったんやな？
電・克子） とりあえずは。
電・忠彦） とりあえずはって何や。
名木） 失敗したかもしれないんですか！？
電・克子） 成功しました。
３週間で退院できるって。
電・忠彦） まだ３週間も入院せなあかんのか。
電・克子） そらそれぐらいかかるわよ。
手術したんやし。お母さんもう年なんやから。
電・大介） そやな。
まだまだどうなるか分からんで。
電・忠彦） 偉そうに言うな。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜病室＞
福子） お母さん。
克子） 目ぇ覚めた？
鈴） 私…何があったの？
克子） 手術したんよ。
福子） 急に、おなかが痛くなったの、
覚えてる？
鈴） 手術…。
克子） 病気はもう治るって。
福子） さっきまで、
萬平さんや源や幸もいたんよ。
タカちゃんと吉乃ちゃんも。
克子） せやけど先生がもう大丈夫って
おっしゃったから、会社に戻ったんよ。
もうみんなほんまに心配したんやから。
鈴） 私…おなかを、切ったの？
福子） そうよ。
克子） 手術やもん。
鈴） 切腹したの？
福子） 切腹って。
克子） 手術。
鈴） 怖い。
福子） せやから…。
克子） 駄目よ福子。今お母さん混乱して
るわ。そっとしといた方がええわね。
鈴） ああっ、い…痛い。
福子） それは、傷の痛み。
先生は心配ないって言うてたから。
鈴） 私は、死ぬの？
福子） 死にません。
克子） もう、しっかりしてよ。
武士の娘でしょ
鈴） ああ…怖い…福子ぉ…。
福子） 大丈夫大丈夫。大丈夫大丈夫。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜パーラー白薔薇＞
アキラ） いや、油断は禁物や。
幸） 禁物って？
アキラ） 安心できるのは、
ほんまに、退院できた時や。
しのぶ） まあ、そらそうやけど。
幸） でも、先生は大丈夫って。
アキラ） いや、退院しても、
うちに帰るまでは、安心でけへん。
いや、うちに帰っても、
何が起こるか分からんで。
しのぶ） いつまで心配しとかなあかんの。
幸） せっかくみんなホッとしてるのに。
アキラ） ごめんごめん。あの、大奥様の
こと心配してるだけなんや。
しのぶ） おばあちゃんが元気になっても、
ここに連れてきたらあかんよ、さっちゃん。
また、縁起でもないこと、言いそうやから。
幸） 分かってる。
アキラ） ほんまに、心配してんねんで。
幸） ありがとう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
１週間がたちました。鈴さんは、
順調に回復に向かっていました。
福子） きれいでしょ、お母さん。
鈴） 病院は、飽きた。
タカ） もう少しの辛抱よ、おばあちゃん。
源） そうです。しっかり体を元に戻して
からやないと退院できません。
岡） わしらは別に意地悪で言うてるんや
ないんですよ。
吉乃） おばあちゃんのことが心配なんよ。
鈴） ありがとう。せやけどねえ…。
大介） せやけどやない。
福子） ねえ麻美ちゃんかて、
ひいばあちゃんにはちゃんと元気に
なってもらいたいわよね？
麻美） うん。
鈴） 分かった分かった。我慢する。
神部） そうですよ。
鈴さんの様子に、
みんな内心ホッとしていました。
でも…萬平さんたちは、
またまた難しい問題に直面したのです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜まんぷく食品＞
神部） 社長が考案された、麺をカップ
の中間に保持するという方法は、
大変うまくいきました。
萬平） そうか。
神部） まず、宙づりの麺が、はりの役目
をして、カップを補強してくれます。運搬
中に乱暴に扱われたとしても、壊れる
ことはないでしょう。
真一） やっぱり。
神部） そして、しっかり固定されるので、
麺が揺れて、崩れる心配がありません。
岡） なるほど。
神部） 更に、下に空間が出来ることに
よって、お湯が下から均等に行き渡り、
麺の戻りにムラが出来ません。
西野） そうです。
神部） そして、お湯を入れると麺は
下の方に膨らんでいくので、上の
具材が崩れることなく、蓋を開けた
時の見た目がいい。
萬平） ハハ…
やっぱり僕が思ったとおりだ。
神部） ほんまにすばらしい
アイデアだと思います。
ただ、一つ、難しい問題が。
萬平） 何だ。
神部） 製造部の森本部長が説明します。
森本） 製造ラインにのせた時に、
恐らく、安定して固定させることが
できないんです。
萬平） できない？
真一） どういうことや。
森本） つまりですね、製造ラインに
のせた時、こうやって、麺をカップ
に入れることになるわけですが…。
（20cmくらいの高さから麺を落とす）
森本） なかなか、
麺がまっすぐに入りません。
岡） ほんまや。
久坂） ああ…。
森本） それに、まっすぐに入ったと
してもですね…まっすぐに入ったと
してもですね…。
（カップを逆さまにすると麺が落ちる）
森本） 固定できないんです。
戸塚） あっ…。
萬平） 固定できない…。
森本） 上から棒で押すわけにもいき
ません。麺が崩れてしまいますから。
真一） なるほど…確かにこれは問題やな。
岡） これを解決しないと、製造ラインに
のせることができませんね。
森本） これを、商品開発部の方で、
なんとかしてほしいんや。
久坂） えっ、僕たちですか！？
神部） ほかに誰が考えるんや。
西野） 僕たちがやるしかないだろう。
戸塚） そうですよね。
源） ええ…。
萬平） 駄目だ…。
（繰り返しカップに麺を落としてみる萬平）
岡） あと…カップのパッケージデザイン
を決めてもらわないと、商品化すること
ができませんよ。
神部） そうです、社長。
萬平） 駄目だ。
森本） 社長。
萬平） 駄目だ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜香田家・アトリエ＞
真一） 君が、お弟子さんか。
名木） はい。
忠彦） 名木君です。
近頃、いい絵を描くようになってきたよ。
名木） ありがとうございます。
忠彦） 真一さんは、福ちゃんの、旦那
さんの、会社の専務さんで、その前に、
克子の、亡くなったお姉さんの…。
真一） そこまで説明すると、
名木君が困ってしまうよ。
忠彦） ああ。
真一） 実は今日は、
お願いがあって来たんだ。
忠彦） お願い？
真一） うん。新商品のパッケージ
デザインを考えてほしい。
名木） 新商品？
忠彦） まんぷくヌードル。
真一） そう。まんぷくラーメンの、デザ
インを考えてもらった時みたいにね。
名木） えっ。
忠彦） これに？
真一） そう。洋風で、新しさがあって、
世界に通用するようなデザインを
考えてほしい。
忠彦） それは、萬平君も…。
真一） もちろん了解は得ている。
というより、社長の希望だ。
忠彦） このカップに…。
名木） 新しくて、洋風で、
世界に、通用するデザイン…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜立花家＞
萬平） う～ん、駄目だ。
福子） 萬平さん、麺のかけらが。
ああ、いやいや。
源） ああ、床にもぎょうさん。
幸） ごはんの時くらい仕事忘れてよ、
お父さん。
萬平） 分かってる。
福子） 冷めてしまいますから
食べて下さい。
源） これが解決しないと、
まんぷくヌードルが作れないんや。
まんぷくラーメンの時と違て、
手作業ってわけにはいかんからなあ。
福子） 機械で作るんやね。
幸） ベルトコンベヤー方式ってやつ？
萬平） 「やつ」なんて言い方はやめなさい。
女の子なんだから。
幸） 女の子って、もう大人よ。
萬平） 二十歳になったばっかりじゃないか。
幸） 21です。
萬平） 21！？
福子） ええから食べて。
源） んっ！ このトマトおいしいよ父さん。
萬平） お前は何でそんなにのんきなんだ。
最後の最後でつまずいてんだぞ。
まんぷくヌードルは。
（トマトを食べて）あっ、本当おいしいな。
福子） 源かて一生懸命考えてますよ。
源） そうや。
福子） うちに帰ってきてからも。
源） 僕かて何とかしないとって思てるよ。
幸） お兄ちゃんも悔しいんよ。
萬平） そうか。
福子） せやけど、やっぱり
お母さんがいないと寂しい。
萬平） そうだな。
まだ退院はできないのか。
幸） あと１週間。
萬平） う～ん…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜病室＞
鈴） よう入れてもらえたわね。
面会時間は過ぎてるのに。
世良） 「わざわざロサンゼルスから来た
んや」言うたら、「それはそれは」言うて
入れてくれましたわ。
鈴） ロサンゼルス。
世良） うそつくんやったら大きい方がええ。
鈴） それは、詐欺師のセリフです。
世良） 詐欺師てお母さん。こう見えて僕は
忙しいんや。今しかない思て、わざわざお
見舞いに来たんですよ。果物まで買うて。
鈴） 何か、企んでるの？
世良） ハッ…そんなわけないでしょう。
僕は立花君と親友やけど、お母さんとも
もう25年の付き合いですよ。
鈴） そらそうやけど。
世良） せやけど、順調に回復されてお
られるようで何より。退院してうちに帰
ったら、立花君に言うといて下さい。
鈴） ん？ 何を？
世良） 100円は高すぎる。
鈴） は？
世良） まんぷくヌードルを100円で
買うやつはおらんて。
お母さんもそう思うでしょう。
ほなしっかり養生して下さい。
忙しいから…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
その夜のことでした。
（布団を並べて眠っている萬平と福子）
（萬平の夢）
（目を開けると部屋が縦に回り始める）
萬平） おっ…ちょちょ…。
（萬平の頭の方から上がっていき、
畳も布団も垂直になる）
萬平） ふ…福子…福…。
（回転は止まらず、
萬平の体もどんどん上がっていく）
萬平） おおっ…くっ…
おっ、おっ、おっ、くっ…。
（落ちないように頑張る萬平）
（天井が真下に見える）
萬平） わあっ！
（落ちて、上を見ると福子が寝ている）
萬平） うわ～っ！
（目を覚ます萬平）
萬平） （荒い息遣い）
福子） えっ、えっ…。
どうしたんですか萬平さん。
いや、怖い夢でも見たんですか？
萬平） 思いついた。
福子） ん？
萬平） 思いついたぞ福子。
（部屋を飛び出す萬平）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
結局…内臓逆位症ではなかったってこと～？
なんだかものすご～くやぶ医者の匂いが…。
でも、とりあえず手術は成功したということな
ので、よかったよかった。…と言いつつ、なん
だかいまだに安心できないのはなぜだろうｗ
今日のツボは、トマトを食べる萬平さんのノリ
ツッコミと、世良さんのお見舞い。鈴さんと世
良さんのツーショットシーンがよかったよ～。
まんぷくのキャラ設定は本当にしっかりでき
あがっているので、ありそう、やりそうな感じ
が楽しいんだよね～。小ネタがホント楽しい。
ついに登場した、萬平のダイナミックな夢も。
あさイチプレミアムトークの安藤サクラがいい。
本当に、彼女にしかできない福ちゃんだった。
年齢が変わっていく様子にこれほど違和感を
感じなかったヒロインは、初めてかも～。安藤
サクラ恐るべし。あと７回しっかり見なければ。
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