「魔法のリノベ」
第10話～最終回！梅玄コンビが下す決断は？
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五感を研ぎ澄まさなくても、わかる。
小梅さんは、きっと何かを、隠してる。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
久保寺） 小梅さんが俺に言ったんですよ。
自分の人生は、自分でリノベしろって。
だから俺、頑張ったんです。小梅さんそれ
できてますか？ ちゃんと自分の思う人生
を生きれてますか？
小梅） 久保寺、ありがとう。
私、大丈夫だから。
久保寺） 小梅さんは、俺の光です。
隣で働いてくれるのはうれしいですけど、
グローバルにいてくれるのは超つれしい
ですけど、ここは、小梅さんの居場所じ
ゃないです。だって小梅さん光ってない
ですもん。有川部長のことは、俺が何と
かしますから、小梅さんは、自分の人生
を生きてください。……………………。
あっ、ひょっとして、いやちょっと待って。
こんな事考えたくないんですけど、小梅
さんいますよね？ えっ、いなかったら俺
ショックだな～ははっ。けっこう本気でし
ゃべったし、いてほしいな～ははっ。
いる、いる、ははっ、いる、うん。
（振り返り） いねぇのかよ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
蔵之介） 有川。
あのよ、小梅ちゃん、返してくんねぇかな。
うち小梅ちゃんいないとだめなんだわ。
頼む。（頭を下げる）
有川） ははっ、福山先輩。話にならない。
蔵之介） はっ、だよな。
有川） えぇ～何で丸腰で来ちゃうんです？
あの切った張ったが得意な先輩はどこ
行っちゃったんすか。
蔵之介） 最近そういうのやってねぇんだわ。
有川） ああぁ、ははっ。邪魔はもうとっくに
されてるんです。
（回想）
有川） 先輩についてきた俺どうなるんすか？
蔵之介） すまん。
有川） ちょっとずるいっすよ。
有川） あなたのおかげで、
僕は人生の大切な時間を失いました。
もう取り返しがつきません。
蔵之介） 仕事できんのにもったいねぇな。
ねじれてんのに気付いてねぇのか、ん？
よし、お前に見してやるよ。
リノベってのはよ、魔法なんだぞ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
玄之介） 進之介。
進之介） ん？
玄之介） ちょっと留守番しててくれるか？
進之介） どこ行くの？
玄之介） 冒険に出てくる。
進之介） 父ちゃんなら絶対勝てる、
信じてる。
玄之介） おぉ～。ありがとな。
進之介） うん。
玄之介・進之介） うい。
玄之介） うい、行ってくる。
進之介） 行ってらっしゃい。頑張ってね。
玄之介） おう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
玄之介） どうも。お久しぶりです、何か。
小梅） どうも。
玄之介） 小梅さん。率直に言います。
まるふくに戻ってきて下さい。これからも、
小梅さんとバディーで仕事、したいです。
小梅） ふぅ～もうバディーは解散です。
玄之介） 嫌です。僕は嫌です。
解散したくないです。
小梅） ず…随分、わがままですね。
玄之介） 小梅さんのおかげで、
言いたいこと言えるようになりました。
小梅さんと出会って、僕は、リノベさ
れました。いろんなこと教わりました。
五感を研ぎ澄ますこと、腹を割ること、
怒りたいときは、怒っていいこと。
時には、思い切って、踏み出すこと。
あと、シャリバテに気を付けること。
プレゼン帰りの夕日が、すっごくきれ
いなこと。日が高いうちに飲む、ビー
ルが、ははっ、うま～いこと。毎日は、
こんなにも楽しいんだってこと。
一緒にいたい人と、一緒にいるのが
幸せだってこと。まるふくに帰ってき
てください。失ったら取り返せばいい
んです。僕らなら、リノベできます。
小梅） ううっ…。壊せるわけないでしょ、
あんなに楽しい、あんなに幸せな場所。
小さな工務店で、男ばっかの家族で
やってて、兄弟みんなに問題あって。
ううっ…。社長はうそついてて、
社員はゴシップ好きで、
職人さんはウザくて。ううっ…。
長男は、こじらせててわがままで。
玄之介） ははっ。
小梅） なのに何であんな楽しいんですか？
何であんな幸せなんですか？
はぁ…意味わかんないです。
ありえないです。私がいなくても…
まるふくはやっていけます。
もともと私なんていなかったんです。
短い間でしたが、ありがとうございました。
玄之介） 小梅さん、ははっ。
指輪、光ってます、僕に。はははっ。
小梅） 気のせいです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
玄之介） 小梅さん。
小梅） ただいま。
玄之介） おかえりなさい。
蔵之介） おかえり。
竜之介） おかえり。
越後・小出） おかえりなさい。
進之介） おかえり！
小梅） うん、ただいま。ふふっ。
お握り、ははっ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
玄之介） 何かすごいっすね、
波乱万丈っていうか。
小梅） はははっ。私まるふく侮ってました。
ていうか福山家侮ってました。問題多す
ぎです。イベント発生率すごいです。
玄之介） うちのせいにしないで下さい、
小梅さんもそこそこですよ。
小梅） はい？
玄之介） 変な元カレとか、その元カノとか。
後、なんですか？ あの、ラスボスみたい
な、元上司は。
小梅） それは蔵之介さんの元部下でしょ。
玄之介） 確かに。
小梅） うん。
玄之介） テレビ出て、炎上して。
小梅） 元いた会社に出戻って、また出て。
玄之介） まるふクエスト過酷～。
小梅） 無理ゲー。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
小梅） 頼りないふりして～
案外したたかなの、ずるいぞ～！
玄之介） ははっ…ちょちょ、
あのそれ、だ…誰の話ですか？
小梅） いや、一般論ですけど。
玄之介） ふ～ん。はぁ～そうですか。
小梅） はい。
玄之介） はい。じゃあ、僕も。んんっ。
仕事では、厳しいくせに、それ以外では、
脇甘いの何なんですか～！
小梅） あの、いや…じゃなくて。
玄之介） 何ですか？
小梅） もちろん…。
玄之介） あぁ～一般論です。
小梅） ですよね？
玄之介） はい。
小梅） うん。
どう考えてもややこしいのに、
そこさえも武器にしてくるな～！
玄之介） 竜には返事したんですか！
小梅） 心を読むな～！
玄之介） 読んでませ～ん！
小梅） いや～これはもう、一般論では…。
玄之介） 一般論って何ですかそれ。
小梅） …ないですかね。はぁ～。
なるほど。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
有川） ねえみんなもうちょっとさ、協力して
ほしいんだ。一球食堂の息の根を止める
作戦を、自主的にさ。ねっ？ 久保寺君。
久保寺） 嫌です。
それ、自主的じゃないですから。
命令っすから。
有川） 久保寺君？
久保寺） みんなもそう思ってるでしょ？
この集まりおかしいですって。
何すか？ 円卓の部下って。中２っすか？
このステッカー、キモいんすよ！
有川） ははははっ、ははっ。
横田君どう思う？
久保寺） 俺がしゃべって…。
有川） どう思う？
横田） キモいと思います。
この集まり、くそです。
（ステッカーを剥がす横田）
有川） あぁ～。そっかそっかそっか。
おい。お前ら誰が目かけてやったと
思ってるんだ？ おい。おい！
（次々とステッカーを剥がす部下たち）
有川） ちっ、そっか。お前ら全員だめだ。
おい、どうしようもねぇくずだよ。ははっ、
おい。いろいろ世話してやったのによ！
あぁ？ 無能どもが！ 三津井？
（スマホで有川の動画を撮る三津井）
三津井） 有川部長、お世話になりました！
あっ、いい顔ですね。では。
有川） おい。
三津井） バイバイ。
有川） うわ～！ おら！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
小梅） テーマは、
ただいま、と言える食堂です。
玄之介） えぇ～こちらが、
我々が考えてきた、プランです。
剛志） ほぉ～。
倭子 すごい。
小梅） サイクリストの方にも立ち寄っても
らえるように、カフェスペースを設置しま
した。で、表には、サイクルスタンドも。
倭子） うわ、すてき～！
玄之介） こちらは、山菜などを売る、
マルシェです。
倭子） あぁ～。
玄之介） 地域の方々と、遠くから来る
お客様の交流の場に、なればと。
倭子） すっごい。
小梅） 後外にはバーベキュースペースと、
足湯も作ってみました。
倭子） えぇ～。
剛志） 何か、節操ねぇけど…。
ははははっ。面白そうだな。
倭子・剛志） うん。
小梅） ここは、人が集まる場所ですから、
一休食堂という名前のとおり、この、山
を訪れる人々が、一休みできる場所に
なってほしい、そう思いました。
玄之介） もちろん、常連さんのことも考え
て、残すべき所は残しつつ、新しいお客
様と溶け合えれば、すてきだなと。
倭子） あの、後、この壁は？
小梅） 奥様の、ギャラリースペースです。
倭子） えっ！
剛志） えぇ～。
倭子） うそ、やだほんと？
小梅） あの絵の場所、いつも、
私が見ている景色でした。
最初は気付かなかったんですが、
山あいに、この食堂がありました。
倭子） あぁ～そうですか、はぁ～。
ふふっ、昔、はぁ～絵を描きながら旅
をしててね。山を越えて疲れた頃に、
あの場所から、ここを見つけたの。
何だかすっごくほっとして。
ここに来たら、主人がおかえりなさい！
って、迎えてくれた。ふふっ。
剛志） あっ、そうだったっけ？
倭子） ふふふふっ。
一休みするつもりだったのに、
帰る家になっちゃった、
剛志） ははっ。
倭子） あの絵は、そういう絵なの。
玄之介） あぁ～。
だから、「おかえり」、なんですね。
倭子） ふふっ。
小梅） 私も、同じような経験があります。
ふと立ち寄った場所が、帰る家に、
なっちゃいました。
倭子） あっ、わかる。
ねえ、はははっ、ほんと。
剛志） 運命の出会いとか、
あんだろうな。はははっ。
倭子） ねぇ。良かった。
小梅） どうぞ、イメージなさってください。
これからの生活を。
剛志） いろいろあったけどよ、もう少し、
俺と一緒に旅してくれるか？
倭子） こちらこそ。
剛志） ははっ。礼は言わねえよ。
ありがとな。
玄之介） 言うんですね。
倭子） ははははっ。
剛志） すごいよ。びっくりした。
倭子） うん。
玄之介） リノベは…。
小梅） 魔法、なんです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
小梅） あっ、夕日。
玄之介） ほんとにきれいだね。
小梅） 何かキャラ違う。
玄之介） 夕日がやっぱそう
させちゃったかな？
小梅） 年のせいで。
玄之介） うん、何かこう…こういう感じが。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
有川） 福山先輩ずるいな。
俺全部なくなりましたよ。
どうしましょう。ううっ…どうしよう。
蔵之介） 悪かったな、有川。
だけどよ、まだまだやり直せる。
今度は俺がお前を、リノベする番だ。
有川） 無理でしょ。
蔵之介） 任しとけって。
20年前のお前知ってんだ。いいとこ
残して施工すりゃいいんだよ。ん？
小梅） 有川部長、私にも、お手伝いさせ
てください。リノベの力、信じましょう。
有川） ううっ…。真行寺君まで…はぁ～。
蔵之介） 有川、俺と山行こう。
世界中の山登ろう、俺とバディー組んで。
なっ。そっから考えようや。でよ、玄、
小梅ちゃん、俺よ、社長辞めるわ。
小梅） えっ？
玄之介） はぁ？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
小梅） 何ですか？ あのむちゃぶり。
玄之介） あの、僕に言われても。
小梅） 何で世界中の山登るんですか？
玄之介） いや知らないですよ。
知りませんけど、とりあえず、ねっ。
小梅） 乾杯！
玄之介） おぁ～強い、強いって、ちょ…。
小梅） あぁ～！
玄之介） あっ。ビール、うまっ！
小梅） ビールうまっ！じゃないんですよ。
玄之介） はい。
小梅） どうするんですか？ これから。
ますます忙しくなりますよ。
私たちの関係だって。いやそこは、
そんな、べつに、急いであれする
必要も、ないですけど、べつに。
玄之介） 小梅さん。
一歩一歩、進んでいきましょう。
小梅） （頷く）
玄之介） まずは。
小梅） まずは？
玄之介） まるふくを、リノベしましょう。
小梅） はぁ？
玄之介） はっ？ ちょ、びっくりした。
あっ、いや、まずは話はそこからです。
父さんがいなくなった穴を、何かで、
埋めないことには、ねっ。
小梅） じゃあ経理は？ 誰がします？
玄之介） う～ん、まあ、竜之介、かな？
小梅） じゃあ社長のデスクは竜之介
さんに使ってもらうってことで。
玄之介） あっ、いやいや、でも、
あいつ、図面書くから。
小梅） あっ、そっか。
玄之介） ていうか、社長がいなくなる
ってことはもう、組織の、形、が変わ
ると思うんです。
小梅） うん、確かにそれに合わせた
オフィスの形にしないとですね。
玄之介） そういうことです。
小梅） うん。だったらこれを機に、
ペーパーレスも進めたくありません？
玄之介） はぁ～ペーパーレス。
小梅） もう嫌なんですよファックス。
玄之介） わかりますわかります。
屋台のおやじ） リノベは、魔法。
私たちの旅は、終わらない。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
いや～楽しかった～。いいドラマ、大好きなドラマ
だった。大好きな漫画が、最高の形でドラマ化さ
れた、とても贅沢で、幸せな時間だったよ、ホント。
原作には、ラスボスのような有川も、竜之介行き
つけバーのママ京子さんは出てこないんだよね。
なので、最初はちょっと、違和感があったんだけ
ど…話が進んでいくと、RPG風の夢といい、テレ
ビ的な味付けとして、絶妙なスパイスになってい
て、なるほど、こういう風に見せるのか～と納得。
小出＆越後コンビが回を追うごとに存在感が増
して、あの２人のワチャワチャを見るのが楽しく
て楽しくて。ついね、「ほ～ほ～」って言っちゃう。
役者さんたち一人一人が、キャラを作り込んでく
れていて、画面全体がいつも幸福感に満ちてい
て…。レギュラーのキャストもゲストのキャストも、
最高だった。原作漫画を大事にしてくれて、更に
面白く味付けしてくれて、本当にうれしかった～。
小梅） あっ、夕日。
玄之介） ほんとにきれいだね。
きれいな夕日を一緒に見たり、屋台でビールを
飲んだり、同じ瞬間を過ごせる人がいるのって、
素敵なことだよね。主題歌も本当によかった～。
リノベは、魔法。
ご加護が、あらんことを～！
ドラマを見終わってから、答え合わせのように、
原作の漫画を読み直してみて…。違うけれど、
違ってなくて、同じだけど同じじゃなくて、こん
な風にアレンジされていったのか～と、いろい
ろ発見があって面白かった。リノベのビフォー
アフターの図面は、漫画のほうが、じっくりと見
ることができていいとか…細かい人物の心理
描写も、漫画のほうがよく分かるところもあるし。
原作のまんまじゃないからこそ、ドラマと漫画、
それぞれの媒体の強みや、良さがあるなあと。
原作漫画は、現在も連載中。お話がたまってい
けば、ドラマの続編も夢じゃない！ てか、ぜひ
続編を作ってほしい。今回のドラマ化で、原作
漫画の世界にも、いい刺激が、創作のヒントが
もたらされたのではないかと…秘かに期待大。
リノベの発想、取材も大変だと思うけれども…
なんたって、「リノベは、魔法」…ですから～！
ドラマで「魔法のリノベ」を知った人に、漫画の
「魔法のリノベ」も読んでほしい。お薦めです♪
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