ニッチな創作と手仕事
hara.tomo. 原智子です



前職(七年間の接客業)以前に
勤めていたリメイク店での話です


こちらのリメイク店勤務までに
まぁ~色々なパートをして来ました
どの勤務も「初めてなのですか?」と
言っていただき適応力満点でした(爆)

でも腰に爆弾を抱えて居たため
体が悲鳴を上げ泣く泣く退職
という流れを何度となく体験しまして

何をやってもダメなのね
と自信も何も無くなり

一体私には何ができるの!??
そんな心境の日々を送っていました


その頃も創作することはしていて
パターンのスキルアップをしたいと
教室へ通う事を考えたりしていました


そんな時
自転車でも電車でも通える
リメイク店の求人募集を目にして
これは勉強になる!と
即問い合わせし面接を通り
勤める事ができました



お店のある土地柄でしょう
持ち込まれる洋服達は
名だたるブランドものよりも
年齢問わずで
ファッションセンス溢れるブランドが多く
とても素敵なものばかりです
ミンクのロングコートをショートコートへ、とか
雑誌で見たことあるーッ!なんて
ビックリのヴィンテージもの等が持ち込まれます


ですのでお直しする為に
縫い目をほどきハサミを入れる作業は
とっても緊張します



お客様の指示されるように
希望通りに直して貰える
というお気持ちに応えられるように
最善を尽くします



ある日
40代後半とお見受けする
お洒落な男性が来店されました
お洒落な、と言えてしまうのは
既に着ていらっしゃるスタイルが素敵で
持ち込まれたモノにも拘りを感じたからなのです


・ヘインズの白Tシャツ
・ミシン刺繍がカッコいい
 丸ワッペン


もう!!イカします!!

うわっ!カッコいい☆

受け付けしつつ
私がワクワクしてしまいました(笑)



ご注文は
Tシャツにワッペンを縫い付ける
ということなのですが
お客様が指定されるワッペンの
位置の拘りが半端ありません


1mm単位で動かされ
この位置で!
と指定されました


ピンうちもしますが
しつけを掛け
確認していただきました



お引き渡しの日
希望が叶ったと喜ばれていて
こちらまで嬉しくなりました



後日そのお客様が再来店され
デニムのジップの上にある
ボタンホールの傷みを直して欲しいと
お直しに出されました
大切に履いてこられたのでしょう
誰もが一度は履くであろう501です
素敵に色落ちしていて
体の一部になっているかのような風情です



受け付けをしたのは80才近い先輩
失礼ながら持ち込まれたデニムの価値を
知っているとも思えず(笑)
どんな風にお直しをされるのだろう…と
大きなお世話ですがざわざわしてしまったのです



シフトの関係で
どのように直されたのかは
知らないままでした



引き取りの日
先輩がお客様の前にデニムを出しました

ま さ か ……

と私は固まりました


お客様の顔つきが変わります
それはそうです
大切なデニムが悲し過ぎます


それは
ボタンホール部分が切り取られ
色も違うデニムでボタンホールを作り
切り取った部分に縫い付けられていたのです


どう見てもちぐはぐですし
ぶっつりそこだけが浮いて違和感で
馴染みもせず合っていません


このようにしか
直せなかったですか?
他に方法は無かったですか?

お客様が質問されましたが
お持ち帰りになりました
クレームが出てもおかしくないです



デニムが泣いています
お客様も心が泣いています



お洋服が大好きだと
ひしひしと感じるお客様だっただけに
お直しという仕事をしつつ
本当に悲しい出来事でした



こちらは自分のデニムでリメイクしました


あの頃お直しを承けるお店で
ダーニングのような手法を
取り入れる柔軟性があったならば
今もなかなかないでしょうけれど



デニムが笑顔に
お客様が笑顔になれた気がします



私がリメイクが好きなのは
直すことで笑顔になれる
直ったら嬉しくて
笑顔になっていただけるから


その笑顔に出会いたいですし
そうなると信じています




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