どうもこちらの前編の記事が忘れ去られているようです。こちらの前編があって、後編になりますので、こちらからお読みくださいね。
Sportymagsさんからオータム・クラシックの感想が届きました。とても読み応えのある記事です。彼女の感動がたっぷり詰まっているので、とても長くなりました。前編、後編に分けさせていただきました。
(つ、疲れた・・・ )
Yuzuru Hanyu: My Experience at the Autumn
Classic
前編 ユヅル・ハニュウ:オータム・クラシックでの私の体験
https://sportymags.wordpress.com/2015/10/16/yuzuru-hanyu-my-experience-at-the-autumn-classic/
※こちらは翻訳記事で、筆者はカナダの方です。
二か月間、待ちに待った日がとうとうやってきた!!!バリーに間に合った私はチケットを求めて朝早く、行列に並んだ!
たとえこの記事がおそらく長いものになるだろうとしても、ユヅを実際に見て、私は全く言葉も出なくなってしまったと言うことを、まず言わなくてはならない。それとは反対にここでは大いに語ることになるのだが。
私が目にしたすべてのことをきちんと消化し、初めてのユヅ生観戦体験について語るための言葉を見つけるのには1日を要した。
練習セッション:
競技会やアイス・ショーでユヅがプログラムを演じるのを実際に目にすることは、特別な名誉である。
しかし、ユヅの競技会での練習セッションをまるごと見るという体験は、本当に魅惑的なものである!!
まず最初に言わせてほしいのは、テレビや動画ではユヅのスケートがどれほどスピードがあり、自然に見えるかを正確に伝えることはできないということだ。
彼のスケートの努力の痕跡を見せないストロークは、純粋に魔法のようだとしか言いようがない。
最初の練習セッションで、ユヅはブーンと風のようにゲートから飛び出してきた。
まず最初のジャンプとして、彼はちょうど私の目の前で巨大なトリプル・ループを難なく決めて見せた。これがウォーム・アップを始めるジャンプなの??何ということだろう!そのとき私は本当に滅多に起こりえない楽しみに直面しているということを知ったのだ!!!
次のウォーム・アップ・ジャンプ:さあ、それではちょっとトリプル・アクセルを跳んでみよう。二つのスプレッド・イーグルでサンドイッチして。それはあたかもワルツを踊るような大きなジャンプであった!
彼にとってそれは、呼吸をするのと同じぐらい簡単に見えるジャンプである!!それぞれのジャンプの高さと飛距離は、特にトリプル・アクセル・・・壮観であった。
アランデール・レクリエーション・センターのアリーナはオリンピックサイズである(100X200フィート=35X60メートル)。
通常のNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)のリンクと比較すると、15フィートほど余分にあり、ユヅのような大変なスピードとパワーを持ったスケーターにとって、それは重要なことなのだ。
それから、練習開始から数分以内に、4回転ジャンプが来た!40分間の練習セッションの中で5分後には、私のために旅は既に準備されていた!!
私を信じてほしい。私はこれまで数々の国際試合の練習セッションを実際にこの目で見てきたが、これと比較できるものはないと言ってよいだろう!!!
ワオ!今や多少色眼鏡的な言い方かもしれないが、私は、チーム・ジャパンの新しいブルーのウォーム・アップ・ジャケットが、これまでの中で一番気に入っている。
誰が年々チームのトレーニング・ジャケットを選ぼうと、皆、チームのユニフォームを見る目があると思う。チーム・ジャパン(フィギュア・スケートにおいて)はいつも素晴らしい。
最初の練習で、ユヅはSeimeiをやっていた。最初のステップ・シークエンスは息を飲むほど素晴らしかった;それは驚異のジャンプとスピン以上に、人々をプログラムの中へ引き込むのだ。
トウが導くすべての動きが、音楽の特有なビートにはっきりと同調していた。そして、強調のために足を踏み鳴らして出す足音とともに、エンディングのポーズは完璧そのものだった。
こうした練習を通して、スケーターがすべてのエレメンツを盛り込んだ完全なラン・スルーを行うことは稀なので、プログラムの筋は素早く構築される!!!
何が本当に素晴らしかったかというと、ユヅが最初の練習セッションでラン・スルーに現れた最初のスケーターだったということだ。
彼の音楽がアナウンスされ、彼が氷の中央の位置に着いた時、すぐさまアリーナ全体が静寂に包まれた。それは夢のような素晴らしい瞬間だった。
あらゆる雑音もささやき声もなくなり、練習のラン・スルーへのファンの注目度はこのようなものであった。
または、もしかして、ただそれに気づくことができないほど、私が魅了されていたからだろうか?
その場にいたすべてのファンが、私と同じようなことになっていたと思う。ユヅの名前がアナウンスされると、完全に引き込まれ、彼のすべての動きに注意を払う心の準備をしたのだ。
最初の練習の間中、ユヅは4回転トウループのタイミングに問題を抱えていた。
彼はいつものジャンプの高さに達することができていなかった。だからたとえ彼が完全に、または完全に近く回転していても、何度も失敗していた。
深く膝を曲げた着地も、彼の失敗した4回転トウループのいくつかを救うことはできない。
しかしながら、二回目、三回目の4回転トウループへの試みはどれも完璧であった。
それからユヅは何か他のことをしに行き、異なるバージョンの4回転トウループ(シングル・バージョンとコンビネーション・バージョン)のために戻ってきた。そして3つか4つさらに4回転トウループを試みた。
ユヅは4回転サルコウについては、4回転トウループほど練習をしなかった。というのも、練習中、4回転サルコウの成功率は90-95%だったから。
あえて言わせてもらうと、彼は「トウ」系ジャンパーというよりは、むしろ「エッジ」系ジャンパーなのではないだろうか?
すべてのスケーターは、他のジャンプより易しいと感じるジャンプを1種類は持っている。
2つのカテゴリーのうちの1つにたいてい当てはまる。エッジ系ジャンプ(サルコウ、ループ、アクセル)はユヅのスィート・スポット(ボールを打つ時のバットやラケットの最適打球点)に当たっているように見える。
一方、トウ系ジャンプ(トウループ、フリップ、ルッツ)では彼は時々奮闘している。4回転トウループを除いて、ユヅの全てのジャンプはシーズン・オフの間に進化したように見える。
ユヅはトリプル・フリップをより楽に跳んでいるように見える。トリプル・ルッツはより着実なものになってきているようだ。しかしながら、彼は、まだ時々着氷の際に腰が折れてしまう。
正直に言うと、この最初の練習セッションにおいて、(ナムを除いて)誰が同じセッションにいたのかを思い出すことができない。というのも、ユヅから目を離すことが全くできなかったから。
ナムや他のスケーターたちに失礼なことを言おうとしているのではなくて、私はユヅにとても集中していたのだ。ユヅの練習を見る機会は本当に稀だから。私は一瞬たりとも無駄にしたくなかったのだ。
最初の練習セッションの後、私は光栄にもユヅにプレゼントを渡すことができた!!ユヅが私のプレゼントを持っていくところを写真に撮ってくれたファンの方、ありがとう!!
2日目の練習セッションでは、彼は異なるアンダー・アーマー(長袖、その下は半袖)を着て現れた😊。
そして、素晴らしいヘリコプターのダブル・ループを跳び、再び私の正に目の前で巨大なトリプル・ループを跳んだ。
このようなものを連日見ることに慣れてしまうなんてどういうことだろう!!
そして次に、ユヅの通常のルーティーン、とても大きな、素晴らしいトリプル・アクセル。まるで天からの授かりもののようである。
ユヅのアクセルの質と比べることのできるトリプル・アクセルなんて出てこないだろう。ユヅの本当に素晴らしい“基本的な”ウォーム・アップのルーティーン!!信じがたい素晴らしさ!!!
もう一度言うが、ユヅのジャンプはまるで呼吸をするかのように自然に見える。ユヅは練習の間中、終始とてもリラックスしているように見えた。そして、とても集中していた。
もしあなたが練習セッションをライヴで見るという喜びの体験をすることがあれば、ユヅから目を離さないようにと言いたい。
もし目を離せば、信じがたいほど素晴らしものを見過ごしてしまうかもしれない。
ユヅは通常の氷の上での練習のように、通行権を与えられたリンクの端をただスケートで周回していながら、突然、パタンと、完璧な4回転ループを何もないところから跳ぶのである。美しいエッジと、流れるような着氷で。
4回転ループは現在の彼のどちらのプログラムの中にも組み込まれてはいないにしても、彼は、練習セッション♯2で1つを入れた。何の前触れもなく、彼はたった1度、1回だけ跳んだのだ!!!美しかった!!!それを見逃さずに済んだことに感謝の念が沸いてきた。
そのあと、彼は4回転サルコウの練習に戻った。このことは、ユヅが以前、4回転ループの練習が4回転サルコウの感覚をつかむのに役立つと言っていたことと意味を成す。
完璧な4回転ループの後に完璧な4回転サルコウが来た。その策略は完璧に作動した!
練習セッション #2で、彼は再び4回転トウループでトラブルに見舞われた。私はそれは大きな問題ではないと思う。
ユヅはこれまでの4回転トウループの確実性と同じレベルに達していないだけだ。スケート・カナダまでにブライアンとユヅがこれを戻してくることを期待している。
ユヅがサイド・ボードのそばに寄って来たときに、ブライアンは4回転トウループへ入る時の角度を固めるよう指示していた。
ユヅはジャンプのエントリーのより深いカーブに対して、あまりにもまっすぐに4回転トウループに入っていた。
ユヅは愛らしくただ頷くと、リンクの端まで行って、先ほど彼が4回転トウループを試みた場所で氷に刻まれたエッジの後をじっと見つめていた。
彼は少なくともたっぷり1分間はそこに佇み、氷を見つめ、自分自身でエッジを吟味していた。何と素晴らしいテクニシャンだろう!!それから、彼は完璧な4回転トウループを決めてみせたのだ。
3つの練習セッションをたっぷり見届けて振り返ると、ユヅはどの練習セッションでもスピンについては数回練習しただけであった。
彼のスピンは少し早く、ポジションもタイトになったように見える。彼はクリケット・クラブに戻った後、それらをかなり練習したのだろう。
ユニークなスピンのポジショニングについては特に目新しい点はなかったが、しかし、それでもなお、誰もが本当に注意を払わずにはいられないものである。それはSeimeiの全体的なパッケージの全てである。
ショート・プログラムのイベントで最も忘れ難い瞬間は、ユヅがウォーム・アップ・ジャケットを脱いだ時だった。
会場全体が「ワオ!」と口にした!それから私はショート・プログラムの動画を見たが、残念なことに、観客たちのこの瞬間が聞こえない。
しかしそれはほんのちょっとの間のことだったのだ!!その次の瞬間の音は何百というカメラのシャッター音とビデオカメラのモーター音であった!!
昨年、ISUがルールを変更したため、スケーターは自分の名前がコールされたら30秒以内に氷の上のスターティング・ポジションに着かなくてはならない。
今シーズン、ユヅはスターティング・ポジションに着くまでどのくらいかかるだろうか??
ここにユヅがポジションを取るまで23.5秒かかったという証拠がある。時計は1:00でカウント・ダウンを始めた。そしてスケーターがスターティング・ポジションで完全に静止する時、止まるのだ。
それは多分、毎回寸分違わぬほどまで正確ではないだろうが、しかし、ここにユヅが動きを止めてなお6.5秒持っていたことがわかる。
新しい衣装についての私の感想;私の最初のリアクションはワオ!だった。そこには前の衣装にはなかった輝きがあった。
新しいラインストーンがより幻惑的にきらめいているのかどうか私にはわからない。というのも新しい衣装はブルーよりホワイトの素材の方が多くなっているから。
または、蛍光灯の眩しい光の下で、たった5フィートしか離れていないところから実際にそれを見ていたからかもしれない。
両サイドの新しい肌色の部分は興味深かった。まず私は両サイドに入った新しいベージュが気に入った。
しかしそれから、ユヅがじっと立っている写真を見て、彼が動いていない時、それらがきちんと収まっていないことに気付いた。
ユヅのテイラーがそれをちょっと直してくれることを願っている。
ブルーが再び濃くなってくるかどうかを見るのに、私たちの目はシーズンを通して釘付けになるだろうと思う。
彼の衣装の幅広いウェストのベルトは、彼がそれらを身に着けている全ての衣装の中でも私のお気に入りのパーツである。
さて両方の衣装を並べて見るチャンスを得たが、どちらか私の好みかよくわからない。
男子シングルのファイナルがスタートする前にかわいらしい瞬間があった。
アナウンサーがファンにアドバイスしていた。「スケーターの安全のため、氷の上に何も投げ入れないでください。」突然、小さな少女たちの声がスピーカーから聞こえてきた。同じことを日本語でアナウンスしたのだ。
あるいは、少なくともそれは同じ内容のアナウンスだったと推測している。私は何を言っているのかわからなかったから。
それはとてもかわいらしかった!実に主催者側は即座に決断し、スタンドで話されている言語(英語、フランス語、日本語)に応じたのだった!!
皆がルールを守ったのを嬉しく思った。何と素晴らしい大会だろう!
「後編 ユヅル・ハニュウ:オータム・クラシックでの私の体験」に続きます。こちらです↓