「おはようございまーす。」
「お願いしまーす。」
今日から、一年生役のキョーコ達も、テニスウエアでの撮影が始まる。
既にテニスウエアでの撮影を開始していた、
ニ・三年生役の女の子達で見慣れているとはいえ、
キョーコのスコート姿には、視線が集まる……。
(わー……、可愛いなぁ、京子ちゃん。
今日から俺がテニスの指導役やし、
この撮影で仲良くなるぞー!)
(……やっぱり可愛いなぁ……。
おっと!そうだ……敦賀蓮の反応は……?
…………見てはいるものの表情一つ変えてねぇ……
秀人はあぁ言ってたけど、
ホントに京子ちゃんのこと狙ってんのか……?)
* * * * * * * * * *
ーーーStory within a storyーーー
パカーーーーン
パコーーーーン
航太「いい?グリップはこう握って……、
うん!そうそう!
人差し指は軽く…力を入れすぎないようにね。」
由紀「…ハイっ!」
航太「じゃあまずは基本的な構えから。
足を肩幅に開いて、膝を曲げて……」
絵美「えー!?祐二さん、もう一回~!」
祐二「はいはい!
絵美ちゃん、手首は動かさないでそのままね、
そうそう!
ほら、ラケット下がってるよ!」
絵美「えーっ、難しいぃ~~」
祐二「大丈夫大丈夫!はい、もう一回~!」
* * * * * * * * * *
「お疲れ様でしたー!カメラチェック入りまーす!」
「京子ちゃん!」
「あ、村雨さん…!
あの…、この間はすみませんでした…。」
キョーコは申し訳なさそうに深々と頭を下げる。
「いいよいいよ!そんなこと。
こっちもイキナリ誘ったのがいけなかったんだし。
それでさ!二人で、ってのはマズいのかもしれないけど、
皆でならどうかなーっと思って!」
「皆で……?」
「そ!ほら、撮影では新人歓迎会をやったけど、
実際に俺らの親睦会みたいなのって、まだなかったじゃん?
って、さっきスタッフさんとも話してたんだけどさ!どうかな?」
「そうですね……。
皆さんでの親睦会なら…。」
キョーコは少し目を泳がせつつも、肯定の返事をする。
「じゃ、決まりね!
他の皆にも話してくるねー!」
村雨は爽やかに片手を上げながら走り去った。
「……村雨さん、ホントに親睦会とか、そういうの好きなんだ…。」
キョーコは、走り去った村雨の後ろ姿を見ながらポツリと独り言ちた。
すると、キョーコの後ろから……
「全くだねーーー。」
頭上から聞き慣れた声が降ってきて、キョーコは慌てて振り返る。
「つっ、敦賀さんっ!」
「全く、村雨くんはホントに共演者との馴れ合いが好きなんだね(笑)」
蓮は大きな身体を折り曲げ、
キョーコの耳元で小さな声で話す。
「つ、敦賀さんも行かれますか…?
親睦会…。」
「クスッ、もちろん。
もう俺はカイン・ヒールじゃないからね。」
周りに聞こえないようにと、キョーコの耳元で話し続ける蓮に対して、
キョーコはつい先日のことを思い出し…
「あのっ、ち、近いです///」
耳を押さえて赤くなるキョーコ。
「……何かな?その反応は…
…こんな人前で舐めたりしないよ?」
「なっ!?///
今それを言わないで下さい~っ///」
キョーコは真っ赤な顔でポカポカと蓮の胸元を叩いた。
「ごめんごめん(笑)」
そんな二人の様子に気づいた村雨。
(………あの二人、あんなに仲良かったんだ……。
まぁ確か同じ事務所だしな……。
って…、それにしても仲良すぎじゃねぇか…?
………俺も負けてらんねぇっ!!)
一人闘志を燃やしていたのであったーーー。
⇒ Intertwined love (12) へ続く