ーーーStory within a storyーーー



航太「そうそう!
由紀ちゃん、今のストロークいいよ!」


由紀「はいっ!」


航太「……おっと!あー、ネットだね。
ちょっと休憩しよっか。」


コート脇のベンチに移動する二人。


航太「由紀ちゃん、だいぶ上達したね。」


由紀「えへへ。そうですか?」


航太「うん、してるよ!
流石に初心者では今年の夏の大会には間に合わないけど、、、
来年には、バッチリ戦力間違いないよ!」


由紀「ありがとうございます!

航太さんの教え方が上手いんですよ。」


にっこりと笑う由紀。

すると、そこにーーー


絵美「おつかれぇ~~………」


由紀「絵美、お疲れ様。

……どうしたの?」


絵美「…………。

祐二さん…、この後デートだからって、
帰っちゃった……。」


由紀「えっ!?

でも、彩花さんまだいるよ…?」


祐二の彼女はまだコートで練習を続けていた。


絵美「彩花さんとは別れたって…。
今は別の人……。」


由紀「ええっ!?
あんなに仲良かったのに……。」


その場で話を聞いていた航太が口を開いた。


航太「あぁ~~………
祐二は、ずっとそんな感じだよ…(笑)
サークル内外問わず、取っ替え引っ替え……。」


由紀「そうなんですか!?」


航太「まぁモテるしねぇ(笑)」


あははと乾いた笑いで話す航太。


絵美「………陽平さんは?」


航太「え?」


絵美「陽平さんは、彼女とかどんな感じなんですか?」


由紀も気になっていた内容に息を飲む…。


航太「あぁ。陽平は……今はいないよ。」


その言葉に少し胸が弾んだ由紀…。


絵美「今は…ってことは、前はいたんですね?」


航太「あぁ~~……。
絵美ちゃん鋭いね(笑)まいったな…

まぁ一年生以外は皆知ってるし…
何処かから話が漏れるのも時間の問題…ってことで…」


由紀は再び息を飲んだ…。


航太「一年の終わりから去年の今頃くらいまでかな?

オレらと同じ三年の…真理奈と付き合ってたよ。」


由紀「真理奈さん……」


練習場を見回してその姿を探すと、
一人壁打ちをしている真理奈を見つける。


航太「うん、すごく仲良かったんだけどね、突然別れちゃって…
何で別れたのかは誰も知らないんだけど……
それ以来、二人ともずっとフリーだよ。」


真理奈はサークル内でも1、2ではないかというほどの美人な先輩。
ただ、よく一人で練習をしている姿が見られたりと、
あまり女の子同士ですら連(ツル)むことのないような先輩だ。


由紀「そうなんだ……。」


航太「あぁ、由紀ちゃんは陽平と知り合いだったんだっけ?」


由紀「あ、はい…。
でも子供の頃のことですし…
今は挨拶くらいしか………。」


由紀はそう思うと、何故か急に切なくなった。
陽平のことは何も知らないんだと、
改めて実感させられてしまったようでーーー



*  *  *  *  *  *  *  *  *  *



その日の練習の帰り道、
一人とぼとぼとバス停に向かって歩く由紀の後ろからーーー


「ーーー由紀っ!」




由紀「………陽平くん……。」


陽平「そこのバス停だよね?
……一緒に帰ろう?」


優しく微笑む陽平に、胸がキュンとする由紀…。


陽平「ごめんね?
ずっと由紀と話したいと思ってたんだけど、
なかなかタイミングがなくて……。」


その言葉に、さっきまで少し落ち込んでいた由紀の目から涙が零れる。


陽平「ーーーっ!?

………由紀の泣き虫は変わってないなーーー。」


一瞬驚いた陽平だったが、優しく由紀の頭を撫でる。


由紀「わ、わたしもっ、
話したいこと……、聞き…たいことっ……
たくさん、あったけどっ……」


陽平「うん、ごめんね…?」


陽平は幼い頃よくしていたように、
由紀の頭を撫でながら、優しく抱き寄せた。


由紀「また、会えると…思ってなくてっ、
…でも、う…嬉しくてっ」


泣きじゃくる由紀の頭と背中を擦りながら、
落ち着くまで抱き締める陽平。



それから二人は、今までの時間を埋めるかのように話し続けたーーー。

陽平の引っ越しの理由、引っ越し先、
お互いの中学、高校進学のこと、
今の大学に志望した理由ーーー。

何本もバスを見送り、辺りが真っ暗に染まるまで、二人は話し続けたーーー。




⇒ Intertwined love (16) へ続く


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ふぅ、、、やっと接触(^o^;)
毎回行き当たりばったりです…(笑)
大まかなあらすじしか決めてないので、
その回ごとの終わり方は、実は書きながら持っていってます…。
こんなんで最終的に辻褄が合うのかしら……(笑)