キョーコの挨拶に、


「えええええぇぇぇぇ~~~~っっっ!!!???」


と絶叫しながら腰を抜かした村雨を見て、近衛監督は言う。


「あぁ、村雨くんは今、
  敦賀くんと京子さんと一緒に映画の撮影中なんだよね?」


村雨一人が腰を抜かしている様子に、
近衛監督は更に補足する。


「えっと、、、
  見た目では分かりにくいかもしれませんが、
  京子さんは、あのダークムーンで未緒を演っていた方です!」


その言葉に出演者たちは驚き、
キョーコは恐縮する。

更に蓮が、


「それから彼女は、昨シーズンのドラマ、BOX“R”でナツを演じていた女優です。」


と付け足すと、どよめきが大きくなる。


「あの、皆さん…。
  私の雪花もカインに負けず劣らず、
  皆さんに対して不遜な態度を取りまして、

  本当に申し訳ありませんでしたーーー」


再度深々と90度の綺麗なお辞儀で陳謝するキョーコの姿にも、
自然と拍手が沸き起こったーーー。

ほっとしたキョーコは蓮と顔を見合わせ、蓮は優しく微笑んだ。


「見ての通り、京子さんも素晴らしい女優さんです。

  僕は敦賀くんと京子さんのお二人と、
  皆さんの協力のお蔭で、本当にいい映画が撮れた…。

  改めて、感謝致しますーーー。」


近衛監督は、再度深く万謝した。


集まっていたトラマファミリーは、
このサプライズに対して、大きな拍手で締め括ったーーー。




*  *  *  *  *  *  *  *  *  *




その後、まだ驚きと興奮の冷めないトラマファミリーは、控え室にて雑談を続けていた。


「カインさん、カインさんっ!

  私っ、敦賀さんの大ファンなんですぅっ!!

  なので、カインさんが、敦賀さんで嬉しすぎますっ!」


愛華は目をハートにさせて、相変わらず蓮の周りに纏わりついていた。

もう村雨というストッパーも動かないため、
愛華はずっと蓮の腕に絡み付いたままだ…。


(愛華さん…、ますます敦賀さんに懐いちゃってる………。)


当然キョーコは面白くなかったが、もう投げ飛ばす訳にもいかない…。


「………京子ちゃん……。」


「ーーー?

  村雨さん………。」


控え室の端に座っている村雨に呼ばれたキョーコ。


「ホントに驚いたよ………。」


「今まで言えなくて……、

  すみませんでしたーーー。」


キョーコは改めて頭を下げた。


「……もしかして、

  京子ちゃんと敦賀くんってーーー」


その時、村雨の話を遮るかのように、
蓮の周りがざわつき始めた。


「おい、本人に聞くのかよ!?」


「いや、でもこのまま変な風にマスコミに流れたりしても、マズイだろ!?」


ざわつきに気付いたキョーコと村雨。


「………あのっ!敦賀さんっ!

  前に特殊メイク班から聞いたんですが……

  敦賀さんの首筋にガッツリ歯形とキスマークがあったことがあるってーーー!」


思い切って、蓮本人に聞いた男性出演者に対して、周りが焦る…。

しかし蓮は、


「ーーーあぁ、ありましたね。

  そんなこと。」


ニッコリとした紳士スマイルで、
あっさりと認めた。



その時のキョーコはーーー


(つつつつ、敦賀さんっ!?

何さらっと認めちゃってるんですかぁぁぁ!!!?)


と、口をあんぐりと開けて固まっていたーーー。


「そ、それってもしかしてーーー」


更に男性出演者は、相手のことまで問い詰めるかのごとく、
視線をキョーコの方へと移すと、
控え室にいたほぼ全員の視線がキョーコに集まるーーー。


(ーーーーーーっ!?)


お鉢が自分に回ってきたキョーコは、
言い訳など一切思い付いていなかった為、
顔面蒼白で固まった。


そのキョーコの様子に気付いた蓮は、
愛華の手を振りほどき、ゆっくりとキョーコに近づく。


皆の視線を避けるように下を向いてしまい、
固まったままのキョーコの頭を、
蓮は抱きかかえるように引き寄せた。


「皆さんが思っているようなことは何もありませんよ。

  あくまでも、彼女との演技対決でしたからーーー」


そして、すぅーーーっと表情をカインのものへと変える。


「俺が、セツと何をしようが、
  お前たちには関係ないーーー。」


カインとして、でも皆に分かるようあえて日本語でそう言った蓮は、
そのまま抱きかかえているキョーコのこめかみに、チュッとキスをした。


その様子を、近衛監督始めトラマファミリーは頬を染めながら見入っていたーーー。


そして、蓮にキスをされた瞬間、キョーコはーーー


(ーーーっ!!

ダメよ!キョーコっ!!

敦賀さんはカインのスイッチを入れたのよ……。

私も、セツにならなきゃーーー!)


ようやく思い立ったキョーコは、
蓮の首に腕を回し、


「兄さんは、アタシのモノっていう

  シルシを付けただけよーーー?


  悪いーーー?」


そう言いながら、蓮の首もとに唇を寄せ、
チュゥ……と音を立てながら、
吸い上げたーーー。


その瞬間、あちらこちらから
キャーーー!!といった悲鳴が沸き上がった。




⇒ Intertwined love (19) へ続く


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まだ続くよ…(* ̄▽ ̄)えへ