「祐二っ!!

やめろっーーー!!」


勢いよく扉が開いて、部屋に飛び込んできたのはーーー


祐二「チッーーー


航太かよ………。」


祐二は舌打ちをしながら、
後は宜しくと言わんばかりに、航太の肩にポンと手を置き、
そのまま部屋を出ていったーーー。


航太「ーーー大丈夫?

由紀ちゃん………」


そっと由紀の方に近づく航太。

その気配にハッと気づいて、ようやく状況を理解した由紀は、
下着が見えそうな程捲り上げられたインナーを慌てて下げ、
ウェアの前を掻き合せ、航太に背を向けながら身体を起こして、
そのままベッドに座ったーーー。


航太「………っ!///
ごめんーーー。

部屋の外で待ってるから、
……落ち着いたら出てきて?」


航太はそう言うと、部屋の外へ出た。


由紀「…………………。」


由紀は、頬を伝う泪を拭いもせず、
そのまましばらく茫然としていたーーー。





* * * * * * * * * *





「カットーーーー!OKー!!

このまま休憩に入りまーす!」


カットの声が掛かると、
キョーコに女性スタッフが駆け寄り、
大きなタオルを肩から掛け、控え室まで付き添った。


「京子ちゃん、さっきのシーン良かったですよ!
敦賀くんとのラブシーンも期待してますね!」


そう言い残して控え室を出ていった。


「ラブシーン………。」


先日、蓮のマンションでラブシーンの練習をして以来、
蓮と会うのはこのロケが初めてとなるキョーコ。

演技の練習とはいえ、初めて感じた蓮の温もりが忘れられず、
何とも言えない気持ちを抱えていたーーー。

着替えを済ませ、ぼーっとしていると……、


ーーーコンコン


とキョーコの控え室の扉が鳴った。


「ーーーはい?」


「キョーコちゃん、社だよ。
一緒にお昼食べよう?」


その声に控え室のドアを開け、
声の主と共に、その担当俳優も招き入れた。


「おっ、お疲れ様ですっ。

社さん……と、敦賀さんーーー。」


恐る恐る想い人を見上げるキョーコ。


「お疲れ様、最上さん……。」


(あれ?なんか……様子がおかしい……?)


「キョーコちゃん、さっきのシーン良かったよ。」


社の言葉にビクッと反応するキョーコ。


「えっ……、み、見てたんですか…?」


「うん、別室のモニタールームでね。
結構みんな見てた…かな。」


「っ!?そうですか……」


ということは、蓮も……とチラリと様子を確認すると、
やはり何となく不機嫌な無表情であった。


(何だろう……。
さっきの私の演技、変だったのかな……。)


「明日はいよいよ、蓮とのラブシーンの撮影だね、キョーコちゃん。

…大丈夫?ロケに来てからずっと緊張してるようにも見えるけど……」


「えっ?……あ、えっとーーー」


確かにずっと緊張をしていたキョーコが答え倦(アグ)ねているとーーー


「大丈夫ですよ、社さん。

ーーーね?最上さん……。」


「……っ!?

は、はぃーーー///」


二人の様子に社は、


「………。

蓮、キョーコちゃん……。
何かあった……?」





* * * * * * * * * *





社が二人に鋭い突っ込みをしていたのと、同じ頃ーーー





(ヤバイ……マジでヤバイ……。

総長(ヘッド)時代に言い寄ってくるオンナとは、
それなりに遊んでたけどーーー

こんなん初めてだーーーっ///)





(どうしよう、どうしようっ///
きょっ、京子ちゃんの素肌っ…
お、お腹だけだけど……っ

見ちゃったーーー///)





それぞれの控え室で、悶々と過ごす健康な成人男子達がいたのであったーーー。




⇒ Intertwined love (29) へ続く

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撮影用に貸し切っているホテルは、
撮影用の部屋、モニタールームなど、機材搬入をしている部屋、
出演者・スタッフの控え室などに分けて使っている。
的なイメージです♪
ホントにそんな風に撮影するのかは、
………もちろん知りません( ̄▽ ̄;)

それから、実際のロケはもっと長期かと思いますが、
同時に劇中劇の話を進めているので、
劇中劇の時間の流れと撮影時間の流れが同じになっちゃってますが、
お気になさらず~~(* ̄∇ ̄)ノ