ギシリ…


「はい、前開けて?」


「せ、先生っ、何で白衣脱ぐんですかっ!?」


「ん?聴診器はつけてるからいいだろう?」


「いや、でもっ…」


キョーコはベッドの枕側を背に座りながら逃げる。


「とりあえず前開けて?

  それとも、俺が開けようか…?」


「っ/////

  あ、開けますよっ……」


キョーコはブラウスのボタンを上から2つ外し、開く。

そこへ冷やりとした感触の聴診器を当てられる。


ドクン、ドクン、ーーー


「ーーーうん…、異常はないけど、
  少し鼓動が速いね……?」


「っ!あ、当たり前じゃないですかっ!!

  こっ、こんな状況でっ///」


「こんな……ね。

  ところで……、君の妄想相手とは、誰なのかな?

  “好きな人” って、言ったよねーーー?」


眼鏡の端を持ち上げながら、蓮は問いただす。


「っ、言わなきゃ……ダメですか……?」


キョーコは、上目遣いに哀願する。


「……うっ。

  そうだね。話してもらわないと…
  適切な治療が出来ないからね。

  君は、誰を相手に妄想してしまうのかなーーー?」


「………ん、ですーーー」


キョーコは蓮から目を逸らして答えた。


「え?」


今度は意を決して蓮をしっかり見据える。


「っ、敦賀さんですっ!」


少し投げ遣りに声を荒げ答えた。


「………えーーー///」


蓮は思わず乙女のように赤面する。

キョーコは、ぷぃと頬を膨らまし、横を向いたーーー


「ーーーなるほど、ね。」


蓮は眼鏡を外し、ベッド脇のサイドボードへ、コトリ…と置く。


「じゃあ、尚更、俺がしっかり治療しないとーーーね?最上さん……」


「………えーーー」


キョーコが蓮の方へと向き直ると、
既に目の前にその眉目秀麗な顔が迫っていて、
そのまま距離がなくなったーーー


「ーーーんっ………」


軽く重ねられた口唇が離れる。


「ちなみに、俺も、妄想してしまっていたんだーーー」


「へ?」


真っ赤に紅潮したキョーコが聞き返すと、


「君が、俺のことを好きなんじゃないかーーーってね。

  でも、いつも自分で否定していたよ。

  度重なる学習能力で、ね?」


蓮はクスクスと嘲笑った。


「すみません……」


「君が好きだ。

  俺の妄想も、最上さんが治療、してくれるーーー?」


キョーコは蓮の言葉に対して、


「ーーーはい。私でよければ。」


にっこりと微笑んだ。


「君じゃなきゃ、ダメなんだーーー」


二人はもう一度、口唇を重ね合わせる。

今度は、深くーーー。





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あれれ?

続いちゃったし(笑)