Side.K





サァァァァァ~~~…

ジージージージー…

ピチチ……バサバサッ…



「わぁ~~~っ♪」


(森の妖精さんに、水の妖精さん、
風の妖精さんに、光の妖精さんもっ!!♪)


「………クスッ。」


「っ!!

  す、すみません……一人ではしゃいじゃって……。」


「いや、こういう所、好きだろうなと思って。」


「好きですよ?」


「クスクス……俺もだよ。」


「……///」




*  *  *




昨夜の仕事終わり。
事務所で会った敦賀さんと社さん。

逢えただけでも嬉しくて、挨拶だけして帰ろうと思っていたら…。


「あ!そういえば、キョーコちゃんも明日夕方までオフだよね?

  偶然だなぁ、蓮もなんだよ!な?

  そうだ!久しぶりの依頼として、コイツにお昼ごはん作ってやってよ、キョーコちゃん。

  夏バテ気味なのか、最近あんまり食べてないし、な?蓮。」


「まぁ…そうですね…。
 
  最上さん、お願いできるかな?」




超人的スケジュールの敦賀さんが、珍しく明日は夕方までオフだという。

私の高校も夏休みのため、今はお休みで……。

昼間にオフが重なるなんて珍しいことはなかなかないし、夏バテ気味なんて聞いてしまったらもちろん断る理由もない。


「分かりました。

  明日のお昼前に、買い物を済ませてお邪魔させて頂きますね。」


そう言って約束をし、結局いつものようにだるまやまで送って頂いてしまって、一息ついた頃。

携帯電話が鳴った。


「最上さん?俺だけど…。

  やっぱり明日は家じゃなくて出掛けない?

  せっかくの昼間のオフだし、ね。」



*  *  *



そして、朝迎えに来て下さって、


「どこに行くんですか?」


と尋ねると、


「……内緒。」


と車を発進させた敦賀さん。

見慣れた景色から、次第に山に囲まれた地域へと移り、都心から車を走らせること約2時間。

すっかり山奥の人里離れた場所まで来てしまった。

コーンの森とはまた全然違うけど、たくさんの木に囲まれ、沢の水が流れる自然溢れるその場所に、私の心は躍った。


(ところで……お弁当……作ってきた方がよかったんじゃないかしら……)


そんなことを考えていたら、


「こっちだよ、最上さん。」


と石で出来た階段を登っていくとーーー





「えっ!?」


『いらっしゃいませー』


「ここは……」


「流しそうめん。
  やったことなくて、一度行ってみたいと思ってたんだ。
  今日のお昼はここ、いいかな?」


簡単な屋根だけ作られたその場所は、決して広くはなく、けれども石造りの流しそうめん台がとても新鮮で、また岩魚の塩焼きや、甘辛だれのお団子も焼かれ、香ばしい匂いも漂っている。


「はい!もちろんです……!」


穴場なのか、お客さんもほとんどおらず、いてもご年配の方。
私たちの顔も知らないようで、安心した。

外で、しかもこんな自然の中で、敦賀さんと一緒にお食事が出来るなんてーーー



案内された席に座ると、目の前の流しそうめん台を見つめる私たち。


「流しそうめんって、上から流れてくるやつだけじゃないんだね?」


よく見る一般的な流しそうめんは、竹を半分に割ったものを斜めに立て掛けて、上から下へと流すもの。
それからたまにお店や家庭用で見かけるのは、円形に機械で流れるもの。

ここのはそのどれとも違い、長方形の石造りのレーンを、沢から汲まれた水の勢いで、平坦に流れている。
そのためレーンを囲んで数人が座って食べられる仕組みのようだ。


『はい、どうぞー』


そして、お店の人に置かれたおつゆの横には…


「えっ?ワサビ?」


「ん?ワサビがどうかしたの?」


「いえ、その……、おそうめんにワサビって、あまり添えないもので…」


「そうなんだ?

  まぁでも食べてみようか、ね?」


「はい……。」


お店の人が手作業で流してくれるそうめんを取り、ワサビ入りのおつゆに浸けて食べてみるとーーー


「…!美味しいっ……」


思わず敦賀さんの顔を見ると、
神々スマイルでこちらを見ていた…///



真夏だけれども標高の少しあるその場所は、風が冷たくてとても涼しい。

私たちは、自然の中のお昼ごはんを楽しんだ。



帰る前に少し散策をし、奥の滝を見に行ったり、沢の水に触れたり……と自然のパワーをたくさんチャージして、夕方の仕事のために都会へと帰ることに……。


はしゃぎすぎた私は帰りの車で少し眠たくなってしまい、いけないと思いながらも、うとうとしていたらーーー


「今日はありがとう。」


微睡(マドロ)みの中、お礼を言われたのかな、と思っていたら、同時にふわっと頭を撫でてくれたのが分かった。



その、次の瞬間ーーー





一瞬だったけど、頬っぺたに暖かく柔らかいものが掠めた気がしてーーー



私はそのまましばらく目を開ける事が出来なくなってしまったーーー///




Fin.


web拍手 by FC2





という所へ行ってきたんですー水曜日に♪
10年くらい前からたまに通っている場所なんですが、昔より知られてしまったのか、今では穴場でもなんでもありませんが…f(^_^;

でも自然の中で食べる流しそうめん最高ですっ(≧ω≦*)
ただ、私の行った場所ではありませんが、沢の水で食中毒が起きたようですね…。
どう気を付けたらいいのかもよく分かりませんが…皆さんも行かれる際はお気をつけ下さい!