「セツ……お仕置きだ……。」
そういってズイっと乱暴に兄さんがアタシに手渡してきた、その大きな紙袋を受け取って中を覗くと……
(はっ!!これはーーーっ!)
「兄さん……アタシ……
ロシアンブルーじゃないなら、イヤ。」
紙袋を閉じてぐいっと押し戻す。
「…………。
だからお仕置きなんだろう。
いいから早く身に付けてこい……。」
「~~~っ……お仕置きっ……
分かったわ……」
んもぅっ!
セツはアメショーかロシアンブルーじゃなきゃダメなのにぃっ!!
仕方なくバスルームでそれらを身に付け、まずは鏡で確認する。
黒・茶・白の三毛耳カチューシャに、同じ柄のレッグウォーマーと指先まであるアームウォーマー。
トップスは胸の部分だけ三毛柄でそれ以外は黒のヘソだしキャミソールに、ボトムスはベルト付きの三毛柄ホットパンツ。
に、長~~い尻尾が生えている……。
んー……
でも、思ったよりはイケてるわね……。
これなら……
『やっぱりセツは何を身に付けても可愛い。
なでてやるから、こっちへ来い。』
って、兄さんはきっと……///
カチャーーー
「にゃん♪」
とりあえず猫っぽく手首を曲げてポーズを取ってはみたものの……
「…………。」
あれ?
反応がないわね……おかしいなぁ……。
もう一度……!
「兄さん♪にゃーん♪」
「セツ……こっちへ来い。」
こっち?兄さんのベッド?
とりあえず言われるがままにベッドヘッドに凭れて座る兄さんに近づくと……
「にゃっ!?」
いきなり鼻先に突きつけられた長い棒……
の先っぽに、もふもふしたものがくっついている。
「兄さ……、にゃにすんーーー」
「ほーら。」
鼻を押さえながら兄さんを見ると、楽しそうにもふもふ棒を振っている……。
じゃれつけってことね……!
「にゃっ!」
「ほらほら。」
「にゃにゃんっ!」
「セツ、掴まえてみろ。」
望むところよ!
「にゃんっっ!!」
バシッ!
やったぁ♪
「ふにゃあっ!///」
もふもふ棒に夢中で、気がついたら思いっきり兄さんの上にダイブしていた……。
「セツ……よくやった……。
ご褒美だ。」
なでなでなでなでーーー
「にゃん///
兄さんっ、やっ///そんなとこまでっ///」
* * *
「……キョーコちゃん、寝言が英語ってどういうことなんだろう?
何て言ってるのかな……?
なぁ?蓮……」
「っ、え、えぇ……。」
寝言とはいえ、英語ではっきりと“兄さん”と聞き取れることから、蓮はキョーコが自分(カイン)の夢を見ているだろうことを確信していた。
「とりあえず俺、飲み物買ってくるよー。」
「ありがとうございます。」
ラブミー部の部室から出ていった社を見送った蓮は、机上に組んだ腕に頭を乗せてすやすやとうたた寝をしているキョーコにそっと近づく……。
「んー……兄さん……もうお仕置きで三毛はやめて……次はロシアンブルーにしてぇ……」
(お仕置きだの猫の種類だの……一体どんな夢をみてるんだ……?)
「……セツ。」
蓮は思いきって寝言を話すキョーコに話しかけた。
「ん……兄さ……尻尾はイヤー……」
「尻尾?」
「触るなら……尻尾じゃなくて、耳にしてぇ……」
「耳?」
……蓮は躊躇いつつもキョーコの耳に手を伸ばし、さわさわと優しくなでてみる……
「クスクスッ、違う……アタシのじゃなくて……」
キョーコは自分の手を動かして、蓮の手の位置を変えるべく握ろうと軽く触れた時ーーー
「………………。
………………?
………………っ!?
………………にゃぁぁぁぁぁっっ!!/////」
目を覚ました。
驚いて仰け反ったキョーコが椅子から転げ落ちそうになったのを慌てて蓮が支える。
「つつつつ、敦賀さんっ///」
「クスッ、うん、おはよう。」
「おおおおはようございますぅっっ///」
傾いた椅子ごと支えられ、近距離で挨拶する二人。
「どんな夢を見てたの……?」
「っ!?///……私……もしかして……」
「うん、寝言いってたよ。
……カインの夢だろう?」
「っ!!/////」
「どんな夢?」
「…………///
お仕置きにセツが三毛猫パンクファッションさせられる夢です……///」
傾いた椅子をコトンと戻した蓮は、そのまま座っているキョーコの目線に合わせて腰を落として向かい合う。
「三毛猫……?
クスッ。それはきっと可愛かったんだろうなーーー」
俺も同じ夢を見たかったな……
と蓮はまるで熱でも測るかのように、キョーコの額に自分の額をくっ付けたーーー
(かっ///“可愛い”とかっ///
カインじゃないビジュアルで言わないで下さいっっ!!
それにっーーー!!
“こうしたら見られるかな?”ってーーー!!
貴方は天然たらしですかっ///
私にはセツの夢より“今”がお仕置きよーーーっ///)
* * *
(ビックリしたーーーっっ!!
一瞬、キスしてるのかと思ったじゃないかーーーっ!!///)
開きかけた扉をそーっと閉めた社。
(はぁ……///
飲み物、冷めちゃうよーーー?)
Fin.
ちょっと前にね、某猫○しゃんとお庭でお喋りしてたときに……
にゃんこの話題から、セツの三毛猫な表紙あったよね!とかいう話になり……
……書いちゃった(  ̄▽ ̄)テヘ。
書き始めたもののオチ迷子になり……迷走を重ねた結果……
カイン&セツと見せかけた、蓮→←キョか~ら~の~、社さんオチ?(。-∀-)アハ。