☆アメンバー100人記念☆
風月さまよりリクエスト
『カメラマン蓮様とグラビアキョーコちゃん』のお話♡












ガチャガチャッーーー


「ショーちゃんっ!?」


キョーコは、ドアノブを回す音を聴いて、このマンションに一緒に住んでいるはずの尚が、約3ヶ月ぶりにようやく帰って来たのだと、急いでそのドアを開けた。


「おかえりなさいっ!
  ショーちゃぁんっ!」


「おお、キョーコ。
  家に居てくれて良かった。」


「ショーちゃんっ……。」


久々にかけられた優しい言葉に感涙しかけるキョーコ。
今までなら、何故家にいるんだとか、邪魔だから俺が出掛けるまでどっか行ってろとか、そんな言葉しか掛けられることはなかったのだ。


「じゃあ、あとはコイツによろしく。」


ドアを開けただけで中に入ることのなかった尚は、そう言うなり一人の見知らぬ男を玄関先に招いた。


「え?よろしく?ショーちゃん?」


そのまま去っていこうとする尚を慌てて追いかけるキョーコ。
玄関先の見知らぬ男を押し退けて飛び出すと、尚の隣には大人の色気を醸し出す美女が一人。


「それが無事に済んだらご褒美をやるからよ。

  じゃあなー、キョーコ。
  あとは頼んだぜ。」


すると尚はそのまま美女の腰を抱いて行ってしまった。


「ショーちゃんっ!!
  待ってっ!ショーちゃんっ!」


急いで追いかけようとするキョーコ。
だが、その行く手を阻んだのはーーー


「こんにちは、最上キョーコちゃん?」


「誰ですか、あなた!
  そこを通して下さいっ!
  ショーちゃんが行っちゃうっ!」


尚が行ってしまうとの焦りから、若干苛つきながら行く手を阻む男に受け答えるキョーコ。


「残念だけど、そのショーちゃんとやらはもう君の所へは戻らないと思うよ?」


何でそんな酷いことをさらっと言うのかと、その男の顔を睨み付けるも、つい今しがた見た尚と美女の後ろ姿を思い出したキョーコは、いくら色恋沙汰に疎い純情乙女とはいえ、その意味するところの想像は出来てしまったのか、急に全身の力が抜けたようにその場にへたりと座り込んだ。


「そんなぁ……ショーちゃん…………」


絶望に打ち拉がれるキョーコの眼前に、その男はぺらりと1枚の紙切れを出してきた。


「これ。
  払ってくれたら、俺もすぐ帰るから。」


にっこりと笑顔を見せるその男を見て、一体何のことかとその紙切れを手に取るキョーコ。

自分の名前と印鑑が押してあることは認識が出来た。


「さ、早く払って?キョーコちゃん?」


「何をですか……?」


「ん?さっきの不破が払えなくなった借り入れの一千万。
  不破が払えなくなった場合は、君にって。
  書いてあるでしょ?」


「いいいいっ一千万んんんんっ!!?」


キョーコはその額の大きさに腰を抜かし絶叫した。


「うん。とりあえず今どのくらい払える?」


「……そういえば、あなたは……?」


「ん?俺?
  俺は貴島。
  まぁいわゆる取り立て屋ってやつ?」


ニィッと爽やかな笑顔で決めポーズを取る貴島。

しかしキョーコは……


「払えませんよ……一銭も……」


「え?何で?
  少しくらい貯金あるでしょう?」


「ありません…………。」


キョーコは貯金どころか、日々の生活の維持だけで精一杯だった。
それは一緒に上京し、アーティストを目指していた尚を支えるため、毎日身を粉にして働いたお金は全てその生活費に当てられていた。


「困ったなぁ……。
  とりあえず今日一部分だけでも払って貰わないと、俺も事務所に帰れないんだよねぇ。」


顎に手を当てて思案する貴島をよそに、キョーコは何かを思い出した。


「……そういえば……。

  ショーちゃん、さっき言ってた……。

  済んだらご褒美をくれるって……。」


「ん?あー……」


「何か、手っ取り早くお金を稼げる方法はないかしら…………」


すると、悩むキョーコの様子を上から下までじっくりと眺める貴島。


「う~~~ん…………
  まぁ、何とかなるか。

  俺に付いてきて。」


「えっ!?
  ちょっと……
  貴島さんっ!?」


「もしもし、俺ー。
  うん、今から一人お願いできるー?」


手早く何処かへ連絡を入れた貴島に、キョーコは出かける準備もろくに出来ないままに、連れ去られるようにして手を引かれていった。




⇒ 密室の写真撮影 (2) へ続く


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