☆アメンバー100人記念☆
風月さまよりリクエスト
『カメラマン蓮様とグラビアキョーコちゃん』のお話♡












(この人嫌いっ!
どうせ私は貧相な身体つきですよっ!)

撮影の準備を進める蓮の後ろ姿を睨み付けるキョーコ。


「じゃあ、とりあえずコレで行こうか。」


衣装のかかったラックから、蓮は一つを選んでキョーコの前に差し出した。

渋々受け取ったキョーコは、手元に渡されたそれを見て驚く。


「みっ……水着っ!?しかもっ……」


可愛いワンピースタイプでもなければ、フリル付きのビキニタイプでもない。
体型が完全に露になる布面積の少ないビキニ……。


「こっ!こんな破廉恥なの着れませんっっ///」


「破廉恥……?
  君だって水着くらい着たことあるだろう?」


キョーコの様子に半ば呆れた様子の蓮。


「すっ、スクール水着なら……」


「ぷっ!スクール水着っ!?
  君は子どもか……」


「なっ……!?///」


(やっぱり嫌いっ!
さっきから人を見下したような言い方ばっかりっ!)

キョーコはすっかり臍を曲げていた。


「そうか……参ったな……。」


出来ればさっさと撮影を終わらせて次の仕事へと移りたい蓮は、戸棚を開けると中から小さなスプレーボトルを一つ取り出した。


「最上さん、とりあえずこっちに座ってくれるかな?」


そう指定された場所は、部屋の中心にある大きなベッド。

ベッド……という場所に何となく躊躇したキョーコだが、これもお金のためと仕方なく恐る恐る近づく。

先にベッドサイドに腰かけた蓮が、自分の隣をトントン……と指し示している。

嫌いだと思いながらも、何気ない仕草が妙に様になっている蓮を見て、そういった経験の一切無いキョーコは、緊張気味に蓮の隣にすとんと座った。

するとーーー


シュッ


蓮がスプレーを噴射すると、ふんわりとした甘い薫りが拡がる。


「何ですか?これ……」


「リラックス出来るフレグランスだよ。」


カシャ


少しだけ表情のほぐれたキョーコにすかさずシャッターを切る蓮。


「とりあえず衣装は追々でいいから、君のリラックスした表情が撮りたいかな。」


カシャ


「……いい薫り……」


「そのまま寝転がってみて。」


少しだけ緊張のほぐれてきたキョーコは、言われるがままにベッドへと身体を横たえる。
ぽふん……と身体が沈みこむような柔らかいシーツに包み込まれると、キョーコの思考は次第に今日一日で起きた色々なことへと思い巡らされていく。


「私……こんなとこで何やってるんだろう……。

  ショーちゃん…………。」


キョーコの頬に一筋の涙が伝う。


「………………ふぅ。」


ため息をついた蓮に気付いて、少し怪訝な様子でキョーコが蓮を見ると、


「あれか。
  男に騙されたってやつかな?」


この業界に突然放り込まれる女の子としては、決して珍しくない理由に、蓮はまたかといった意味も込めて同情の様子を見せた。


「騙されてなんかっ……!!」


キョーコが啖呵を切るも……


「でもあれだろう?
  借金だけ残して……ってやつじゃないの?」


蓮は的確に言い当てた。


「……でもっ……ショーちゃん、全部終わったらご褒美をくれるって……!

  子どもの頃も、こっちへ出てきて一緒に住むようになってからも、私に何かくれるなんてこと、今まで一度もなかったのに……」


「…………ふぅ。」


蓮は再び呆れたため息を漏らした。


「……そんなに長いこと一緒にいて、今まで一度もなかったご褒美なんて、本気で貰えるとでも思うの?」


「……え……?」


そう言われてみればそうかもしれない……。
それでも尚には優しいところだってある。
まだそう信じたい一心のキョーコは、


「でも、ショーちゃんは……私の王子様だもん……。」


自分に言い聞かせるかのようにそう呟いた。


「……王子様……ね……」


キョーコの心酔しきった様子が、何となく気にくわない蓮。

それでもとにかく早く撮影を進めないと時間だけがかかってしまうことを気にして、蓮は手っ取り早くキョーコの中の “女” を引き出す方法を模索していた。


「それなら最上さん、早くこの撮影を終わらせて、早く君の王子様にご褒美を貰えるよう、撮影を進めたいんだけど……」


「そっ、そうですよねっ!
  すみません、私ったら……泣いたりして……」


涙を拭ったキョーコは、そうなるととにかくあの水着を着なければいけないと身構えた時ーーー

蓮は寝そべったままのキョーコの上に、カメラを構えたままでゆっくりと跨がった。


「俺のこのカメラを君の王子様と思って……、
  王子様に抱かれてる時を想像してーーー?」


カシャ

ニイッと口角を上げた蓮は、急に男の色香を醸し出した。


すると、蓮のその言葉と、突然変わった雰囲気に驚いて目を丸くしたキョーコ。

固まっているキョーコの表情をほぐすため、更に蓮はそっとキョーコの頬に手を伸ばし、


「……ほら、王子様にキスされてるときは?
  どんな感じ……?」


優しく唇をなでた。

しかしーーー


「ありませんよ……」


「え?」


「だっ……抱かれるどころかっ、キッ……キスなんてっ…………!///」


「え……?
  でも、一緒に住んでたんだろう?」


「そうです……けど……?」


「…………君、いくつだっけ……?」


「16……です。」


「16……一緒に住んでいて、今まで一度も?」


「はい。」


「キスも……?」


「はい……」


(何なの?なんか失礼な質問ね……)

段々とまた馬鹿にされているような気がしてきたキョーコ。

むぅっと唇を尖らせて蓮の顔をじっと見る。

そんなキョーコの様子に蓮は一際長いため息を漏らしたあと、体勢を整えて、キョーコの身体も起こして座らせた。

そして、一言………………


「最上さん、この撮影ね、最終的にはヌードも撮るんだ。」


一瞬何を言われたのか、脳が情報処理を拒否したキョーコだったが、一拍遅れて…………


「○X▲◎★□~~~っっ!!/////」


キョーコは眼を回し、撮影は前途多難を極めたーーー。




⇒ 密室の写真撮影 (4) へ続く


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