☆アメンバー100人記念☆
風月さまよりリクエスト
『カメラマン蓮様とグラビアキョーコちゃん』のお話♡












蓮の次の仕事場へと一緒に移動したキョーコ。

すると、


「お疲れ様、蓮ちゃん!

  あら?キョーコちゃん?」


テンが蓮の後ろにくっついて入ってきたキョーコを見て驚く。


「キョーコちゃんも一緒に来たのねー。

  どうだった?撮影♪」


「……それが……」


蓮が一通り事情を説明する。

その間、何となく居たたまれないキョーコは、身を縮めてその様子を見ていた。


「えっ!?
  キョーコちゃん、全く脱いでないの……?

  蓮ちゃんの撮影でそんなことって初めてね……。」


本来、蓮がカメラマンとして入れば、例え素人であったとしても、喜んで自分から脱ぐような女の子ばかりを見てきたテンは、天然記念物でも見るかのような目でキョーコをまじまじと見つめた。


「それから、最上さんをしばらくうちで預かることにした。」


更に住居をなくしたキョーコをしばらく蓮の家に住まわせることも伝えると、テンはとても不思議そうな顔をする。


「……珍しいわね、蓮ちゃんにしては……」


テンは二人には聴こえない程度の声で小さく独り言を呟いた。


普段必要以上に被写体との距離を縮めることのない蓮。
スタッフ全員で行く打ち上げの飲み会までがぎりぎりで、どれだけ魅力的なグラビアアイドルからモーションを掛けられようとも、お持ち帰りのようなことは決してなかった蓮が、女の子を自分の家に住まわせるとなってはただ事ではない。

また、カメラを持った時の蓮の魅力にも惑わされず、一回の撮影で殆ど何も撮れなかったとあっては、キョーコもまた相当な純情乙女だとテンは悟った。



*  *  *  



今回の蓮の仕事は有名女性誌のグラビア撮影ということで、撮影は大きなスタジオで、スタッフ同伴で行われるものだった。

テンの隣で撮影を見学するキョーコ。

男性誌用ではないとはいえ、キョーコにはない豊満な身体がはっきりと分かる下☆着姿の衣装のタレントに、キョーコは少し劣等感を感じていた。

ただ、カメラを構えた蓮の真剣な眼差しに、仕事に真摯に向き合っている人なんだということが分かり、少し蓮のことを見直し始めていたキョーコ。


しかし、蓮を見つめ誘うような女の色気を放つそのタレントの様子に、またその誘いに乗るかのような近い距離で、時おり身体に触れたり見つめあったり、セクシーな低温ボイスで褒め称えながら撮影をする蓮の様子に、キョーコは何故か胸がチクリと痛むのを感じた。



*  *  *  



蓮の仕事が全て終わり、蓮の運転する車で、一緒に帰宅した二人。


「おっ……お邪魔します…………。」


ホイホイと付いてきてしまったものの、独身男性の自宅ということは、恐らくワンルーム一室の、当然ベッドも一つしかないであろう普通の一人暮らし用マンションを想像していたキョーコ。
やはり付いていくべきでないのでは……とか、もしくは自分は床かいっそトイレかバスルームか、一体どこで寝たらいいのだろうとまで考えていたキョーコは、想像とあまりにかけ離れた超高層マンションの最上階ワンフロアー1室のそれに足がすくんだ。

しっかりとゲスト専用のベッドも用意されたゲストルームに案内されたキョーコは、唯一の荷物である手提げ鞄をベッド脇に下ろすと、改めてその部屋だけでも十分な豪華さに目を見張った。

確かに、ワンルーム一室のマンションに住むような男性が、あんな高級車に乗っている筈がないと納得したキョーコ。
よほど売れっ子カメラマンとは儲かる仕事なのかと感心した。


ゲストルームで一息ついた頃、お水をもらってもいいか尋ねるため、リビングやキッチン辺りで蓮の姿を探していたキョーコ。

蓮が見つからず家の中を探索すると、奥の部屋の少しだけ開いた扉からオレンジ色の薄明かりが漏れているのを見つけたキョーコは、恐る恐るその扉へと近づく。

すると、その部屋はいわゆる暗室となっており、写真を現像するための道具が色々と置かれ、また現像された写真が沢山吊るされていた。

ちらりと見ただけでも分かるほどのその写真の多さに驚いたキョーコ。


「…………わぁ…………」


思わず感嘆の声を上げてしまったキョーコに気付いた蓮は、


「…………おいで。」


と中へ呼び入れた。


暗室の中に入ったキョーコは、吊るされた写真をゆっくりと見て回る。


「…………風景の写真が多いんですね?」


「あぁ、ここのは仕事で撮った写真じゃなくて、プライベートのだからね。」


グラビア撮影を生業としているような人が撮ったとは思えないような、優しい風景の写真の数々に、見ているだけで心が暖かくなったきたキョーコ。


「敦賀さんは……、どうしてグラビアのカメラマンになったんですか?」


「クスッ、どうしてだったかな。

  もともと子どもの頃から人物の写真を撮るのが好きだったから……かな?

  それも、女性の……ね?」


やっぱりただの女好きのたらしな発想じゃない……!
とキョーコは、せっかく見直しかけていたのに……と聞いたことを少し後悔した。




⇒ 密室の写真撮影 (6) へ続く


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