[追記2あり]『LIVE 3:5:6:9』を裏で支えたテクノロジーを・・・ 記憶に焼き付ける。 | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

[追記2あり]『LIVE 3:5:6:9』を裏で支えたテクノロジーを・・・ 記憶に焼き付ける。

一昨日は仕事の関連で "とあるところ" に出かけた。






その "とあるところ" というのはここだ。











(社) 電子情報技術産業協会が主催する『2015年国際放送機器展(International Broadcast Equipment Exhibition 2015 : Inter BEE 2015)』が、一昨日から幕張メッセにて開催されたからだ。


この『Inter BEE 2015』とは何かというと、映像・音響制作に関連する業務用機器の国際的な見本市というものだ。







オレの職種はこれらの業界にダイレクト関係しているわけではないが・・・ ある一部分に間接的に関わっているので、毎年出向いている。そして一昨日はPerfumeのMVを数多く手がける関和亮氏の講演や真鍋大度氏のプレゼンテーションもあったのだが・・・・ スケジュール的に間に合わなかった。残念。


それで仕事関連はそそくさと終わらせて、「PerfumeのLiveパフォーマンスの将来を研究する」という名目(?!・笑)で、即座に「プロオーディオ」の区画に向かった(苦笑)。








まずはこの前の『LIVE 3:5:6:9』にて、日本武道館という音響的には難しいハコを完全に手懐けることに貢献した "あのシステム" を見るために、このブースに向かった。







*Martin Audio社のブース







Martin Audio社と言えば・・・・ そう!!!!!!!!! この間の『LIVE 3:5:6:9』ではステージを中心として放射状に配置されたSRスピーカー・・・・ 












*『Perfume展 タワレコ後編 ~見といた方がえぇおもうよ?~VoL.2』にてパワーわんこが撮影(2015年10月9日)






この公演で採用されていたのが、このBLOGでもさんざんご紹介してきたPA界に革命をもたらすシステムと言われるイギリスのMartin Audio社の『MLA』(Multi- cellular Loudspeaker Array)という次世代ツアーリングシステムだ。ちなみにトラスにリギングされているSRスピーカーは『MLA compact』だ。











音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界
音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界










それでブース内を見渡したのだが無い・・・・ 『MLA』が見当たらない。展示されていたのは、小規模会場用の『MLA Mini』のみ。








*『MLA Mini』







あれ・・・・・ って、ご心配なく(笑)。実は今日の主役の『MLA』はこちらのほうにある。













『ラインアレイスピーカーの体験デモンストレーション』の会場!!!!!!!!!!!!!(笑)






実は『Inter BEE』では、各メーカーのラインアレイスピーカーが試聴比較できるイベントが行われているのだ。となれば、Perfumeさんの音響を考察するには『MLA』は絶対聴いておかないと(笑)。まぁ、比較検討のために他のメーカーのラインアレイスピーカーも試聴したけど。


ということで・・・・ ようやくMartin Audio社のプレゼンテーションとなった。












ただし・・・・ ただの試聴イベントと思うなかれ。こんなところまでデモンストレーションしてくれるのだ(笑)。












キャビネットの組み付けとリギング作業のデモンストレーション・・・・ さすが業界向けの見本市だ(笑)。こんな作業を間近で見れるなんて貴重だ。




そして・・・・当然、キャビネットの組み付けとリギング作業は我らの "MSI JAPAN" だ!!!!!(笑顔)









作業staffには若い女性もチラホラ。我らの "爆音姉さん" も・・・・ 若い駆け出しの頃は、ヘルメットとワークグローブを身に着け、額に汗して高重量のSRスピーカーと格闘したんだろうなぁ・・・・(笑顔)。






しかし最近のラインアレイスピーカーはこんなに簡単に組みつけられて、すぐにリギングできるのか・・・・ キャビネットは6つしかないとはいえ、1本を10分もかからずリギングが完了する。本当にあっという間だ。












そしてSub-Wのグランドスタッキングも完了。Sub-Wは近くで見るとかなり圧巻だ。












そして、ネットワークマネージメントシステムも、こんな近くで見れた。なかなか貴重な画だ













それでシステムが組み上がり、テスト信号を使った最適化の作業に入るが、これも数分で完了。試聴環境が整ったところで、『MLA』の試聴が開始される。オレはF.O.H用ミキシング・コンソール真後ろの中央を陣取った。前にはMSI JAPANのエンジニア、隣にはイギリスのMartin Audio本社の役員が陣取っている。













最初は『ラインアレイスピーカーの体験デモンストレーション』の共通音源を用いての試聴だ。このように共通音源を用いて聴き比べすると、他メーカーの製品と『MLA』との特徴の違いがよく分かる。『MLA』の響きの特徴は、やはりパワフルの一言に尽きる。



低・中音域の量感は圧倒的で響きも分厚く、身体に響きが包まれるような感じだ。若干、ボーカルのサ行(さ・し・す・せ・そ)である "歯茎摩擦音" が耳に刺さるような感じで、3kHz~5kHzの帯域がピーキーかなとも思った。しかしLive感を表現したければ、むしろこれぐらいピーキーな雰囲気のほうが迫力ある響きとも言える。

この3kHz~5kHzの帯域のピーキーさ削れば聴き心地が穏やかになり、聴き疲れは少なくなる分、Live感と迫力は減るだろうし・・・・ などと考えを巡らせていると、MSI JAPANのエンジニア達がざわつき始める。


聞き耳を立てていると、どうも「L側チャンネルのキャビネットの1つから音が出ていない」ということを内輪話で話していた。エンジニア達の話しぶりからパワーアンプの不調らしい。しかしそれを知った上で聴いても・・・・ オレには不調を抱えている響きには全く思えないのだが(苦笑)。



しかし・・・ こんな万全では無い状態でもこの響きかよ・・・・ 本当に凄い。このシステムの底力を思い知らされる。そんなことを考えているうちに、プレゼンテーションが始まった。















それで驚いたのは・・・・・ この内容だった。










プレゼンテーターの話だと、キャビネット間の干渉を減らすために、各キャビネットごとの振動をも計測し、補正パラメーターとして響きの最適化をリアルタイムで行えるそうで。マジか・・・・ テクノロジーの進歩は凄まじいなぁ。そりゃ、当然『LIVE 3:5:6:9』・日本武道館公演の響きがあんなに素晴らしくなるわけだ(笑顔)。








そして今回のカバーエリアのセッティングも興味深かった。













ということで、プレゼンテーターが、




今回はカバーエリアではどの位置でも均一な音質で、バックヤードのようなカバーエリアを外れると30dbほど急激に減衰させるようにセッティングしてあります。皆さんぜひとも会場中を動き回って、試聴してみてください。」





と語ったことから、試聴会では珍しく、オーディエンスが会場内を歩き回る光景が展開される(笑)。オレ自身も実際のLiveなどでは、会場内を移動して響きの違いを感じ取るということはなかなか出来ない。非常に貴重な機会だったので、オレ自身もあらゆる場所に移動して試聴することにした。







他のメーカーの非力なラインアレイスピーカーの試聴デモでは、アカペラやクラシックの試聴音源が多用されていたが・・・・ 確かに響きは秀逸だったが、それらの音源を多用するということは非力なシステムと認めているような話だと思うのだが(苦笑)。




一方『MLA』での試聴音源はEric ClaptonやAstor Piazzollaなどが用いられていたことが印象的だった。オレは最初はF.O.H用ミキシング・コンソール真後ろで響きの傾向を探る。

しかし・・・・ 『MLA』はロックテイストの激しい音源でも、パワー不足は全く感じない。そしてSPLが100dBを越えてきても煩さは全く感じず、むしろ響きに身体が貫かれるような感覚が非常に気持ち良い。そして低・中音域の量感と厚みは圧倒的だ。











このF.O.H用ミキシング・コンソール真後ろでの響きの印象を頭に叩き込んで、会場のさまざまな場所に移動して試聴する。











会場内を歩き回ってみても・・・・ 『MLA』はエリアごとの音圧と響きの傾向に、ほとんどムラを感じさせず、F.O.H用ミキシング・コンソール真後ろでの響きの傾向がどの場所でも同じように体感できる。やはりこのシステムは本当に画期的だ。



次にプレゼンテーターが話していた "カバーエリアを外れると30dbほど急激に減衰する" というのを体感するためにバックヤードに向かう。










驚くことにリギングされているSRスピーカーを通り過ぎ、少しでも後に回りこむと "スパッ" と響きが減衰する。これも凄い。このような巧みな響きのコントロールが出来れば、残響や響きの反射を抑えられることは当然ながら、野外フェスなどでの近隣への騒音対策もかなり対応できそうだ。








そして今回、オレが一番驚いたのが・・・・ この場所での響きだった。









会場で窪んだところのデットスペース。コンクリートで囲まれているような感じなので、定在波によるキャンセリングによってのこもり感や、響きの反射によってのピークやデップ、残響が多発しているだろうと思いきや・・・・ これがほとんど感じられず、鮮度の高い響きが届いていたのだった。



こんな最悪な条件下でも・・・・ 『MLA』を用いれば、この響きを届けられるのか。参った。本当に恐れ入った。









さてPA界に革命をもたらすシステムと言われた、次世代ツアーリングシステムの『MLA』も本格運用の局面に入った。こうなってくると他メーカーもこれに追随することは間違いないだろう。Live会場の高音質がどんどん進んでいく時代となるのか。


そういった意味でも、Perfumeの『LIVE 3:5:6:9』・日本武道館公演は、その指針の一つを我々に示したようにも思えてくる。











『MLA』を採用する限り・・・・ PerfumeのLiveでのオーディエンスの満足度はどんどん高まっていくだろう。


そしてオレ自身も、今後のPerfumeのLiveがますます楽しみになってきた、今日この頃だ。












<○追記・21日pm17:55>



『MLA』のデモンストレーション時に静止画を撮影しながら動画も撮ったので、ほんの一部をご紹介しておくこととする。







* "Martin Audio" のロゴが点滅しているのは、『MLA』が起動していることを示している。また作業staffには女性の姿も見受けられる。






*従来のラインアレイスピーカーを用いた場合では、試聴ポジションごとの違いによる音質のバラつきがかなり大きい。一方、f特(周波数特性)のグラフを見ると、最適化を施した『MLA』では、音質のバラつきがほとんど見られない事が特筆すべきだ。







*バラシ作業もスムーズに進むように、筐体のアタッチメントなどにもさまざまな工夫が見られる。











<○追記2・22日pm16:18>



男54歳さんからコメントを頂きました(いつもコメントありがとうございます!!)。画像を使って説明したほうが分かりやすいと思いましたので、追記として書かせて頂きます。





>あれだけの爆音の音圧を任意の距離で急激に減衰出来る事が不思議です




仰るとおりで音波は疎密波ですからね。プレゼンテーションのf特のグラフからも分かるように、おそらく低音域はあまり減衰させていないと思います。人間は低音域は響きというよりかは "振動" として認知する傾向なので、中・高音域の指向性を積極的にコントロールすることでカバレッジを決定しているようです。




ちなみに私のクルマのオーディオでは、リスニングポイントで110dBオーバーで聴いています(苦笑)。



音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界





それで私の主催するオーディオ・オフ会などで車内は爆音を流して試聴し、他の参加者の方々には車外で待機してもらっていると、待機中の方々は、




「車内はあんなに爆音なのに・・・・ 思ったほど音漏れしないんですね・・・・」



と仰る方が多いです。これは私のクルマの場合はボディにかなりの防音処理を施していることもありますが、かなり指向性が狭いツィーターを用いて、高音の帯域をカバレッジ外になると急激に減衰させていることも大きいと思います。おそらく『MLA』の設計思想はこの考え方を中・高音域まで広げて、より高度な制御を施しているものと考えられます。








>減衰コントロールするのは距離ではなくて指向エリア外に対してであって、天井や壁への反射対策はスピーカーの取り付け角度で避けている・・・そして客席に対しては生身のオーディエンスは音を吸収するから高い音圧を浴びせても問題ない





仰るとおりでして、従来のラインアレイスピーカーではカバレッジの選択や反射を抑えるために、スピーカー設置前にコンピューターでシミュレーションを行って設置角度や配置、スピーカーのキャビネット数や設置本数、クロスオーバーポイントなどを決めていました。要するに男54歳さんのお話は、従来のラインアレイスピーカーのセッティングで用いられていた手法です。

念のために従来のラインアレイスピーカーの利点を挙げておきます。







○点音源スピーカーに対して、ラインアレイスピーカーの登場によって改善された点

・システムの占有面積が大幅に減少した
・垂直方向のエリアカバーが容易になった
・より遠方まで明瞭度が保てるようになった
シミュレーションが容易になった





音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界
音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界
 
*「V-DOSC」の配置計画のコンピュータ・シミュレーション





このシミュレーションのパラメーターには当日の予想される気温や湿度はさることながら、メーカーによっては人体が吸音することも配慮し、オーディエンスの予想人数、予想平均身長、オーディエンスが身につけている予想する衣服の項目もあります。


しかしあくまでもシミュレーションなので、従来のラインアレイスピーカーでは設置後に当日の環境条件に変化があった場合でも、大きな変更や修正が加えられません。例えば当日のオーディエンスの集客状況やオーディエンスの着用衣服の状況や脱着なども変化しますし(笑)。


従来のラインアレイスピーカーの課題も挙げておきます。






○ラインアレイスピーカーを用いても残った課題

・カバーしたエリア内でのf特(周波数特性)が聴取点によって大きく異なる
・シミュレーションとの結果の差
・設置後にシステムの指向性を変更することが困難
・反射・残響をコントロールできない






この従来のラインアレイスピーカーの課題を克服すために『MLA』は生まれてきました。話せば長くなるので短絡的にいうと、『MLA』の設計思想は従来のラインアレイスピーカーとは対極にあり、むしろ "逆転の発想" と言っても過言ではありません。



実は『MLA』は会場内に測定用マイクを点在設置することで、リアルタイムに修正・補正が可能です。これをMartin Audio社は最適化(optimization)と呼んでいます。したがってSRスピーカー設置後でも、修正・補正も適宜可能となったところが、かなり画期的なところです。








>あれだけの爆音の音圧を任意の距離で急激に減衰出来る事が不思議です。
>やっぱり位相の反転とか相殺とかで距離をコントロールしているのでしょうか?






まず『MLA』の大きな特徴は、垂直方向の指向性を電気的な手法で変更できるところです。要するにSRスピーカーの仰角・俯角を変えなくても、垂直方向の指向性が変更できるのです。したがってSRスピーカー設置後でも、状況に応じて垂直指向性を調整できます。

実はこの垂直指向性をコントロールすることでカバレッジを変更し、また位相を変更することによるキャンセリング効果も利用して、任意の距離で急激に減衰することに成功しています。





試聴会の当日の壁際・天井の反射・残響を抑えるセッティングは、-20dBに減衰されていました。








プレゼンテーションでこの説明があったので、私は会場の立ち見エリアと壁際で響きの差を確認しましたが・・・・ その凄さと『MLA』の実力を思い知らされました(笑顔)。










>これだと空席が多いと悪影響が出てしまいますね



このように『MLA』は従来のラインアレイスピーカーと違って、SRスピーカー設置後であっても測定用マイクからの計測結果を利用して、リアルタイムで修正・補正が可能です。私はMSI JAPANのシステムエンジニアの真後ろに陣取っていましたが、プレゼンテーション開始時にシステムエンジニアが振り返って会場の集客状況を確認して、補正パラメーターをいじっていました。L側チャンネルのパワーアンプ不良もその場で対応しているようでしたよ。というのもあって『MLA』の実力が本当によく分かる試聴会でした。

まぁ、オーディエンスが座席を離れて動き回るということまでは、システムエンジニアは想定していなかったようですが(笑)







ご参考までに(笑顔)。












【早期購入特典あり】Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPP.../ユニバーサルミュージック

¥8,100
Amazon.co.jp

Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP「LIVE.../ユニバーサルミュージック

¥8,100
Amazon.co.jp

【早期購入特典あり】Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPP.../ユニバーサルミュージック

¥5,400
Amazon.co.jp

Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP「LIVE.../ユニバーサルミュージック

¥5,400
Amazon.co.jp

【早期購入特典あり】Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPP.../ユニバーサルミュージック

¥7,020
Amazon.co.jp

Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP「LIVE.../ユニバーサルミュージック

¥7,020
Amazon.co.jp

【早期購入特典あり】Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPP.../ユニバーサルミュージック

¥4,320
Amazon.co.jp

Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP「LIVE.../ユニバーサルミュージック

¥4,320
Amazon.co.jp