「家庭内のことですから」  

6月14日発売『週刊文春』が橋下徹大阪市長の女性スキャンダルを報じたことが、きっかけになって週刊誌を中心にメディアの「橋下タブー」が崩れた。橋下市長はじめ松井一郎大阪府知事、大阪維新の会所属議員のスキャンダルが噴出しそうな雲行きだ。在阪メディアのなかには、「橋下人気が陰り、大阪維新ブームが年内持続するかどうかわからなくなった」と見る向きがある。

橋本市長は、ほぼ連日、登庁時と退庁時、市庁舎でメディアの囲み取材に応じている。『週刊文春』報道のあと、記者の問い掛けは、スキャンダル報道への橋下市長の対応にかかわるものが多い。橋下氏は質問は拒まないが、「家庭内のことですから」と判で押したような応答に終始し、深入りを避け続けている。

24日夕の退庁時の記者団とのやり取りをこんな様子であった。

Q 文春記事の内容にどこまで答えるのか、市民は関心が高いが

橋下 市政や行政のことなら100%答えるが、家庭内のことは答えることはしません

Q 当面答えないのか

橋下 妻にだけ話します。家庭内のことですから。

Q もう奥様にはすべて話した、ということか。

橋下 妻にはすべて話しました。そりゃ怒っていますよ、怒らない方が怖いですよ。

一頃のような歯切れのいい「橋下節」は聞かれず、不本意であろう会見を続ける橋下氏である。

スキャンダル31件を並べる

「新たな愛人疑惑」「関電から巨額裏献金」「妊娠中絶の愛人に1億円の慰謝料」「橋下は売春街の顧問」「組長の店に頻繁に出入り」……橋下、松井両氏と大阪維新の会所属の大阪府内の地方議員にかかわる疑惑、スキャンダルをあわせて31件も並べたメモが政界の1部に流布されている。政界をかく乱させている橋下「大阪維新の会」のイメージダウンをはかる政治的動機がによる動きと見て差し支えないが、1部メディアは取材に走る。

知事就任から4年ほどに過ぎない政治家・橋下氏、自民党大阪府議団幹部だったとはいえ世襲で、政治的試練に乏しい松井氏や維新の会系地方議員たちは、伝統的な保守系議員と同様に、利権や醜聞、怪しげな人脈が絡み合うなかで生きてきた人種である。たたけば埃も出る。テレビで注目を集めたタレント的リーダーと、その人気と看板だけで集まった政治集団だけに、世間に晒された時、しばしば旧悪が露見する。とくにリーダーのスキャンダルは命取りになる場合が少なくない。思い出すのは、日本新党代表としてさっそうと登場した細川護熙首相である。10ヵ月も経たないうちに政権を放り投げたのは佐川急便マネー疑惑の追及から逃れられなくなったためだった。政権奪還をはかる野党・自民党の執拗な攻撃があった。

くだんの橋下疑惑一覧メモは、政敵陣営の元大手紙社会部記者が作成したとされるが、真偽のほどは不明だ。