藤堂平助篇千鶴「私も戦う
役には立たないかもしれないけど、平助くんの死角は私が減らすから!!」
藤堂「お前が俺の目の代わりになるって?
無理無理 おめぇには5年ぐらい早いだろ」
土方「平助の知り合いに随分立派な人がいるようだ
力になってもらえれば、新選組にとって大きな戦力になるだろう」
千鶴「幹部になるんですよね?」
土方「そうだ…恐らくは組長か参謀」
千鶴「総長ではないんですよね?」
土方「山南さんの事を心配しているのか?
どうあれ山南さんは新選組になくてはならない存在だ
新しい参謀が入ったからと言って、どうなる話ではない」
千鶴「この薬を飲んで もし狂ってしまったら、殺してほしい って…」
藤堂「そうか…聞いちまったんだな、変若水の事」
千鶴「うん 父が新選組に持ち込んだのね
父のせいでこんな……」
山南「綱道さんのせいではありませんよ
新選組であの薬の実験をするよう決めたのは我々なのですから」
藤堂「山南さん……」
山南「なんです その顔は
私は賭けに勝ったんですよ」
藤堂「なぁ 覚えてるか?俺達が初めて羅刹を斬った時のこと」
山南「もう忘れました」
土方「その薬の実用化に向けて 研究を行う。
この新選組で」
藤堂「おいちょっと待ってくれよ」
山南「これは幕府の命令です」
藤堂「命令だからって!!平気なのかよ…仲間を化物に変えちまうんだぜ
俺とか…一くんとか 総司とか!!その薬を飲まされる可能性だってあるんだぜ!!」
山南「平気だと思いますか?」
山南「今の我々の立場はあまりにも弱い
幕府や会津の意向に背けば、会津藩お預かりと言う看板は簡単に外されてしまいます」
藤堂「わかってる……わかってるよ だけど!!」
山南「これが、我々の本意でないことは断言できます
今だけは辛抱してください
今だけは……」
藤堂「池田屋とかで活躍した今だからこそ、変若水なんてもんの研究は止めるべきだと思ってたんだけどな……
だって…そんなもの使わなくたって、山南さんは山南さんなのに……」
千鶴「山南さん きっと忘れてないから
新選組の事を考えるからこそ、危ない薬を飲まなきゃいけなかったんじゃないのかな……
改良を続けてたわけだよね?だから…自分で……」
藤堂「だけど、狂って死んじまうかもしれないんだぜ?」
千鶴「山南さんにとってそれだけ、新選組が大事だって事じゃないのかな?
だって 平助くんだって身体が動かないくらいの怪我しちゃったら……」
土方「雪村…俺達は元々多摩の貧乏道場の出だ、それぞれが色んなもん抱えて集まって来てる
それぞれ自分が進む道を自分で決めて 今ここにいる
それはこれからも……
進むべき道を決めるのはそいつ自身だ」
風間「この女は俺のものだ
貴様ら人間風情に渡すわけにはいかない」
土方「勝手なこと言うんじゃねぇよ
そいつは今、新選組が預かってんだよ!!」
原田「平助はどうする」
永倉「そりゃもちろん助けて……」
土方「刃向かうようなら斬れ」
永倉「斬れってどういう事だ
平助がどうなってもいいってことか」
近藤「そんなわけなかろう
トシだって本心では助けたいと思ってるんだ
永倉くん、原田くん 局長ではなく、近藤勇として頼む
平助を…見逃してやって欲しい。
もし出来るなら、戻るように説得をしてほしい」
千鶴「あの……どうかされましたか?」
藤堂「綺麗な人だなって見とれてた……」
千鶴「ありがとうございます。お上手なんですね」
藤堂「お世辞じゃねぇし」
千鶴「すっかり寒くなったけど、大丈夫?」
藤堂「おう 俺は頑丈なのが取り柄みてぇなもんだからさ
それより、お前は大丈夫なのかよ
風邪とか なんかそれ以外で困ってることがあったりとか」
千鶴「楽しい事ばかりじゃないけど、私は大丈夫
まだまだ頑張れるよ」
藤堂「そっか……」
藤堂「あのさ……いつだったか振袖見せてくれって頼んだことがあったけど、今少しだけそれが叶った
ありがとな……千鶴……」
藤堂「あった……あったんだよ……戦う理由!!!」
藤堂「俺がお前を守ってやる!!」
土方「山崎…しっかりしろ
山崎お前……」
山崎「後のことは頼みます……
副長は 隊士を連れて退却を……!!
行ってください……!!!」
土方「山崎!!!」
山崎「ここは俺が……行ってください…
退却を!!!!!!」
山南「私達は既に人間ではありません 羅刹です
彼の苦しみは同じ存在である私にしか分かりません」
千鶴「でも……」
藤堂「悪いけど、こいつは俺のことよく分かってくれてる
俺は人の血なんて飲まない
だって……そんなの人間のする事じゃねぇだろ…?」
山南「まだ…自分の事を人だと……?
人でないのに 人間の善悪に縛られるとは…不幸としか言いようがありませんね」
藤堂「俺…油小路で死にかけた時、目の前が暗くて 傷口がズキズキして 息が苦しくて
ただ……死ぬのが怖くて変若水に手を伸ばした
羅刹になってまで生き延びたのに、今また羅刹になんかならなきゃ良かったって思ってる
新選組から出てったり、戻ったり…自分で決めた道なのにいつも後悔して、迷って…
俺最低だ………」
永倉「俺は近藤さんの家来になるために戦ってきたわけじゃねぇ」
原田「この戦に分はあんのか?」
土方「勝ち目がねぇからって引く人じゃねぇって事ぐらいお前も分かってんだろ?」
原田「確かにそうだがな……」
永倉「俺は!大名気取りの誰かさんの命令で 無駄死にするために戦ってたわけじゃねぇ
行くぞ……」
土方「お前も永倉と同じか…」
斎藤「俺に城勤めは出来ません。
俺は人を斬る事だけ
自分の出来ることをやるだけです」
土方「愚問だったな
俺はあの人を担いでいくぞ
それが俺達の夢だったんだからな」
斎藤「総司は……」
土方「連れて行けるわけねぇだろ」
斎藤「どこへ行く」
沖田「決まってるでしょ 甲府だよ
皆が命をかけて戦っている中 僕だけ江戸でお留守番ってわけにはいかないからね」
斎藤「副長の命令を無視するつもりか」
沖田「納得出来ない命令でも従わなきゃいけないんだ」
斎藤「その身体で戦うつもりか」
沖田「戦うよ…僕にはそれしか出来ない
命令に背いた僕を斬るつもり?」
斎藤「戦えるかどうか俺が判断する」
沖田「面白いね」
土方「久しぶりだな斎藤
悪ぃな追いつくの遅れちまって」
斎藤「副長 その脚は……」
土方「宇都宮の戦でやられちまった
痛みは大したことねぇが、戦場を駆けずり回るのは無理だ……
隊士を連れてあちこちで戦ってくれてたんだってな
俺の所にも届いてたぜ」
斎藤「いえ……最前線だった白河城は敵に落ちました
以後奪還も叶わずじりじりと後退を」
土方「そうか」
斎藤「副長 近藤局長は……」
土方「俺達を庇って…敵に投降した後 色々手は尽くしたんだがよ……」
土方「腹をつめさせてくれって言ったらしいんだが、新政府の奴らは もともと農家の倅のくせして、武士の真似事して腹を斬りてぇなんて笑止千万だってそう言いやがった…
だがそう決まった時取り乱したりはしなかったみてぇだ
いつものように そうか……しょうがないなってよ……」
斎藤「副長 俺は会津に残ります。
会津に残り、最後まで新政府軍と戦います」
土方「残るって事がどういう事かわかってんのか
もはや新政府軍を止める力は会津藩にも残っちゃいねぇ」
斎藤「俺は人を斬る事しか出来ません。」
土方「そうだったな……死ぬな……また会おう…………」
土方「今まで不自由にさせてすまなかった」
千鶴「不自由だなんて……
私は…自分の意思で新選組の皆さんと歩んできたつもりです」
土方「言うようになったじゃねぇか……
平助を頼んだぞ」
藤堂「だめだ千鶴…お前は残れ」
千鶴「どうして……」
藤堂「もう一度言う…ここに残れ」
千鶴「なんで…私に残れって言うなら、残るべきは平助くんの方だよ!!
もし山南さんと戦って羅刹の力を使うことになったら、また苦しむことになるんだよ!!」
藤堂「そうなったら…灰になって崩れて消える…?ははっ
そんなの今更だろ!!!
俺が今までどれだけ羅刹の力を振るってきたと思ってんだよ
俺はもう…いつ灰になって消えてもおかしくねぇんだよ」
千鶴「平助くん……」
藤堂「山南さんの事は、俺がなんとかする
本当なら、油小路で死んでた俺にとっちゃ今ここにいれる事自体夢みてぇなもんなんだよ
だからさ……どうせ死んでるようなもんなら
最後山南さん道連れに この世から消えてやるさ」
千鶴「本気で……本気で言ってるの……?」
藤堂「おう
どうせ何やっても死ぬんだ
何もせず灰になって死ぬより、まだ戦って果てた方がマシだ へへへ……」
藤堂「俺は言われていきなり前向きになれるほどガキじゃない…
正直 羅刹を救う方法があるなんて信じられない
だけど、方法があるって信じてるお前を…信じる事は出来る。
いつ死ぬか分かんねぇ身だけどさ、もう少しだけお前のために生きてみるよ」
藤堂「また……助けられちまった……」
千鶴「まただなんて…」
藤堂「俺はいつも 助けられてばっかだな…
羅刹になる前からずっと……
俺は羅刹だ 今まで斬ってきた奴らと変わりない
そいつらと違うのは、ただ一つだけ……
お前がいるか いないかだけだ!!」
千鶴「平助くん……そんな言い方されたら私…あなたに私が必要なんだって思っちゃうよ…」
藤堂「あぁ 羅刹が血を吸わないと生きられないのと同じで、俺はお前がいなきゃ生きられない…」
藤堂「さて、俺達も行こうぜ千鶴の故郷にさ
俺 羅刹の事とか関係なく、見てみたいんだよ
千鶴が生まれた所」
千鶴「うん……私も平助くんに見てもらいたい」
藤堂「俺は…これからもずっと お前の傍にいるよ
陽が落ちても、月が昇っても
いつか……別れる日が来ても……
それでも俺は…お前の傍に居続けるから」
山崎さんが死ぬ所はやばいですよね……
てか藤堂篇は土方さんが井澤ですね!
声とか好きで 歌も上手かったなぁ
平助くんの自分の中での葛藤がすごい辛くて……泣く
さて次はDVD発売されてる中でラストの黎明録!!