オールドレンズベスト5 コストパフォーマンス編 50mmの部 | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

今回は普段と違う趣向で書いてみたいと思います。


知人に依頼されてよくオールドレンズ探しをするのですが、そのときによく勧めるレンズをコストパフォーマンスという視点からランキング化してみました。


ただし、これは僕の主観に基いたものなので科学的根拠や裏づけはありません。


ご愛嬌ということで暇つぶし的にご覧ください。




第五位 PENTACON 50mm F1.8     中古相場 3000円~15000円



安い、写る、寄れるこの三拍子そろった優秀なレンズです。しかもCarlZeiss Jenaの流れを汲むPENTACONのレンズでMade in WestGermany。


レンズの設計はキノプラズマートで有名なHugoMeyer(MeyerOptik)のオレストンというレンズと同じで、生産するペンタコンは東ドイツのCarlZeissJenaを母体とする会社です。


このレンズ名門の流れをくむレンズなのですが、知名度のせいか格安で流通しています。


そしてこのレンズの最大の特徴は最短撮影距離が33cmと短い点です。


実際使ってみるとややマクロレンズといった感じで非常に使いやすいです。


写りはMeyer Optikらしいやや軟調な写り。発色重視なら後期のMultiCorted版がお勧め。


オールドレンズらしさがいいなら写真のような前期のタイプがお勧めです。


前期型にはエルノスターで有名なエルネマンのエルネマン塔の刻印ありレンズボディーもゼブラ柄でおしゃれです。




第4位 Helios-44 58mmF2       中古相場3000円~15000円




こちらはソビエト社会主義連邦製のHelios-44。CarlZeissのBiotarのコピーとして有名なレンズ。


4位どまりなのは本家のBiotarの価格が落ちてきてお得感がなくなったから。


これはロシアレンズ全般に言えることです。ちなみにBiotarの価格はエキザクタマウントなら9000円~といった感じです。


写りは当たり玉にあたればかなりいいです。シャープネスが高く典型的なドイツ玉といった感じです。ロシアレンズですけど・・・。


その反面ボケはややうるさく開放付近で円周状のぐるぐるボケを生じるので好き嫌いが分かれます。


あとソビエトレンズにありがちな製品のムラという問題もあるため試写してからの購入をお勧めします。


このレンズも後期になるとマルチコーティング化されます。




第3位  Takumar 50mm F1.4        中古相場3000円~15000円


こちらは言わずと知れたペンタックス タクマーレンズ。左が前期8枚玉。刻印の順番とフォントが微妙に違います。


一時期はF1.8とF1.4の間に価格差があったが、現在はどちらもジャンクレンズの常連となっている。


ジャンク扱いされる原因はレンズの黄変。レンズに使われているトリウムが変色して起こる現象です。


ちなみにトリウムは放射性元素で現在も放射線を出しています。俗に言うアトムレンズです。


SMC Takumarになるとトリウムを使わなくなったおかげで黄変していません。


ただ黄変はデジタルで使う分にはそこまで写りに影響ありません。


写りは柔らかく万人受けする感じです。オールドレンズらしさもあるので入門にはもってこいです。


ただ解像力はそこそこなので使い慣れてくると少し物足りなさを感じるかも知れません。


M42マウントなのでキャノンの一眼レフなどでも使えますがF1.4の前期はフルサイズでミラー干渉起こします。


ちなみに前期は1964年の1年だけ発売された8枚構成のレア玉です。


前後期で写りはあまり変わらないと思のですが、以前買った前期型のレンズは非常によく写りました。シャープネスもかなり高かったです。さらにその前に買った前期型はいまいちだったのでたぶん個体差だと思います。


ジャンクコーナーで手に入るレンズとしてはかなり写ります。本数が多い故安かったのですが最近ではだいぶ数が減ってきました。




第2位 CANON FD 55mm F1.2 S.S.C   中古相場15000円~35000円




コストパフォーマンスという意味ではこのレンズは要チェックです。F1.2の明るさで2万円前後で買えるレンズは数えるほどしかありません。


その中でもこのレンズはかなり秀逸です。僕も過去に持っていました。


F1.2となるとボケも写りも異次元です。被写体のピントのあった部分以外は背景に溶け込んでいくようなボケを見せます。


このレンズは開放だと独特のハロを生じぼんやりなりますが、F1.4で解決しF2ではかなりシャープな写真が撮れます。


F2.8まで絞れば格上のレンズにも引けをとらない写りをします。


絞りを開ければアメージングなボケを楽しめます。それがこの値段で手に入るなら絶対に買いです。


安い理由はラインナップだと思います。この時代のキャノンはF1.2を連発して出してました。


FL 58mm F1.2

FL 55mm F1.2

FD 55mm F1.2 前期クローム枠

FD 55mm F1.2 AL

FD 55mm F1.2 S.S.C 後期マルチコーティング

FD 55mm F1.2 S.S.C AL

FD 55mm F1.2 Aspherical

NFD 50mm F1.2

NFD 50mm F1.2 L


FL 58mmから初のLレンズNFD50mmF2まで16年。この期間に9本も出してます。FDからNFDシリーズはわずか9年で7本。驚異的なペースです。


このラインナップの中でアスフェリカル(非球面)である


FD 55mm F1.2 AL

FD 55mm F1.2 S.S.C AL

FD 55mm F1.2 Aspherical

NFD 50mm F1.2 L


この4本はかなり高値で取引されています。


しかしアスフェリカルではないその他のレンズは比較的安価です。


特にNFD 50mmF1.2とFD 55mmF1.2 S.S.Cは生産技術が飛躍的に向上した後なのでクオリティーが高いのですが、非球面ではないため安価で変えます。


ところがこのレンズ唯一の弱点があります。重いことです(565g)。




Summicron 5cm F2 1st 沈胴   中古相場35000円~150000円

高いじゃないか!!という野次が飛んできそうです。


しかしながら一度手にとっていただけると分かると思います。


ずっしりとした質感、各稼動部のスムースな動き、外観の美しさ、そして何より開放からの妥協なきシャープネス。そんなレンズが5万台から選べる。夢のようです。


確かにプロトズミクロンやトリウム玉など非常に高価なコレクターズアイテムもありますが、通常のSummicronはかなりお手頃になってきました。


もちろん安くコンディションのよいレンズを探すのは大変ですが、探していれば必ず出てきます。このレンズ結構本数多いんです。


ほかの銘玉でこのくらい写るレンズだと確実に桁が上がります。


そしてミラーレス(特にPEN)ともよく似合います。



外に散歩に出るのが楽しみになります。


Summicronは選ぶのにコツがあります。


・前後のガラスがやわらかいので傷をチェックする。不自然にきれいなものは注意!


・外観よりピント精度の高いものを選ぶ


・レンズを止めているかに目ねじが不自然に傷ついていないかチェックする。


・沈胴部のヘタリをチェックする。


・安いMマウントのものを探す。


1番と2番は矛盾しているようですが、目的は同じです。それはなるべく適度にメンテナンスされたレンズを探すということです。

Summicroは昔から人気レンズであるため、メンテナンスやレンズ再研磨などを行われている確率が極めて高いです。業者の人にいわせるとオリジナルコンディションのSummicronなんて市場には出てこないと言われるほどです。

中には明らかに悪質なものもあります。たとえ悪意はなくとも表面のガラスがやわらかいSummicronは傷がつきやすく複数回研磨されていることも考えられます。

とても簡単なつくりのため全くの素人がレンズを空けることも考えられます。

Summicronは俗に空気レンズと呼ばれる微妙なレンズ間隔で組み立てられているのですが、その間隔が狂うと必ず開放時のピント精度が落ちます。レンズ間隔はスペーサーで調整されているので一度狂うとなかなか元に戻りません。

特にこの時代のドイツのレンズはクラフトマンシップの塊のようなものです。ガラスの溶解の関係で同じ部分のガラスでも微妙な収差の違いが生じます。こういった個体差のあるレンズを絶妙なバランスで組み合わせ最適化し、微調整を繰り返し組み立てています。そのためSummicronは違う個体から部品を持ってきても上手く取り付けられなかったり、ぴったりねじ位置が合わなかったりします。レンズもほかの個体のものを取り付けるとバランスが悪化します。でもこれらのことは外観からは分かりません。

さらに困ったことにSummicronはF2.8位まで絞るとコンディションに関係なくそこそこ写ってしまいます。

そういったことを考え合わせれると開放でピント精度のいい個体を探すことがいい個体を探す一番の方法であると思います。

そのため少し外観が悪く、多少傷がついていても、開放からピントがきて曇りのないレンズを選ぶことが大事です。最近では試写ができるお店も多いのでマウントとカメラを持ち込んでレンズ探しができます。試写も室内だけだと見えにくいクモリを見落としてしまうことがあるので可能であれば外で撮ってみるとよいでしょう。無限遠のチェックにもなります。

ただし外観の悪いレンズは売るときに安くなります。中古市場では外観がすべてだからです。