『癸丑以来(きちゅういらい)』
『癸丑以来(きちゅういらい)』 ●司馬遼太郎 ゛世に棲む日日゛ 癸丑以来(みずのとうし)という言葉は、ペリーが浦賀に来た 嘉永六年のことである。晩年、桂小五郎(木戸)は、「癸丑以来」というのが口ぐせだった。ペリー来航から攘夷論が起こり、尊王の志士が出てくるのだが、「癸丑以来」の連中が、一番古いことになる。土佐の坂本龍馬は、薩摩の西郷隆盛をたたえて、「西郷は何といっても癸丑以来の人だから」と言ったりした。この「癸丑」の年を境に先輩・後輩の意識があったことになる。木戸は「癸丑以来」の革命家らしい理想主義的気分が残っており、『こういう政府をつくるために、我々は癸丑以来粉骨したわけではない。死んだ同士が地下で泣いているのに違いない。』と言い、それが憂鬱の原因となっていた。#癸丑以来 #木戸孝允 #司馬遼太郎