界面活性剤のタンパク質変性(後編) ~ラウリル硫酸よりも強いのは…~ | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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前編はこちら↓
界面活性剤のタンパク質変性(前編) ~タンパク質について~





それでは実験の結果を見ていきましょう。





◎ラウリルとラウレス、及びセッケンの結果




最初に一般に皮膚刺激が強いとされる

「ラウリル硫酸Na(SDS)」
及び「ラウレス硫酸TEA」という合成洗剤

の結果をお見せします。



最初の結果(左)がラウリル硫酸Naで、

次(右)がラウレス硫酸TEAです。

どちらも黄色がかった透明が、

界面活性剤の滴下後しばらくするとこのように白色に濁りました。

つまりこの二つの洗剤には十分なタンパク質変性作用が見られます。


他にも「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na」や

「ラウリルベンゼンスルホン酸Na」などの「LAS」と呼ばれる


刺激が強く既に使用自粛されている合成洗剤も同様の結果を示しました。



次に、

一般に刺激が弱いという認識が強い「セッケン(ラウリン酸Na)」

の結果をお見せします。

本当に低刺激ならば変性の程度は小さい筈ですが…





どうでしょう、セッケンでも白色の濁りが見られますね。

しかも、セッケンはSDSやラウレス硫酸TEAよりも反応が速く

滴下したその瞬間から変性していく為

攪拌しても底の方までセッケンが届きませんでした。


白色の濁りの濃さは最も濃く、

刺激が強く使用が自粛されている洗剤よりも

さらに強いタンパク質変性作用を示します。




セッケンが低刺激…
という認識は、

この時点で間違いであることがわかりますね。

セッケンは危険?~意外と知らないセッケンの化学~



この二つの結果を見ると、

合成洗剤でもセッケンでも、

結局は界面活性剤全てに
「タンパク質変性作用」があるということなのでは?


というふうに感じるかもしれませんね。





◎アミノ酸系洗剤とノニオン界面活性剤の結果


次にお見せするのは、

「合成洗剤」の一種である

「ラウロイルサルコシンNa」という洗剤の結果です。


どうでしょうか極少量の変性が見られますが、

これまでの結果とは大きく違う結果が出ています。


これはアミノ酸のサルコシンをベースにして作られた

比較的歴史の古いアミノ酸系界面活性剤で、

アミノ酸系洗剤の中では最も廉価で洗浄力も高く、

それに伴い少々刺激の強い部類に入ります。


それでもこれだけこれまでの洗剤とは結果が異なっていることには驚きです。

個人的には陰イオン界面活性剤の一種であることから、

もう少し大きい変性作用があると考えていました。



今度は陰イオン界面活性剤ではなく、

イオン分解しない「ノニオン界面活性剤」という合成洗剤の結果です。


左が低刺激で有名な「ポリソルベート‐80」

右が食器用洗剤に使用される「ポリオキシエチレンラウリルエーテル」


これらノニオン界面活性剤は水中でイオン分解しない為、

タンパク質のイオン結合に介入できないことから

タンパク質変性作用を示しません。


よって実験はまったく変化が起こらない、

という結果となりました。


つまりこれらノニオン界面活性剤は

「タンパク質変性」という点では
全く無刺激

と言って良いです。



しかし
洗浄能力が非常に優れる点で
皮脂膜を除去しすぎるなどの問題があり、
安価なものはしばしば手湿疹の原因となることもあります。
(アルキルグルコシド、上記ポリオキシエチレンラウリルエーテルなど)



これらアミノ酸系洗剤やノニオン界面活性剤は、

「合成洗剤」でありながらほとんどタンパク質変性作用を示しません。


つまり、

界面活性剤だからといってタンパク質変性作用を示す


というわけではないのですね。





今回の実験の結果を並べてみるとこうなります。


左から:加熱・セッケン・SDS・ラウレス硫酸TEA・ABS・LAS・アミノ酸系・POELA・ポリソルベート




実は現在行っているアンケート調査で、

「タンパク質変性作用を示すと思うのはどれですか?」

という質問に対して、

ほとんどの人は「合成界面活性剤」は選びますが、

「セッケン」を選ぶ人はその半数程度です。


つまり、

多くの人はセッケンには皮膚刺激が無いと考えているのですが、

これは間違っているということがこの実験では明らかにされています。





もちろんただ単に

タンパク質変性作用が強い=刺激が強い

とは一概には言えません。



なぜなら人の髪や皮膚はアルブミンではなく、

「ケラチン」という変性に対して非常に抵抗力のあるタンパク質

の組成が最も大きい割合を占めるからです。


今回実験に用いた「アルブミン」は

特に変性を受けやすい性質を持っているから

今回の結果が出ているのであって、

ケラチンやその他のタンパク質では同じようにはなりません。


なので今回セッケンのタンパク質変性作用が
最も強い

という結果が出ていますが、それでも

通常生活で使用する頻度ではケラチンを変性させるには

まず及ばないと考えていいでしょう。




今後毛髪ケラチンのタンパク質変性実験も行い、

これらの変性作用がそれほど恐るべきものではないということも

同時に示していければ良いと思いますので、

追報をお待ちくださいね。





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