「石油系合成界面活性剤」の勘違い ~「石油系」洗剤は「植物性」?~ | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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「石油系合成界面活性剤」は危険です!!





…な~んていうフレーズを聞いたことがある方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。


特に化粧品成分に興味を持って、僕のブログに行き着いた人の多くは

まず知っているでしょう「石油系合成界面活性剤」という言葉を。
.

この石油系合成界面活性剤、とっても嫌われてますよね。



最近では「石油系界面活性剤不使用」っていうフレーズが流行っているくらいですからね。


いやぁとんでもないやつらであることには間違いないでしょうね。

おそらく。


しかし何かわかんない人もいると思うので、

ここで一般的に言われる「石油系合成界面活性剤」をいくつかピックアップしてみましょう。


・ラウリル硫酸Na
・ラウレス硫酸Na
・ラウリルスルホン酸Na

・ラウリルベンゼンスルホン酸Na
・オレフィン(C12-C14)スルホン酸Na
・パレス-3硫酸Na

などなど、「Na」が「TEA」や「アンモニウム」に変わっている場合もありますが、

基本的にはこの辺は一般に言われる「石油系界面活性剤」かなと思います。



それでは一つ問題ですが、


なぜこれらの界面活性剤が「石油系」と呼ばれるのでしょうか。




え、答えは簡単ですね?

「石油から作られているから!」


です。

なるほど分かりやすいです。


しかしここで忠告があります。



実はこれらの洗剤・・・石油、使ってないんです・・・。。



????(゚д゚)????


驚く人も多いと思います。

でもこれが事実です。



◎石油系界面活性剤は、「植物性」?


実際に現在では上のような洗剤は「ヤシ油」という植物性の油から原料を抽出しています。


「ラウリル」という言葉がついた洗剤が多いですね。


これは原料になる「ラウリルアルコール」というアルコール原料からとっている名前です。


このラウリルアルコールですが、

「ラウリン酸」という高級脂肪酸を還元処理して工業的には生成されています。


えーと、ちょっとウィキペディアさんからとってきた画像ですが、

ご覧ください。




よくわかんないかもしれませんね。

これは「ヤシ油」、つまりココヤシの木から取れる植物オイルの脂肪酸組成表です。



ざーっと見ると、ラウリン酸:44.6g っていうふうに書いてあるのが分かるでしょうか。


つまりヤシ油はその100gあたり44.6gが「ラウリン酸」という脂肪酸でできているのです。


この数値は非常に高い脂肪酸組成ですね。

ヤシ油はその50%ほどがラウリルアルコールの原料となるのです。


なのでヤシ油にぽいっと還元剤を入れてボコボコ煮込んだら、

その50%がラウリルアルコールになってしまいます。


これは石油を加工するより断然簡単で、

しかも最近は石油価格が高騰しているので石油は温存される傾向にありますね。



というわけで、


「石油系界面活性剤」
の原料は最近はもっぱら「植物オイル」なのです。



◎低刺激洗剤も「石油系」の仲間



ちなみにさらに驚きの事実をおはなしすると、


ラウロイルメチルアラニンNaとか、ココイルメチルタウリンNaとかいう

「アミノ酸系界面活性剤」


コカミドプロピルベタインやラウラミドプロピルベタインのような

「両性界面活性剤」


ラウリン酸PEG-20グリセリル、ポリソルベート-80などの

「非イオン界面活性剤」



刺激が弱くて肌に優しいと言われるこれらの洗剤、


全部、石油を原料にすることができます。



ラウレス-3-カルボン酸Naは「酸性石鹸」ですが、

これも石油をベースに作ることができます。



なぜなら界面活性剤の持つ「親油基」という部分、

成分名称で言えば「ラウロイル」とか「ラウリル」とか「コカミド」とかで表してる部分ですけど、

ほとんどがラウリルアルコール原料ですよね。
(ラウロイルもラウレスもラウリルアルコールが原料の意味です)


コカミドは「ココイルアミド」の略ですが、「ココイル」というのは長鎖脂肪酸の炭素数がC11~C17を含むものの総称です。(ラウリルも含みます)



つまり上で言ったようにこの原料はヤシ油からも生成できますが、

元々石油から作っていたアルコールが原料になってます。


じゃあこれらも全部「石油系」ということになってしまいませんか?





本当の話をしますが、

現在インターネット上であたかも正式な区別のようにして考えられている

「石油系」とか「植物系」とかいう括りは、

全く正式な種類分けとは異なります。



そもそも界面活性剤の名称や種類というのは

最終的に出来た物質の構造から考えられるものであって、

その原料なんてなんの参考にもなりません。




だって原料なんて植物だろうが石油だろうができるもんは一緒なんですから。。。



そういう括りで考えていると、とんでもない悪徳ビジネスに巻き込まれるおそれがあります。

というか、


そもそもこの「石油系」や「植物系」という種類分けの出処は、

あの「経皮毒」関連の悪徳ビジネスから発生したものだったのです。




◎「石油系」の出どころは「経皮毒」


実は「石油系合成界面活性剤」という言葉を世に知らしめたのは

あの「経皮毒」が発端でした。

→化学物質が皮膚から侵入?「経皮毒」論を徹底究明


経皮毒の論調をここで簡単に説明するならば、


石油から作られるラウリル硫酸Naは石油から作られるPGと一緒になると皮膚を溶かして皮膚から侵入する・・・」


ということです。


そしてその最終的な結論がなんだったか、、


「石油系界面活性剤を使うのではなく、ニュー○○ン(某有名マルチ会社)などで使われる植物性ココアルキル硫酸Naを使うといいだろう!」


ということだったのですが、


この植物性ココアルキル硫酸Naっていうのは

ただ単にヤシ油から作っただけのラウリル硫酸Naで、

ものは一緒だったっていうオチなんですよね(^^;)


経皮毒はマルチ関係の悪徳商法ですから、全く信用すべきではなく、

経皮毒関連のホームページでは、

「石油系」より「石鹸」、「石鹸」より「植物系!」

みたいなことを未だに言い続けてますからね。

気をつけなければならないです。


で、、

それがネット上に浸透して、

挙句今ではいろんな会社がまるで正式な括りのように使っちゃっているという現状なわけです。


最近ではあんまりそう言った洗浄剤を植物性とかいって売る流れはなくなりましたが、

LU○H(某有名石鹸屋さん)なんかは植物性とか言ってラウリルやラウレスを普通に販売してますね。




ちょっとよく調べてみればわかるんですけど、

大手メーカーとか優良なサロン専売メーカーは

どっこも「石油系」とか「植物性」なんて言い方はしていないんですよね。


それが正式なものではないことを当然のことのように知っているからです。



本来洗剤の区分けはその構造に由来します。

主に親水基の構造が重要になります。


そしてもっと詳しく言えば、親水基の構造が詳しく分かれば、

その洗剤の刺激性や洗浄力まで予想することが可能です。



いつになるかは分かりませんが、そのあたりのお話も今後することになると思います。

(当然かなり高度な話になりますけどね(^^;))


それでは今日はこの辺で。





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