「尿素」について | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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先日解析した某有名化粧品に配合されている

「尿素」

という成分について、



少し詳しいお話をさせていただこうと思います。


ちょっとケミカルな話になると思いますが、

お暇な方はお付き合いお願いします(^_^;)



◎尿素クリーム→角質柔軟剤




硬いかかとのガサガサ…

つまり油分・水分を失い固まった角質

ツルツルに整えてくれるクリーム。



このような角質柔軟剤の多くには、

『尿素』

と呼ばれる成分が配合されています。



尿素には角質を柔軟化させる作用があるのです。


簡単に言えば

尿素は角質を溶かすことができるのですね。




なぜ尿素にそのような力があるのか、

というと尿素は


『水素結合サイト』


というものをたくさん持つからです。



◎水素結合サイトとは



「水素結合」とは


水同士が引き合う際に大きな力を発揮している結合です。


簡単に言えば「水の結合」と言い換えることができます。



水は強力な表面張力を持ちます。





↑図のように水が簡単にこぼれないのは、

水が水分子同士で水素結合によって引き合うから
です。




この上の図から見て、

水分子(H2O)の持つ水素結合サイト(水素結合できる部位)は、


Oに2つとHに対して1つずつです。


つまり水分子一個で最高3つです。



このような水素結合サイトを持つ分子は水だけでなく、


例えば糖類低級アルコール



なども水素結合サイトを持ちます。


糖類やエタノールなどの低級アルコールが水に馴染みやすいのは、


このように水と結合しやすい構造を持っているからなのです。



※厳密にはHの水素結合サイトはNやOなどの電気陰性度の大きい原子と結合している場合にしか機能しません。そのためCと結合しているHには水素結合サイトは無いことになります。
さらに水と馴染みやすいかどうかは分子の大きさにも由来します。分子が大きくなるとそれだけ水と馴染みにくくなります。




◎尿素の構造と水素結合サイト




これが尿素の構造ですが、


尿素にはNと結合したHが4つと、Oが1つあります。


つまり水素結合サイトを5つ持つということになります。




尿素は分子の大きさも小さく、

このように水素結合サイトを多数持つことから


水と異常によく馴染みます。



この効果から尿素は高い保湿作用を持つと同時に、





実はこの水と異常によく馴染むという性質が、



なんと角質を溶かすことの由縁となるのです!





◎水と馴染みすぎると角質を溶かす??



人の『角質』『ケラチン』というタンパク質で作られています。


タンパク質というのはアミノ酸がたくさんつながって出来たものです。


タンパク質中のアミノ酸は

基本『ペプチド結合』という結合でつながっていますが、

そのタンパク質のつながりの中には、

実は水素結合で繋がった部分もあるのです。





尿素のように強力に水と馴染む分子がその部分に近づくと、


尿素がその水素結合の間に割り込み、

結合を切ってしまうのです!




水素結合はタンパク質の構造を補強していることが多く

結合を割り込まれたタンパク質はもろくなり、

更に力を加えることでタンパク質の構造を壊すことができます。



まぁ難しい話ですが、

簡単に言えば


尿素はタンパク質の構造を一部破壊することができる


ということなのです。





実際に尿素は実験室ではタンパク質変性剤として利用されています。



かずのすけも実験でケラチンの構造を弱める際に使用してましたね(^_^;)





◎尿素による角質柔軟は『ケミカルピーリング』と同じ



ケミカルピーリングというと、

グリコール酸などのピーリング剤を用いて

行う化学的な角質除去のことです。



グリコール酸はその強い酸性も然ることながら、

水素結合サイトを多く持つ為に強力に角質を柔軟化できます。

そのため化粧品としては厳しく使用が制限され、

医療専門機関で利用されることも多いです。




尿素はこれほどではないにしろ、

同様の作用で角質柔軟ができる成分なのです。



尿素を使用してしっとり感を感じたならば、


それは角質が溶かされているからである


ということは知っておくべきでしょう。


ピーリングされた肌は老廃した角質が剥がれ

ツルツルの若い皮膚が現れます。


これを美肌効果というのは勝手ですが、


その若い皮膚は当然未発達で脆い皮膚です。


そういう化粧品を常日頃と使用すれば最終的にどうなるのか・・・。


少し恐ろしくもありますよね(ーー;)




◎長期保存した尿素化粧品のリスク


最後に、

実は尿素はその名前からも想像しやすいですが、

尿の臭いの素である「アンモニア」と大きく関係しています。


NH2‐CO‐NH2(尿素) 

NH
3(アンモニア)


構造式から見ても、

尿素は酸化炭素を挟んでアンモニアを2つ持っている分子ですからね(^_^;)



とある専門家の方から聞いたお話では、


製剤中で安定化されていない尿素は

水溶液中で分解されてアンモニアを生成するそうです。


アンモニアというとアルカリ性の成分で、


アンモニアの水溶液は触れると危険ですし

何より刺激臭が半端ないので有名です。



安定化されていない尿素は水溶液中でアンモニアとなり、

その化粧水のpHもすぐにアルカリ性になってしまいます。



そのため大手メーカーでは

いかに尿素が高い保湿作用を持つからといって

化粧品に配合することはほとんどないのだそうですよ!



角質柔軟作用も危険ですし、

さらにアンモニアまで生じてしまうとあれば、、


化粧品として出荷するのはそりゃかなり危ないですよね・・・(´・_・`;)



まともなメーカーであればこんなにクレームがつきそうな素材は

使わないに越したことなしと考えるものでしょう・・・







どうも気軽に使われがちな『尿素』ですが、

実は結構問題だらけの化粧品成分だったりします。


正しく効果のメカニズムを理解して使用する必要性がありそうですね!




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