洗剤の『ケラチン可溶化促進』について③ <結果> | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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洗剤の『ケラチン可溶化促進』について①

洗剤の『ケラチン可溶化促進』について②



◎実験してみました


実験は2種類行いました。


・パーマ剤1剤をそのまま用いる方法

・パーマ剤の還元剤だけを用いる方法
(還元剤→チオグリコール酸アンモニウム(TGA))


です。


手順は以下のような感じです。



パーマ剤を用いているやつでは、

最初のTGAがパーマ剤原液になってます。

分量は↓のような感じでした。



実験の内容としては、


・還元剤

・尿素

・界面活性剤


を混ぜた溶液に髪の毛を0.2g加えて、



40℃(お湯の温度ですね)で5時間放っておきます


すると界面活性剤の種類によっては以下のような状態になります。





で、これをうまく濾過・乾燥させて重量を計測し、


最初の0.2gからどれくらい軽くなったか

を測定します。


また写真をとって様態の比較も行います。



比較した界面活性剤は以下の種類になります。

(ドデシル硫酸ナトリウム→ラウリル硫酸Naのことです。)



◎結果(写真比較)


結果の写真なんかはすごいいっぱいあるので、、

いくつかしか見せられませんが。。



まず写真をお見せしますね。



実験②(チオグリコール酸アンモニウム使用)における、

還元剤と尿素と水だけを入れた場合と
(界面活性剤を入れない)

非イオン界面活性剤を加えた場合の写真比較です。




40℃加熱・5時間放置という条件では、


少量の還元剤と尿素だけでは

健康な毛髪を変性させることはできない


ことがわかります。


また非イオン界面活性剤を加えた場合でも

毛髪の様態を変化させるほどの変性作用は及ぼしません。





対して、

強アニオン界面活性剤

ラウリル硫酸Na(SDS)と直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na(LAS)

の場合では、



ご覧のように

毛髪の構造が原型を留めないほどに破壊されます。


ちなみにこれはカチカチに固まってますよ(^_^;)
濾過直後はドロっとした感じになってますが…。。




さらに弱アニオン

アミノ酸系洗剤のラウロイルサルコシンNaと石けん(オレイン酸Na)

では


先ほどの強アニオン界面活性剤ほどの変性は見られない

という結果になっています。



ちなみに石けんは、

アルカリ剤などが配合されたパーマ剤ベースの実験では



ラウリル硫酸ナトリウム同様に強力な変性作用を発揮しています。



どうもチオグリコール酸アンモニウムは

時間経過で溶液のpHが酸性にシフトする性質がある
ようで、

これのみの実験では石けんの界面活性は失われてしまうようでした。



ただこれは洗剤のアニオンによる性質というよりは、

アルカリ剤の影響が大きいのかなぁという気もしますね(^_^;)



◎結果(重量の変化)


チオグリコール酸アンモニウムを用いた実験では、




このようにSDSで最大75%の重量低減が見られました。

最初の重さが0.2gだったので、

最終重量が0.05gになってしまったということです。


またLASで40%と、

これまた強アニオンの界面活性剤ほど

大きく重量を低減させる結果になりました。



ちなみにパーマ剤を用いた場合には、


石けんでも45%と高い重量低減が得られています。



当たり前と言えば当たり前ですが、

様態の変化が大きいほど重量低減も大きくなるという結果ですね。




◎結論として


強アニオンの界面活性剤ほどケラチンの変性作用が強く、

特に還元剤などを処理してもろくなった毛髪に対して

継続使用することでダメージを助長する可能性があると言えます。




実験では補足的に陽イオン界面活性剤の
セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)も使用しました。


また今回の実験では

界面活性剤の親水基構造によって

結果が大別できることから、


他の界面活性剤についても親水基構造などを見ることで

結果を予想することが可能です。


構造から洗剤の刺激を予測する方法




◎洗剤の性質は髪のダメージ要因になりうる!



もちろん

界面活性剤の種類は膨大であり

今回の実験ですべてが決まったとは言えませんし、


まだまだ仮説の段階と言わざるを得ない部分もあります。



実際には

還元剤と尿素を一緒に入れて放置なんていう極限的な状況は、

まず日常生活では起こりえないことです。


なのでラウリル硫酸Naの結果のような事態が

日々起こるなんていうことはまぁ考える必要はありません。





しかし最近では

『パーマ』『縮毛矯正』などの還元処理が一般化しており、


髪の毛に還元剤やアルカリ剤などの薬剤を作用させる局面

というのは普通にありえる話です。



パーマをしたあとに

鼻にくるツンとした臭気を感じることがあると思います。

あれは還元剤などの臭いですね。


つまり美容室で後処理をしてもらっても、

還元剤などの薬剤は微量ではありますが毛髪に残留しています。



そのような状態は毛髪が脆くなっている状態なので、

出来ればシャンプーの洗剤は

弱アニオンのものを選びたいところですね。


もちろん強アニオンの洗剤を使ったからといって

直ちに影響を及ぼすということはありませんが、


長期的に使用していけばダメージ要因になる可能性は

極めて高いと言えるでしょう。




また、

カラーやパーマを繰り返して

髪が水に溶けたようになってしまったり

ゴムのように伸びてしまうようになっていたり


というスーパーハイダメージの毛髪の場合、


その状態は毛髪のケラチンが非常にもろくなっているので、
(還元剤が作用したあとの状態と同じ)

ラウリル硫酸Naなどの強アニオンの洗剤を使用すると

モロに毛髪にダメージとなると考えて良いでしょう。







なぜこんなことが起こるのか?

という考察についてはまぁ色々と考えてあります。


ただこれについては確かめる術はないので、

ここでは結果だけをお知らせしておこうと思います。





『洗剤の性質の違いで髪が痛む』

というのは、

嘘や偽りではありません。



確かに健康な毛髪であればほとんど心配は要りませんが、


還元剤を作用させる

など、ある特定の状況を作り出してしまった場合、


洗剤の種類によっては

そのダメージを加速させてしまうことが十分に考えられるのです。



かずのすけが以前から


強アニオンの洗剤を用いている市販のシャンプーでは

カラーやパーマ後のヘアケアは出来ない!



と言っていたのにはこういう理由があったということですね。



まぁあまりに難しい話だったので、

わざと今まで避けてきたところがあるのですが…。。



少し難しい部分もあったとは思いますが、

ここまでお付き合いいただけた方は本当にありがとうございますm(_ _;)m





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