トリートメントの刺激 ~カチオン界面活性剤について~ | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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シャンプーに配合される「洗剤」の刺激については

大衆間でもよく議論される話ですが、


トリートメントなどに用いられる

「柔軟剤」の刺激性はあまり話題に上がりません。



しかし

カチオン界面活性剤の毒性と刺激性について


でも取り扱っているように、


トリートメント類の柔軟剤として主に用いられている

「カチオン(陽イオン)界面活性剤」

は、


洗剤と比較しても経口毒性が非常に高く、

さらに

残留性が大きいという意味でも皮膚への刺激性が懸念されます。



また、

トリートメントのベースに主に用いられる

「セタノール」「ステアリルアルコール」

は旧表示指定成分にも指定されている原料であり、

刺激の原因として考えられることもある成分です。





以前

「カチオン界面活性剤」繋がりで

衣料用の芳香性柔軟剤について話題に上げましたが、

「香りブーム」に潜む危機?~香料の有毒性と「香害」について~



今回は

ヘアケアで用いる「トリートメント」について

その刺激性に関する考察をしていきたいと思います。




◎トリートメントの主成分


トリートメントの主成分として用いられているものは主に、


高級アルコール
(セタノール・ステアリルアルコールなど)

シリコーンオイル
(ジメチコン・シクロペンタシロキサンなど)


などの「油性ベース剤」と、



「ベヘントリモニウムクロリド」「セトリモニウムブロミド」

などの

「カチオン(陽イオン)界面活性剤」

です。


まず大抵のトリートメントには、

これらの成分が多かれ少なかれ配合されます。





◎大前提:トリートメントは刺激がある!


『洗剤』が刺激物であることと同様に、

『柔軟剤』も刺激物です。


まずこれは大前提として考えるべきです。



理由として第一には、

「カチオン界面活性剤」

がほぼ必ず配合されている
からです。



カチオン界面活性剤の毒性と刺激性について


で解説しているように、

カチオン界面活性剤は生体への毒性が強く、

皮膚吸着して刺激になる成分です。




ただし注意したいのは、

経口毒性が洗剤の50倍も強いからと言って、

皮膚刺激も50倍強いというわけではありません。



◎強電離カチオンと強電離アニオンの皮膚刺激性比較


▶『Differential Effects of Detergents on Keratinocyte Gene Expression』,Fred van Ruissen,1997



分かりやすいデータを探してみたのですが上記の研究論文では


アニオン界面活性剤で最も刺激の強い

ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)
と、



カチオン界面活性剤で特に頻繁に使用される、

セトリモニウムブロミド(CTAB)


及び非イオン界面活性剤の

ポリオキシエチレンアルキルエーテル(toritonX-100)



による刺激性スコアと皮膚内喪失水分量を比較しているものです。



セトリモニウムブロミド(CTAB)は

「第4級アンモニウム塩」

というタイプのカチオン界面活性剤で、


性質としてはアニオン界面活性剤でいう「硫酸塩型」(SDSなど)

と似たような立ち位置であると思って頂くと分かりやすいかもしれません。


強電離性で、

カチオンの中では特に刺激の強い部類のものです。




パッチテストによるデータですが、



2%のCTABが、1%のSDSとほぼ同様

の刺激性スコアになっています。



倍にしたから半分になる…

とは一概には言えませんが、


一般的な性質としては

単純な「皮膚刺激」で比較すれば


4級アンモニウム塩のカチオン界面活性剤の刺激は

ラウリル硫酸ナトリウムよりは小さい



ということが言えます。


ちなみにこの結果はかずのすけが行った研究データでも得られました。





経口毒性で大きな毒性があるからと言っても、

皮膚刺激で同じだけの刺激が出るというわけではないのですね。


カチオンは生体内の脂質成分と特に結びつきやすい為、
生体内に取り入れると飛躍的に毒性が上昇してしまうのです…(^_^;)




ただし

アニオン界面活性剤は水で流れてしまうのに対して、

カチオン界面活性剤は吸着して残存するので


継続して刺激要素になるというのは一つのポイントでもあります。


なので

単純に刺激が半分くらいで、配合量も半分以下だから…

という理由で刺激が全然無い、とは言えないのです。





◎4級カチオンは避けた方がいい?


確かにカチオンは刺激が強いと言えます。


実際にかずのすけのトリートメントの評価でも、

それが入っているだけで皮膚安全性のパラメータを下げざるを得ません。
(通常配合なら★★★☆☆程度)




しかし実際のところ、


『4級カチオンを配合していないトリートメント』

って、

ほとんど無いんです(_ _;)



僕がこれまで解析したトリートメントで、

4級カチオンを配合していないトリートメントは

お世辞抜きで1割以下です。



よほど地肌への配慮がされているトリートメントでもなければ

まずトリートメントにはほぼ必ず4級カチオンが配合されます。




これは何故かと言うと、


例えば

4級アンモニウム塩以外のカチオン界面活性剤(アミン塩など)は

強い酸性じゃなければ水に溶けなかったり

トリートメントの乳化が不安定になってしまう


など

処方上の理由が大きく関係しているものと考えられます。


カチオン界面活性剤はその特殊な性質のため


様々な種類が用いられているアニオン界面活性剤ほどの選択肢がないのです。




そもそもカチオン界面活性剤は

洗剤のように洗浄機能を求める必要がありませんし、


ベース剤や質感調整剤をうまく活用すれば

配合量を極力抑えることができます。


なのでカチオン界面活性剤は

多くても5%程度少ないものは1%程度の配合のものもあります。




確かに4級カチオンは刺激になりうる成分ではありますが、

各社はそれを配合量を最低限に留めることで

刺激を出来る限り小さく抑えているのですね。




◎トリートメントとの上手な付き合い方



現状では4級カチオ
ンについては

ほぼすべてのトリートメントに入っているため、


これを避けるとなるとトリートメントの選択肢はかなり狭まります。



実際のところ余程の敏感肌でもなければ

通常の配合量(ベース剤の下位程度)の4級カチオン程度は

気にする必要はありません。



ただし

よほど濯ぎが甘いか

積極的に皮膚に塗布してしまっているか


など使用法に問題がある場合には

結果的に何かしらの問題を生じてしまう可能性はあり得ます。


…もちろんあくまでとても肌が弱い人の場合ですけどね(^_^;)




僕の見解としては


根本的にはさして気にする必要はありませんが

特に敏感肌を気にする人は

『トリートメント』

そのものに注意を向けたほうが良いかもしれません。

(4級カチオンはほぼすべてのトリートメントに入っていますからね)



トリートメントにはそもそもから刺激があるのだ

ということを念頭に置いて、


皮膚への残留を出来るだけ小さくするように心がけるなど

各々の体質に見合った対策を講じていく必要性が求められます。








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