被爆ヴァイオリンをご存知でしょうか。

広島で被爆した世界で1つの貴重なヴァイオリンです。

そのヴァイオリンの修理をなさったのは、
イタリア・クレモナ在住のヴァイオリン製作者、
マエストロの石井髙さんです。

石井さんは、イタリアに渡られて、40年以上もの間、
ヴァイオリン製作に携わってこられました。
皇太子さまのヴィオラの製作をされた方です。

また、秀吉のヴァイオリンこと、
天正遣欧少年使節団が日本に持ち帰り、伊東マンショらの少年達が
秀吉の御前で演奏したヴァイオリンを、再現されたかたでもあります。
 
この石井さんが、広島に来られているので、
一年ぶりに再会し、お食事をご一緒いたしました。

石井さんから、素敵なお土産をいただきました。




ヴァイオリンの製作工程と同様に、
石井さんのニスを重ねて塗った
手作りのヴァイオリンの額です。
石井さんのサインもあります。

「もう30年くらい経つといい感じに変化します。」
と、おっしゃっていました。

ヴァイオリンの額は、アップルツリーに飾らせていただきます。
アップルツリーにご来場の際に、是非ともご覧くださいね。


さて、被爆ヴァイオリンについてのお話です。

被爆ヴァイオリンとは、ロシア革命(1917年)の折、
日本へ亡命した白系ロシア人の
セルゲイ・A・パルチコフ氏所有のヴァイオリンです。

パルチコフ一家は、革命をさけて、ロシアを離れ、
はるばる日本へ渡ってこられたのです。
希望を求めて移り住んだ新天地、広島の地で被爆し、
二重の悲劇に遭いました。

パルチコフ氏のヴァイオリンは長く忘れられていましたが、
イタリア・クレモナ在住のヴァイオリン製作者、石井髙さんによって修復され、
2012年にかつての音色が蘇りました。

ロシア革命で亡命したロシア人といえば、ラフマニノフがいますね。
当時、日本に来たロシア人は数多く、日本にたくさんの西洋文化を伝えました。
バレエ、音楽、服装、食文化、等…。
神戸の有名な洋菓子店も白系ロシア人の創設したお店です。
(詳しくは、「白系ロシア人と日本文化」 沢田和彦著(成文社)をご参照ください。)

戦前の日本で、外人さんといえば、ロシア人でした。
しかし、白系ロシア人の方々は無国籍ですので、詳細なデータが残っていません。
新聞社の記者さんや、研究者の方々の地道な調査の結果、
戦前の広島には6家族のロシア人が居住していたことがわかったそうです。
(詳しくは、中国新聞の記事がアップされていますのでご覧ください)

その中の1人、パルチコフ氏が、ロシアから肌身離さず持ってきたヴァイオリン。
パルチコフ氏とともに戦火をくぐり抜けて日本へやってきたのです。
石井さんが修理の際、ヴァイオリンの中を開けてみますと、
ロシアでの家族との思い出が詰まったヴァイオリンであることがわかったそうです。
だから、何があってもヴァイオリンを手放さなかったのですね。

被爆ヴァイオリンは、歴史の証言者。
ヴァイオリンは、壮大な冒険物語を秘めているだけではありません。
戦前の広島には、豊かな文化がありました。

ヴァイオリンの音色を聴くと、かつての世界を想像する事が出来ます。

私は、2012年12月に、広島で、
被爆ヴァイオリンと被爆ピアノのチャリティーコンサートの
主催の1人として開催のお手伝いをいたしました。
その収益金は、東日本大震災の被災者に寄付いたしました。

今年は、11月25日(火)に福山のリーデンローズ大ホールにて、
被爆ピアノと被爆ヴァイオリンのチャリティーコンサートを開催いたします。
演奏者は、日本を代表するピアニスト、横山幸雄氏と
大阪フィル、名古屋フィルのコンサートマスターでヴァイオリニスト、田野倉雅秋氏。
本格的な演奏をお届けいたします。

曲目などの詳細は、しばらくお待ちください。











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