プールサイドに犇めくのは表情のないロボットのような女達。自分もその中に紛れている。順番はない。名前を呼ばれるのを待つだけだが、名前があるのか無いのかさえ分からない。
(次は君 、はい)
無言のまま、女達はプールに飛び込んでいく。そのまま動かない。かなりの数の女達が飛び込んでいくが、溢れることもなくそのままの状態を保っている。死ぬことを強要された女達は一様に感情を失っている表情をしている。
自分も?
例えば大勢の中の一人。ゴミのように扱われて、廃棄されていく。
役人は全く表情を変えず淡々と作業を行っている。もはや、善悪は消滅している。そうなのか?プールに入れて消してしまう事は寧ろ善なのでは。価値観の齟齬。私の身体は無くなっても、私の記憶は残るの?あなたに会ったときのあなたの記憶は?
「透明な湖が目に浮かぶ。底は見える筈なのに光の加減なのか判然としない。私はあなたがこの中にいることを疑っていないので、呼び掛けようとするのだが、全く声が出ない。でも、声が出たところで呼べないことは分かっている。吸い出すしかないのだ。周りにホースがないか確認してみるが、見当たらない。あるのは小さなスコップ。これで少しずつ水を出していけば現れるかもしれない」
白昼夢の中で次々とこだまする役人の声。私は?私の記憶は消えてしまうの?
私が好きなもの、覚えてる?嫌いなものでもいいんだけど。
番号はあるのだろうか?
身体中探してもそれらしいものは何もない。番号さえも与えられていないことに絶望した。これから消えるとしても最後の証位あっても良さそうなのに・・・・。
私は女達を押し退け、叫びながら前に躍り出た。
(君はまだだ!順番を守ってくれ)
役人は仕事が乱れた為、苛立っている。
それには構わず、私は叫びながらプールに向かって飛び込んだ。
水飛沫が抵抗する私の最後の証となった。
(次は君 、はい)
無言のまま、女達はプールに飛び込んでいく。そのまま動かない。かなりの数の女達が飛び込んでいくが、溢れることもなくそのままの状態を保っている。死ぬことを強要された女達は一様に感情を失っている表情をしている。
自分も?
例えば大勢の中の一人。ゴミのように扱われて、廃棄されていく。
役人は全く表情を変えず淡々と作業を行っている。もはや、善悪は消滅している。そうなのか?プールに入れて消してしまう事は寧ろ善なのでは。価値観の齟齬。私の身体は無くなっても、私の記憶は残るの?あなたに会ったときのあなたの記憶は?
私が好きなもの、覚えてる?嫌いなものでもいいんだけど。
身体中探してもそれらしいものは何もない。番号さえも与えられていないことに絶望した。これから消えるとしても最後の証位あっても良さそうなのに・・・・。
(君はまだだ!順番を守ってくれ)
役人は仕事が乱れた為、苛立っている。
水飛沫が抵抗する私の最後の証となった。
AD