三好長慶の居城だった飯盛山のふもとの大東市では、春を迎える三月冒頭の週末に武者行列を開催している。2017(平成二十九)年、三月四日の「みよし」の日に初回開催し、毎年地元の方々、北摂や堺、遠く三好家の故郷である四国の徳島県や香川県などからも三好を愛する団体や個人が参加。まさしく天下を治めた長慶の広大な版図であった各地から、この日の為に馳せ参じる。長慶の裁許を求めて人々が続々と飯盛城を目指した往時を彷彿とさせる行列である。

 

毎年、テーマを据えて趣向を凝らし主役の三好長慶役は公募。大人と子供の二人だったり、国際的に知られた「飯盛」らしく外国人が選ばれた年や、三好姓の末裔の方達が長慶役を務められたりした。三好長慶公役の方は行列の先導を担う。

行列の進行には法螺貝を持った山伏装束の行者の方達が貝を奏で、長慶隊を先頭に弟である実休隊や十河隊が続き、各地の団体などもプラカードの旗持にそれぞれの幟や指物を翻させて行列は進む。

長慶の施政下に鉄砲が国内の合戦で使用された記録や、宣教師を城内で引見して布教許可を与えたという実績を意識し反映させた行列らしく、子ども手作り鉄砲隊や地元教会の引率によるリアルキリスト教徒(まさしく河内キリシタンである)の参列なども他にはない特徴だ。

コースの出発地は北条公園。

 

 

公園には様々な飲食店やグッズなどの物販の屋台が立ち並び中央にはステージが設置される。鎧兜を身にまとった各隊はステージを前に集合し、行列を催す地元、大東市長をはじめ市議会議員の方々、市と共にこの行列を主体的に企画運営されておられる大東三好長慶会会長、そして遠く四国は三好発祥の地、徳島県よりも駆け付けられた議員さんによる開催挨拶が始まると、各隊は順番にステージに上がって紹介を受けて出発の気勢を上げるパフォーマンスを行う出陣式が行われる。

各隊の紹介後、長慶公役の方の勝鬨を合図に、いよいよ行列はこの日用意された飯盛城城門をくぐって出発。

 

先ずは北条公園から東高野街道を通り沿道の市民の皆さんの応援を受けながら野崎まいり公園を目指す。

野崎まいり公園ではお茶の振る舞いをいただき暫し休憩。この時に参加者は思い思いに談笑したり記念写真を撮ったりして過ごすことが出来る。

 

休憩後、行列は再び集合して勝鬨を上げて出発。野崎参道商店街から出発地、北条公園を目指す。

 

行列は野崎参道商店街を練り歩き、いいもりプラザ横の沿道を走る学研都市線へ向かってパフォーマンス。この日最大の見せ場だ。

 

 

 

北条公園に無事凱旋した行列は、長慶公役に先勝報告。長慶公よりねぎらいの言葉を賜わり、勝鬨を上げる退陣式により終了です。

「大義であった!」とのお言葉。お疲れ様です。

 

なお、大東市では武者行列の様子を収録した紹介動画や、三好長慶が永禄三(1560)年に飯盛城を居城と定めた入城を模した行列を実際に飯盛山にて行った動画を、三好長慶生誕500年、市政施行65周年を記念した2021年に製作していて、こちらはナレーションに大河ドラマで三好長慶を演じた山路和弘氏が務めるという心憎い演出である。山上を目指し行軍する様もドラマチックに、また地元殺陣師の方たちによる入城を阻止する畠山勢と交戦する戦闘シーンなど、物語調の大変魅力的な動画となっている。ぜひ大東市のホームページや公式YouTubeなどで検索して視聴して欲しい。

 

 

 

また例年、三月の行列の募集も年明け早々に始まるので、興味を持たれた方は是非参加してみて欲しい。私も毎年参加させていただく予定なのでよろしければご一緒しましょう!

 

 記事の制作にあたり画像の提供、使用を大東市さまより快諾ご協力いただきました。記して感謝申し上げます。