【第2回】酒井靖之 個人的「この漫画がすごい」【グルメ漫画】 | どっこい俺は生きている。

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孤独のグルメ



グルメ漫画が巷にあふれている。
「ラーメン」「寿司」などを題材にしたモノや、中年世代をターゲットにした「酒」を題材にしたモノ、また「思い出食堂」など、食にまつわる“思い出”を題材にしたモノなど、趣向を凝らしたモノも多い。

僕の覚えている限り、最初のグルメ漫画は「包丁人味平」だったと記憶する。

包丁人味平

牛 次郎
http://www.amazon.co.jp/dp/4086171813/ref=cm_sw_r_tw_dp_RVT1wb17MEJC6
日本料理では名人の域に達している五条流相伝者・塩見松造を父に持つ主人公・塩見味平。
味平は高校受験に合格しながら、松造の反対を押し切ってコックの道を志し、洋食店「キッチン・ブルドッグ」に就職する。その板場でしごかれ、さらには包丁試しなどの様々な料理勝負に巻き込まれながら、料理人として成長してゆく。



名うての日本料理の板前の息子・味平が、全国で武者修行をし、いっぱしの料理人に育っていくという、分かりやすいストーリーだが、料理の世界に「勝負」を持ち込んだのも、この漫画が初めてだろう。

味平は素人ながら「カレー」や「ラーメン」などのコンテストに出場し、優勝をさらっていく。
90年代にOAされていた、TV番組「料理の鉄人」も、この漫画がモチーフになっている気がする。

ただ、僕が選ぶベストのグルメ漫画は「孤独のグルメ」だ。


孤独のグルメ

久住 昌之
http://www.amazon.co.jp/dp/459405644X/ref=cm_sw_r_tw_dp_Jna1wb0MK5RN8
個人で輸入雑貨商を営む主人公が一人で食事をするシチュエーションを淡々と描くハードボイルド・グルメ
マンガ。'94~'96年に月刊誌『パンジャ』(現在は休刊)に連載され、'97年に単行本化、'00年に文庫化。
ジワジワと売れ続け、累計10万部を突破したロング&ベストセラー。



一人静かに食事をするだけの、何の事件も起こらない淡々としたストーリーだが、夜一人静かに晩酌をしているときには、なぜかこの漫画がとっても胸に響くんだなぁ。

原作の久住昌之さんはもちろんすごいが、僕は、この漫画の世界観を作り上げているのは、作画の谷口ジローさんの、圧倒的な画力だと思っている。

この人ほど「日本の原風景」を描ける人はいないと僕は思う。

川上弘美さんの「センセイの鞄」という小説がある。
この小説を原作とした、谷口ジローさんの「センセイの鞄」は、原作を遙かにしのいでいた!

昨年、「孤独のグルメ2」が18年ぶりに刊行された。
こちらも素晴らしい。あの世界観は何も変わっていない。

誰にも邪魔されず、一人静かに食を(僕は酒?)をしみじみと味わいたいとき、ぜひこの漫画を読みながらお楽しみください。


▶酒井靖之の個人的「この漫画がすごい」第一回目の記事を読む