子どもの健康管理については、どんな親でも悩みどころですね。
予防接種、ワクチンについて、医学博士で元・国立公衆衛生院(現・国立保健医療科学院)免疫部感染症室長の母里啓子(もりひろこ)先生が詳しく解説した本を紹介します。
子どもと親のためのワクチン読本 知っておきたい予防接種/双葉社

2013年10月発行

≪目次≫
はじめに
祝・赤ちゃん誕生 で、こんなに打つの!?予防接種

1章 ワクチンって何ですか?
予防接種はスタンプラリー!?編

赤ちゃんのワクチンがこんな増えたのはなぜですか?
─ワクチンができたからです 病気が増えたわけではありません

ワクチンは子どもの体のためにできるだけ打つべきですか?
─ワクチンは、体にいいものではありません 不自然な形で病気の種を入れるのです

ワクチンのおかげで乳児の死亡率が下がったのでしょう? 
─いいえ、予防接種が始まる前から乳児死亡率は激減しています

ワクチンを打てば一生病気にかからないなら、打った方が安心?
─ワクチンを打っても一生続くような効果はありません

軽い病気ならかかったほうが強い子になりますか?
─もちろんです 自然感染で得た免疫抗体は強力です

『子どものためにしっかり判断!』…できますか?編

定期接種と任意接種、どこが違うの?定期接種は受けなくてはいけないの?
─定期接種は受ける権利のあるもの 受けなければならないものではありません

勧奨が取り消されたり、中止かと思うと再開 いったいどういうこと?
─必要なものではない、という何よりの証拠です

うっかり、接種期間が過ぎてしまいました どうしましょう!?
─接種期間が乳児期のみのワクチンは過ぎてしまったら必要ありません

不活化ワクチンなら生ワクチンより安全ですか?
─どちらがより安全とは言えません どちらにもリスクはあるのです

アジュバントって何ですか?
─不活化ワクチンに添付される免疫増強剤です 副作用が心配です

で あなたは受ける派?受けない派?編

同時接種は世界中でやっていて問題ないと言われました。本当に大丈夫ですか?
─安全性の裏付けは何もない 赤ちゃんのための行為とは言えません

ワクチンを打てば重症化を防げるって本当ですか?
─「重症化を防げる」にははっきりした裏づけは何もありません

2回ワクチン接種すればはしかにはかかりませんか?
─2回打ってもかかることはあります

病気になって死んでしまったらと思うとワクチンを受けずにいる決断ができません
─今、ワクチンが必要と言われている病気で亡くなる子どもはほとんどいません

コラム ワクチンの前に知っておいてほしいこと
赤ちゃんのお出かけ

2章 はじめてちゃんとわかる予防接種

こんなワクチンが医療機関ですすめられています

予防接種は知らないワクチンだらけ!①BCG編

BCG 接種期間を過ぎてしまったら打たなくても大丈夫

予防接種は知らないワクチンだらけ!②四種混合ワクチン編

四種混合ワクチン 4種もの不活化ワクチンが混ざっていますが本当に必要なのは破傷風のワクチンくらいです
ジフテリア 抗生物質で治ってしまう病気です もう日本では患者が出ていません
百日せき かかると危険なのは3ヵ月未満 生後3ヵ月は人ごみへの外出はできるだけ避けて
破傷風 破傷風は日常生活では感染しません ケガをした時の用心のためのワクチンです
ポリオ 生ワクチンでの副作用の危険は減りましたが世界のほとんどの国で根絶宣言が出ています

予防接種は知らないワクチンだらけ!③麻しん・風しん編

MRワクチン はしかも風しんも、自然感染で免疫個体を作りたくてもウィルス自体が少なくなってしまいました
はしか 自然感染する機会が少なく、かかると重い病気 予防するならワクチン接種しかありません
風しん ごく軽くすむ病気。かかってしまいたいけれど流行自体がほとんどありません

予防接種は知らないワクチンだらけ!④日本脳炎編

日本脳炎 発症する人はほとんど出ていません 副作用も多く、打たないほうがいいワクチンです

予防接種は知らないワクチンだらけ!⑤ビブ・肺炎球菌編

ビブ どこにでもいる常在菌です ワクチンで防ぐものではありません

肺炎球菌 接種後の死亡例が相次いでいます 打たないほうがいいワクチンです

任意接種、イロイロあるけど…①インフルエンザ編

インフルエンザ 感染を防げないワクチンです 打つ必要はありません

任意接種、イロイロあるけど…②おたふく・水ぼうそう編

おたふくかぜ 思春期を過ぎると重症になることも ても、無精子症になることはありません

水ぼうそう ワクチンを打ってもかかることがあります 断然、小さいうちにかかったほうがいい

任意接種、イロイロあるけど…③ロタウィルス編

ロタウィルス こまめにケアできれば危険な病気ではありません
しかもワクチンを打ってもかかることが多いようです

B型肝炎 赤ちゃんの家族がキャリアでなければ打つ必要はないワクチンです

A型肝炎 A型肝炎ウィルスは、幼児にとって感染しても軽くすんでしまう病気です

女性の救世主?それとも…子宮頸がんワクチン編

子宮頸がんワクチン 副作用報告が多く、効果は全く不明なワクチン 打ってはいけません

コラム ワクチンの前に知っておいてほしいこと
赤ちゃんの発熱

3章 どうする?予防接種で困るこんなこと

イロイロわかった!でもお医者さんが…編

アメリカではみんなワクチンを打っている 日本は遅れていると言われました
─アメリカのワクチン制度が進んでいるのは医療制度が整っていないからでしょう

予防接種を受けずにいたらネグレクト(育児放棄)ではと疑われて…
─0歳児の小さな腕に次々注射 赤ちゃんにとってはこっちのほうが嫌でしょう

母子健康手帳に記録が残ります これで責任追及されたりしませんか?
─母子健康手帳にはなんの強制力もありません

一方的にワクチンをすすめる医者に困っています
─高圧的な態度の医者からは逃げ出しましょう

はしかや風しんは撲滅できるって本当?
─診断しないうちに治ることもある病気は撲滅することは難しいでしょう

予防接種に行く前に気を付けるべきことは?
─具合が悪い時には決して無理をしないこと

万が一、予防接種の後で子どもの具合が悪くなったら…
─接種後1ヵ月くらいは健康状態に気をつけて

病気もワクチンも…これから上手につき合っていこう!編

あとがき
 

予防接種のスケジュール表を見ると驚きますよね。あまりにたくさんのワクチン。これをきちんと打っていかなくちゃいけないの?と。

母里先生によると、必要なワクチンもあるし、ワクチン接種が必要な地域もある。けれど、できたワクチンを全部打たなければならないような風潮に乗る必要はない。
小児科ではどんどんすすめられている有料の任意接種も「このワクチンがすべて必要なのですか」と訊かれたら、「必要なものはわずかです」と答えるそうです。

予防接種は決して強制されてするものではなく、打つ、打たない、の決定権は親にある
でも、だからこそ、悩むわけで。

ワクチンは体にとって不自然で、リスクを持つもの。
この前提がある上で、どれを選んだらいいのか。
頭で考えただけではわかりません。正しい情報が必要です。

予防接種について、どのように考えたらいいのか、
たくさんあるワクチンはどのようなものなのか。
ひとつひとつの疑問に答えてくれます。

目次では質問の他に回答のタイトルも掲載していますが、これだけで「あ、そうなのね」と納得せずに、気になるところはぜひ、本文にあたっていただきたいと思います。

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ところで、風邪などで小児科に行ったところ、受診前に看護師さんなどから母子健康手帳の提出を求められ、予防接種についてあれこれ言われたりしたことはありませんか?
まるで成績不良のようにお説教されること、あるんです…(146p)

わたしは長男が1歳のころに母里先生の講演を拝聴し、予防接種は慎重にいこうと考え、決められた時期に受けることはしていませんでした。

で、小児科で看護師さんにぐいぐいと迫られたことがあります。
それ以来、受診の際には母子健康手帳は持参しませんでした。チェックされるのがいやだったからです。
そのことについては、特に何も言われたりしなかったのですが、その理由がこの本を読んでわかりました。

厚労省の予防接種実施要項にも「母子健康手帳の持参は必ずしも求めるものではないが、接種を受けた記録を本人が確認できるような措置を講じること」とあるのだそうです。

予防接種を受けるときにも必ずしも持参を求めるものではない、としたら、普通の受診であればなおさらのこと。

母子健康手帳を持参しなかったのは、悩んでいるところに追い打ちをかけるようなプレッシャーから逃れる自衛策だったのです。


目次で色をブルーにしたところは、高橋ユウさんのまんがの部分です。
母親たちの本音、葛藤がよ~くわかる。これは必見です。

特に賛同するのはこのひとこと。
最近はネットなどでもいろんなママの意見を知ることができますが─心が弱っている時の閲覧はホドホドに…
(で あなたは受ける派?受けない派?編39p)


子どもの健康を願うのはみんな同じ。その方法論は、いろいろとあるのでしょう。
予防接種について考えるとき、この本はぜひ読みたい一冊です。

必要なのは情報を得たうえで、どうするか判断すること。
人がやっているから、人から言われたから、という基準だけでは心もとないと思うのです。

最後に、母里先生のことばをふたつ。
いつもこころに留めておきたいものです。

病気への不安におびやかされて、今持っている心と体の健康をふいにしてしまわないでください。(あとがき159p)

人間の体は長い長い進化の過程を経て、ここまでできあがりました。自分自身の体を強くして、病と戦う力をつけておくことが一番大事なことなのです。(はじめに5p)



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