本日、参議院の憲法審査会において、緊急事態に対応するための「参議院の緊急集会」について意見を述べた。

 

 

1.活動期間
 憲法54条1項および2項の趣旨から、参議院の緊急集会の活動期間が70日を大きく超えることは憲法の想定外とする意見がある。
しかし、この日数を厳格に適用すると、衆議院議員の不在が数カ月間解消されない場合などには70日間を超えた途端に立法府は事態への対応が不可能になる。参議院の緊急集会が対応できない事態を絶対に生じさせてはならない。ゆえに、緊急集会の活動期間を画一的に定めるべきではなく、この70日という数字は活動期間を厳格に限定するものではないと考える。なお、この認識は自民党の衆参両院で確認した認識である。
 また、選挙困難事態の広範性・長期性用件は、緊急集会の活動期間と切り離して考える必要がある。とくに長期性用件として70日を示す向きがあるが、緊急集会の活動期間が70日であるという理由ならば上記の認識とは相容れない。長期性の要件としては、発災等の日から「6月」あるいは「3月」、もしくは「相当長期にわたり」といった定め方が適切と考える。広範性の要件については、国民主権の重大な例外となることを十分考慮して、相当の国難事態と捉え得るものなのか、精緻な分析と検討が必要である。
 さらに、大規模災害発生時の選挙制度との関係についても、具体的ケースにあてはめながら、精緻な分析と検討をする必要がある。

 

 

2.権能
 緊急集会は「国会の代行機関」であり、その権能は原則として「国会の権能の全て」に及ぶと考える。
 そのうえで、権限行使の範囲については、緊急集会が「国に緊急の必要性があるとき」(憲法54条2項但書)に集会を求められるものであり、この緊急性の要件を満たすかどうかで判断されるべきと考える。従って、緊急の必要性がある場合は、緊急集会の権限行使の範囲を限定的・制約的に整理する必要はないと考える。
 衆議院の憲法審査会では、「総理大臣の指名、条約締結の承認および本予算については、一般的に緊急性の要件を満たす場合は少ない」旨の発言があったと伺っているが、これらについても、「国会の代行機関である緊急集会の権限は、原則として国会の権能の全てに及ぶ」としたうえで、「緊急性の必要性に応じ、権限行使の範囲が変わる」趣旨であると受け止めている。

 

 

3.衆議院議員の任期満了時
 衆議院議員の任期満了による衆議院不在の場合にも緊急集会で対応し得ることは憲法解釈上可能だが、憲法に明記する方が望ましいと考える。

 

 

4.ワーキング・チーム
 以上の参議院の緊急集会についての意見は、自民党憲法改正実現本部の下のワーキング・チームで衆参の実務担当者が意見をすり合わせ、集中的かつ真摯に議論して取りまとめたものを踏まえた意見である。
 本審査会でも、参議院の緊急集会の位置付けや権能、大規模災害発生時の選挙制度の在り方をテーマとして更に議論を深め、参議院としての考え方をまとめていくべきと考える。