※とても長文です。


新年のご挨拶


明けましておめでとうございます。

2011年3月11日からテレビを観て、ラジオを聴いて、その惨状にショックを受けながら自分に何かできないか、自分たちに何ができるかを問い、有志で3月14日プロジェクトスタート・・・今日まで5年。その後(公財)全日本空手道連盟、及びナショナルチームOB・OG、現役選手の方々のご理解・ご協力を頂き、多くのご協力者、全国の空手家更には、空手の枠を越え、他の武道・格闘技界の方々のご助力のお陰様をもちまして、今日まで活動を継続することができました。

感謝してもしきれませんが、お1人お1人にお礼を申し上げることが叶いませんので、この場をお借りし、お礼を申し上げるご無礼お許し下さい。ありきたりの挨拶となってしまい、恐縮ではございますが、心よりお礼申し上げる次第です。さて、毎年被災地へ足を運びますが、まだまだ沢山の課題を残しているのが現状です。当初最低10年と決めてスタートしましたが、年を追うごとにその課題も姿を変え、形を変え、現地、またそこに関係する方々に突きつけられます。

年月を経ても、親兄弟をなくした子供達やその地域の方々の心の傷が癒されることはありません。街がこれから本当に元に戻ったとしても、そこに雇用がなければ人は戻ってきません。福島の放射線地域ではそれすらも叶わないでしょう。我々は震災直後、1回のみの多額の寄付よりも、その額は少なくとも、状況に応じた継続的支援・・・1回の100万円よりも、10年継続した10万円が何より大切だと考えています。細くても長く。だからまだまだ続けます。

現在SayOssプロジェクトでは、震災遺児、高齢者、行政支援の行き届かない世帯などを中心にお預かりしている寄付を使用させて頂いておりますが、まだ多くの方々のご協力が必要です。


Say Ossプロジェクトでは、3つの柱を理念として掲げています。

Say Ossプロジェクト3つの柱

一、東日本大震災復興支援及び他地域災害支援の一助となること

一、練習会、セミナーを通じて未来を担う子供達の体・技・心のレベルアップ=空手界全体のレベルアップにつなげること。

一、それらを通して、長期的視野における社会貢献を果たすこと



ここからは私事ですが、実は、スタート以来、上記に入れていない・触れていないことがあります。5年を迎え、セミナーも当たり前になり、様々な状況も変わってきたので、賛否両論あると思いますが、ずっと思ってきたこと、一部の方々にしか話してきていないことを書きたいと思います。
※繰り返しになりますが,長文ですので、何日かに分けて読んでいただけたら幸いです。



〇空手道に対する一般的なイメージをより良くすること・・・・空手と聞くとどうしても昔からイメージがあまり芳しくない。

〇空手を志すにあたってのハードルを下げること(好きな方は関係ありませんが、空手はちょっとと言われることが多分にしてあります)

〇継続的支援により、社会的認知度をより上げること・・・活動を継続することにより、礼儀を重んずる、利他の心を養う、人格形成の実践を証明したい。空手道に関係する方々のパワー、ポテンシャルの高さをもっと知ってもらいたい。

〇現役選手、空手界のステータスアップをしたい・・・・ここ数年セミナーができるようになり、たまたまオリンピックも絡んできていますが、我々のとき、もっと以前にはできませんでしたし、特に国内ではその歴史的背景もあり、許されなかったのではないかと思います。それが良い悪いではなく、それが時代の変化なのだと思います。

〇選手やそれに憧れる人たちにとって多くのプラスを出していきたい・・・現役ナショナル選手やOB、OGがセミナーなどを行い、じかに参加者と接することで、いままで雑誌やテレビでしか見ていなかった選手により近くなり、さらに憧れ、ファンになります。選手にとっては試合での応援が確実に増え、応援されていることにより精神的にも大きなプラスが期待できます。

〇各地域でセミナーをすることにより、その土地土地の先生方、関係者と接し、そのセミナーが良ければ、それがきっかけでSay Oss関係なく呼んでもらい、その報酬によりさらにその選手にとっての生活のプラスになります。

〇それにより選手の生活が潤います。 まだまだマイナーで、世界チャンピオンになっても、沢山のことを犠牲にして頑張って技術を上げて、勝率を上げても、それで生活できるほどではありません。でも体のメンテナンスや、投資は絶対に必要で、潤うことによるパフォーマンスアップ、海外遠征など沢山のプラスが得られます。我々のときにはそれは出来ませんでした。

〇今後さらに10年先をみたときに、現役選手にはもっと成功してもらいたい・・・・・なにより子供達にもっと憧れをもってもらって、一部かもしれませんが、そこを目指せるようになったり、国内外で、指導者としても、生計を立てられたりするくらいに空手界がならないと駄目だと思っています。もちろん一般企業に就職をする方がほとんどだと思いますが、空手を続けてきたことで、空手は強かったけど、すごいけど・・・・で、終わらない人材育成。色々なことを経験してきたからこそタフにこなせることは沢山ありますし、そういう人材は沢山います。

〇空手界以外への発信力の強化・・・・どの競技者、極めた方々全てに言えることですが、そこまで頑張ってきた、培ってきた人間だからこそ、発信できるものがあります。知人の大手新聞記者の方が仰っていました。

極められなくても、人知れず苦労した方や、色々な経験をされている方もいらっしゃいます。その人にしか発信できない、スポーツ界の方をもっととりあげたいと。空手界の中だけではなく、一般企業や、学校、保護者向けの講演会や、演武など含めもっともっと外とつながれることがあります。空手道という枠の中でだけ生きていく時代ではありません。

〇未来をみたときに・・・・ここに関わってくれた方々、子供達が、いつか同じような場に直面したときに、少しでもこんな活動があったことを思い出してくれて、何か行動を起こしてくれるようになったら何よりSay Ossプロジェクトとしての意義があると思っています。
そういった意味で、たいした実績もない私が言うには少々おこがましいですが・・・・このプロジェクトは復興支援がまず第1ですが、そこに関わって頂く方々の踏み台として存在するものだと思っています。そのこともあり、活動年当初から、流派・会派、どこの誰が偉くて、強くてなど、どうでもよく、それらを一切取っ払って活動すると謳いました。

正直申し上げて、10年活動すると決めてはじめたものの、続けられるかどうか何の確証もありませんでした。ただ、10年たっても元に戻らないであろう事は容易に想像できたので、最低10年と決めたことと、例え独りになってもやり続けると決めたこと。これのみで、あとは勢いと、他の協力者の方々のお力だけでやってくることができました。しかし、やると決めることの大切さと、年数を追うごとに1人ではなにもできないことにどんどん気がつかされています。

そうやって自分自身も色々な方々のお陰で選手としても、人間としても支えられて生かされてきた事がはっきりと解ってきました。選手のときは相当自分勝手にやってきました。今だから言えますが、自分だけ強くなれば、勝てば良いと考えていたので、だから勝ちきれなかったのだと今になって気がつきました。

ここに気がついたので、自分にできることはこれらを通して感じたこと、気がついたことを伝えていくことだと思っています。私は四大流派と言われる大流派の人間ではなく、玄制流という小さな流派の人間です。

しかし空手道に出会い、志し、色々な流派・団体の方々と交流を持たせていただき、出稽古をさせて頂き、色々な地域でお世話になったお陰で今があります。なにより空手が大好きです。大好きになったのは、お世話になった方々に育てて頂いた結果です。

だからSay Ossプロジェクトにできることは、ご恩返し・恩送りです。

とても長くなりましたが、そんなことを考えながら、ここ数年やってきました。空手道はオリンピックになり、その流れは様々変わると思いますが、メジャーになればなるほど、日本発祥の武道だからこそ本質的なことが問われ、その価値が大切になってくると思います。


被災地は本当にまだまだです。

今後Say Ossプロジェクトは時期を見て、他の災害地域にも対応できるようにしていくことを目指しています。ただ、現在は人員的にも手が回らないのが現状です。

SayOssプロジェクトでは常時協力者を求めています。
パソコンが得意、これだけなら出来る、こんなことならお手伝い可能など、なんでも大丈夫です。お手題下さる方がいらっしゃいましたら是非ご連絡頂けましたら有り難く存知ます。

またご相談させて頂いたり、ご協力をお願いしたりすることがあるかと存じますが、そんなことがありましたらどうかお力添えを賜りますよう併せて宜しくお願い申し上げます。

長文、お読み頂きありがとうございました。



                              SayOssプロジェクト代表
                              土佐 樹誉彦