こんばんは、福島県二本松市と本宮市の葬儀屋さんの隣の酒屋
勢州屋の4代目、太田きょうじゅです。
来週の火曜日、またまた二本松で立川こしら師匠の落語会が行われます。ついこないだ2月3日に終わったと思ったら(その時は予定があって参加は出来なかったのですが)、もう今回です。前回聞けなかった分、今回は尚更楽しみが増している僕です。
落語初心者の僕は、まだまだ多くの演目を知っているわけでもなく、また多くの噺家さんの落語を聞いているわけでもないですが、落語を聞くたびに面白いなぁって思います。
僕は、特に「芝浜」という噺が好きです。落語好きな方はもちろん、あまり知らない方でも知っているようなド定番の噺です。
だいぶ昔、もちろん僕が湊くんのお手伝いとして「落語会」に関わるよりもずっと前にテレビで「芝浜」を見たことがあります。残念ながら誰がやっていたかまでは覚えていないのですが、その時「芝浜」を聞いて、落語って面白いなって思ったのが、僕が落語に興味を持ったきっかけだったように思います。
芝浜:
とても腕の良い魚屋の旦那さんが酒におぼれて、全然仕事をしなくなってしまった。それを見かねた奥さんが、旦那さんに仕事をしてもらおうと何とか市場へと行かせると、大金の入った財布を見つけるんです。旦那さんは急いで家に帰って、もう仕事をしなくても生活できると大喜びするのですが、一晩明けて目を覚ましたら奥さんにそんな大金は拾ってきていない。夢を見たんだろうと言われ、残ったのは前日の宴会の借金ばかり。
さすがに旦那さん性根を入れ替えて酒もやめて、真面目に働くと、もともとの腕の良さから魚屋さんは大繁盛!!
ある年の大晦日に奥さんが神妙な顔で旦那さんに、「実は大金は現実だった。でも旦那さんがダメになってしまうと思って隠していた」と打ち明ける。
といった流れの噺です。
特に最後の、奥さんが旦那さんに数年ぶりにお酒をすすめた時の旦那さんの言葉が大好きなんです。「やめとこう。夢になるといけねえ」
かっこよくないですか?
ここまで書くとネタバレと思う方もいるかもしれませんが、落語の古典って噺家さんによってアレンジはありますが、大筋の噺の流れは一緒なんです。昔からずーっと、長い間同じ内容の噺が師匠から弟子へと受け継がれ、演じられています。
それなのに、今だに落語を大好きな人が沢山います。私みたいな若葉マークではなく、長年落語を楽しんでいる方であれば、それこそ何度となく同じ噺を聞いているのに、それでも楽しめるのが落語なんです。
僕は、話す噺家さんによって同じ噺でもそれぞれ情景が違ったり、登場人物の人間味が変わってきたりといったところが落語の楽しみの一つなのかなって思ってます。
実際僕が初めにテレビで見た「芝浜」は、奥さんがどちらかというと強いイメージの人。仕事をしたくなくて愚図愚図している旦那さんに発破をかけて「家に金がないんだから、ちゃんと河岸にいって仕事をしてきなさい!」って送り出すような肝っ玉タイプの奥さんでした。
それが、DVDで見た立川談志師匠の「芝浜」だと、すごくいじらしい奥さんなんです。旦那さんに頼み込んで頼み込んで何とか仕事に行ってもらって、最後の大晦日のシーンでゴメンネと何度も繰り返し謝っているシーンなんて涙物です。
そんな風に、同じ噺でも、噺家さんが変わることで全く違う印象の噺になるのが落語の楽しみの一つなんだと思うんです。だから、落語好きの方々は噺家さんの上手下手も含めて、「誰々師匠のあの噺がいい!」ってそれぞれに自分の好みを語りあっているんですよね。
今回の落語会で「芝浜」があるかどうかはわかりませんが(基本的に噺家さんはその場の雰囲気を見ながら話す演目決めるそうなので)、これまでに聞いたこしら師匠の噺はそれぞれにクスッと笑えて、時にはジーンと来て、どれもとっても面白かったです。今回もきっと濃密な楽しい時間を過ごせることと思います。
もし、興味のある方はぜひ一度落語を聞いてみてください。そして、同じ演目を色んな噺家さんで聞いてみてください。面白いですよ!