about clubEARTH

「ライブハウスの壁ってさ、何色?」

「黒じゃない?」

「じゃあ黒に塗ろう」

真っ白だった壁紙を剥がし、石膏ボードむき出しの壁を見ながら
仲間たちと話し合う。


HELLO ENDING-tosou6



壁紙を剥がす、と一言に言ってもこれは大変な作業で
古い壁紙はシールを綺麗に剥がせなかった時のような紙が残ってしまうので
これをひたすら指でこするのだが、
こういう作業をやらせたら怖いくらい集中するのが中じんである。

あまりに壁を擦り続けるので
そのまま中じんも擦れてなくなってしまうのではないかと皆が案じたほどである。


「ねえねえ、真っ黒だったら精神的に病んだりしないかな?」

私は真面目な顔で 黒い壁が精神に与える影響 というのを調べていた。
これはほとんど無意味だった。


HELLO ENDING-tosou4

大きな一斗缶の塗料やハケ、ローラーやバケツなど
必要なものを購入し、いざ塗装へ。

「これ、混ぜないと中で分離してるみたいだよ」

買ってきた一斗缶塗料の蓋を開けてみると、水が浮いている。
やはり分離しているのだ。

「振ろう」

こういう時のリーダーは大体スタッフの領ちゃんであるので
この時も例に洩れず彼が指揮をとった。

しかし一斗缶というのは18リットルも塗料が入っているので、かなり重いのだ。
これを水と塗料が混ざるほど振るとどうなるかと言うと、
まずものすごい動きになる。動物みたいな。

それから、水圧で蓋が外れて 

塗料が ものすごい勢いで 飛び出す。

「わああ」

「わああごめんー!!」

「わああ」

「わああ」

動物みたいに一斗缶を振っていた領ちゃんが
今度はショボンとしながら真っ黒になった床に話しかける。

「ごめん、本当ゴメン」

「あーごめんよー」

仲間たちは笑っていた。
今でもEARTHにはそのあとが残ってるんだよ。


HELLO ENDING-tosou5
私と団長と領ちゃん

完成したのは明け方だった。
ゴミを出しに行ったら犬の散歩をしているお爺さんに「おはよう、早いね!」と声をかけられた。