台湾へ行く前夜、荷造りをする私に
金魚の糞のようについてくるラブ。

聞いてもいないのに、X JAPANのことをずーっと話してくる彼は、
私の背後で突如「紅だァーー!!」と奇声をあげたりしている。

「……どうしたの」

「エッ!?」

「いや、何でそんなテンション高いのって」

「だって!!おれ 海外に行くの、初めてなんだよ!!」

「知ってるけど…」

「興奮して眠れないよっ!!」

ちょっとうるさいけれど、
どうやらとても楽しみにしているらしい。

なかじんとラブは初海外。
海の外の国へは、
成田空港からたった2時間半のフライトで到着した。


HELLO ENDING

4.14 桃園空港到着

空港の温度計は21℃を示していて、
日本の7月のような、
毎朝ベットの中で「何か楽しいことが起きますように!」と
期待する季節のことを思い出させる。

朝5時に家を出たせいでほとんど眠っていない私は、
1秒でも多く眠りたいのに
台北市内へと向かうバスの中では
テンションの高い声で溢れていた。

「バイク多すぎ!!バイク多すぎ!!」

「うわっ囲まれた!!ヤバいーこれドライバーだったら絶対焦る!!」

「先頭トバしてんね!!あれ3人乗り(違反)じゃん!!」

運転免許を持つ初海外チーム【なかじん&ラブ】は
異国の交通状況に突っ込まずにはいられないらしい。


HELLO ENDING


SEKAI NO OWARIではこの2人のどちらかが運転するのだけれど、
なかじんの運転はきわめて安全でとても好きだ。

彼は車を動かし始めたときに窓枠に肘をかけることがあるんだけれど、
あれはバックで駐車するのと同じくらい格好良い
【男子のカタチ】だな、と密かに思う。

一方普段おっとりのラブは車に乗ると、ちょっと口調が変わる。

「あっぶねえなっ!!気をつけろ!!ふっざけんな!!」

みたいな喋り方に。
強気なんだかよく分からないけれど、あれはやめて欲しいと常々思う。

空港から1時間。ホテルに荷物だけ置いて、
私たちは台北市内の繁華街へと出掛けた。

続く