今日放送されたニッポン放送オールナイトニッポン45時間スペシャルの中の「ビートたけしのオールナイトニッポン」。すごく面白かったのだが、その番組の中ですごく引っかかったたけしさんの言葉があった。
 たけしさんは最近、高田文夫さんの主催するイベントでツービートをやろうと思ったことがあるのだそうだ。「俺は漫才はちゃんと準備しないとダメなんだ」と自分が納得できなかったのでやらなかったということを明かしてくれた。
 そして最近の漫才のことを話す中で、「最近の漫才は時間が無いので(最近のテレビのネタ番組における制限時間のことを言っているのだと思われる)あいさつした後すぐにコントに入っていくヤツ多いんだよ」と。挨拶のあとすぐに例えば先生コントなら先生と生徒という設定にコンビが入っていくようなことだろう。「それを裏切って相方が設定に入ってもこっちは『何やってんだよ』と設定に入らないでひっくり返すような漫才をやりたいんだよ」と言った。その言葉は僕の胸の中に何か熱いものを思い出させた。
 今、当たり前だと思っていることにこそ疑問を持つ。それこそが「作り手」感性の胆なのだということを思いだしたのだ。

 「毎日違う道で会社に来い」
 僕が仕事始めたときにある先輩から言われた言葉だ。
 「脳はルーティンワークになったところから回転しなくなる。脳を回転させるためには常に新鮮な体験をするように自分を仕向けて行くんだよ」
 その先輩は常に「既成概念をぶっ壊す、ひっくり返す」ことが企画の源泉なのだと僕にいろいろなかたちで叩き込んでくれた。
 たけしさんの言葉はその先輩に必死でついていこうとしていたあの頃の気持ちを思い出させてくれたのだ。
 当たり前のことに疑問を持つ。
 これが大切なのはエンターテインメントだけではないのかもしれない。
 「大新聞や評論家がみんな同じことをいうときはむしろ怪しいんですよね」
 辛坊治郎さんはよくそう話す。先日の衆議院選挙のときがそうだった。論調が年明けムードになっていたときに辛坊さんは「みんなが同じことを言うようになっているときはその通りにならない」と言っていた。その言葉通り年内まさかの都知事選と同時選挙。
 みんなが同じことを言いだすとやはり胡散臭い。

 いい言い方をすれば「サプライズ」なのだけれど、よくよく考えてみれば「ドント・トラスト・オーバー・サーティー」の精神ともつながることなのかもしれない。
 世の中の事象に向かって反骨精神を示し、疑問を持って進んでいく。
 そんな精神を持ち続けらる人を「現役」と呼べるのだと思わされた番組だった。