日本人にとって習得するのが最も難しいものの一つ、冠詞。



冠詞の用法や使い分けは、ルールがたくさんあり、それをマスターするのは非常に難しいです。




その一つに、楽器の "the" というものがあります。




私はギターを弾くので、ギターを例にして議論していきましょう。



I play the guitar.


「私はギターを弾きます」




みなさんは、楽器を「弾く」「演奏する」ときには、その楽器の前に、定冠詞の "the" をつける、と習ったはずです。




これはつまり、「ピアノ」でも「ベース」でも「バイオリン」でもなく、「ギター」という特定の楽器を弾く、ということで、楽器を「特定する」という意味で、定冠詞の "the" をつけるのです。楽器の種類を特定しているんですね。



そう、ここで大切なのは、他の楽器との区別をするために定冠詞を使うのであって、「どんなギターなのか」を特定しているわけではありません。




なので、もし「どの楽器かを特定」する意図がない場合、冠詞が全く使われず、不可算名詞的に楽器を表現することがあります。




I play guitar.




楽器を「弾く」という場合には、定冠詞の "the" をつける、と教わった方も多いと思いますが、上のような、冠詞が全くつかないケースも、実は非常に会話では多く見られます。


(I play baseball. 「私は野球をします」という文で、冠詞がつかないのと同じような理屈)




これはアメリカ人の友人に訊いてみたのですが、やはり、文法を教える際には、「正しい」と思われる形は、



I play the guitar.



のように、定冠詞を使うもの、ということです。ただ、無冠詞でもおかしくない、ということらしいです。




一方、不定冠詞である "a/an" を使うと、「(いくつもあるギターのうち)、どのギターを弾くのか」という意味が出てきてしまい、一般的に「ギターを弾く」という言い方にはなりにくいのです。そのため、不定冠詞を使って、



I play a guitar.



という表現は少しおかしな感じにとらわれます。



また、



I play guitars.



という、楽器の複数形を用いた文も作れるには作れますが、この文は、ギターを「同時に弾く」ということをあらわしてしまうので、あまり適切とは言えないでしょう。そんなびっくり人間がいるなら話は別ですが。





ただ、これまで議論してきたのは、楽器を「演奏する」「弾く」という場合のみであり、「弾く」という意味以外の文ではその限りではありません。よって、以下の文は「正しい」です。




This is a guitar.


「これはギターです」



I have two guitars.


「私は二本のギターを所有しています」




つまり、楽器の前には必ず、定冠詞の "the" をつけなければならない、という教え方は明らかに間違いです。楽器を「弾く」という場合には、定冠詞が使われる、という教え方をしなくてはなりません(そして、学習者は、そう覚えなくてはいけません)。



また、楽器を「弾く」場合であっても、冠詞が使われない例も存在する、ということも認識していなくてはなりません。実際にネイティブ・スピーカーの会話では頻繁に、


I play guitar.


のような、無冠詞の表現が確認できます。



つまり、教える側としても、


「正しい、とされてきたのは定冠詞の "the" をつける形だが、無冠詞で使う人もいる」



というように教えておく必要があります。




冠詞の用法については非常に伝えたいことがたくさんあるので、また次の機会にでも。



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