おはようございます!



最近とても忙しくてプライベートの時間がまったくないので、今週末はふらっと栃木にでも行ってくることにしました。



寒いんですかねえ、やはり。





さて今回は、前回からの人種的なトピックから引き続いて、



アフリカ系アメリカ人の血



というテーマで話をさせていただきます。




いわゆる「黒人」は、今では black ではなく African American と呼ばれるのが慣習になりつつあるという話を前回させていただきましたが。




いわゆる「白人」は、white という呼び方が一般的でしたが、今では



European American


「ヨーロッパ系アメリカ人」



として呼ばれるようになってきています。



肌の色で人を判断することはやめよう、という社会風潮でしょうね。



(というわけで、ここから先はいわゆる「白人」のことを「ヨーロッパ系アメリカ人」と呼ぶことにしましょう)




しかし興味深いことに、アメリカ社会ではわざわざヨーロッパ系アメリカ人に対して white や European American と呼ぶことはあまりありません。



代わりに、ヨーロッパ系アメリカ人は、American と呼ばれるのです。



反対に、アフリカ系アメリカ人は African American や Black と呼ばれます。




そう、アメリカ社会にとって、ヨーロッパ系アメリカ人(いわゆる「白人」)は、



普通のアメリカ人



として認識されており、特別な言葉を使って呼ぶ必要がない、と考えられているのです。




この状況に対して、「無標」と「有標」という言葉を使って説明することができます。



わざわざ「標識」を冠する必要がないのは、ヨーロッパ系アメリカ人。



反対に、「標識」を冠することによってヨーロッパ系アメリカ人たちと区別される、アフリカ系アメリカ人。



つまり、以下のような人種に対する認識の対立が存在しているのです。



無標: ヨーロッパ系アメリカ人(いわゆる「白人」)


有標: アフリカ系アメリカ人(いわゆる「黒人」




多くのヨーロッパ系アメリカ人たちは、自分たちのことをひとつの「民族」や「人種」として捉えておらず、



「自分たちは普通だ」


「アメリカ人の主流だ」



と考えています。



それにも関わらず、アメリカ社会ではアフリカ系アメリカ人たちの割合も増えてきていて、加えて大統領はアフリカ系アメリカ人です。





また、アメリカ社会では、少しでもアフリカ系アメリカ人の血が混じっていると、European American や White ではなく、



African American


Black



と呼ばれてしまうことも興味深いです。



アメリカ人、特にヨーロッパ系アメリカ人たちは、その人が、もしくは祖先がアフリカ系アメリカ人だったかということに非常に敏感です。



このように、少しでも、たとえ一滴(one-drop)でもアフリカ系アメリカ人の血が混じっていれば、見た目に関わらず「アフリカ系アメリカ人 (African American)」と呼ぶ、という慣習のことを、



One-Drop Rule



と呼びます。



見た目は「ヨーロッパ系アメリカ人」でも、「アフリカ系アメリカ人」としてみなされた人は、



invisible black


「目に見えない黒人」



と呼ばれることもあります(少し侮蔑的な意味を含みます)。




invisible black に関しては、以下のような差別的な語が社会的に浸透しています。


インプットとして載せておきますが、みなさんはくれぐれもアウトプットはしないでくださいね。



mulato


「ムラート」


ヨーロッパ系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人との「混血児」という意味。


「混血児」という訳が与えられてていることからもわかるように、侮蔑的な意味が含まれています。




oreo


「オレオ」


見た目はアフリカ系アメリカ人(黒人)だが、中身・精神はヨーロッパ系アメリカ人(白人)という意味。


オレオというお菓子がありますよね。外側が黒く、内側が白いです。


「白人を気取った黒人」「白人に迎合した黒人」という侮蔑的な呼び方です。



wigger という語もあります。


これは、


white + nigger


の二つの語を合わせた語で、



「黒人を気取った白人」という意味です。




私には上の3つはどれも、ヨーロッパ系アメリカ人ではなくアフリカ系アメリカ人に対して侮蔑的な見方をしているように感じられます。




また、他にも、



banana

「バナナ」



という語もあります。



見た目はアジア系(つまり「黄色い」)だが、中身はヨーロッパ系アメリカ人という意味です。


バナナは外側は黄色いですが、皮をむくと白い身がでてきますよね。


「白人気取りのアジア人」というような侮蔑的な語です。




また、食べ物に関連した語だと、黒人を差別する語として



Fried Chicken「フライドチキン」



Watermelon「スイカ」


という語もあります。



Fried Chicken:


高い牛肉は買えず、安いチキンしか買えない貧乏な黒人、ということを連想させてしまう。


特に南部におけるアフリカ系アメリカ人に対して形容されることがある。



もちろん差別的なニュアンスをこめて使われる語ですが、経験上、実際アフリカ系アメリカ人たちはビーフよりもチキンのほうが好き、という人が多かった気が。。。


(買える・買えないは全く関係なく。)



Watermelon:


奴隷貿易時代、アフリカ系アメリカ人の奴隷たちがスイカを栽培し、日常的によく食べていたことから。


「奴隷の黒人」という侮蔑的なイメージがある。





繰り返しになりますが、今回紹介した差別語はあくまでも「インプット」として参考にしてください。



決して軽々しく口にしてはいけません。



中途半端に歴史や文化を踏みにじってはいけないのです。