第二話 | ジュセー 徒然。

ジュセー 徒然。

てきとーに。
創作とかやってます。

「遅いな……」

ベッドの上に寝転びながら、少年は呟く。
彼の名は灰崎 黒星。白星の双子の弟に当たる。

肩上あたりまで伸びた髪は異常に黒く、そして自己主張の激しい癖っ毛を持っている。

彼は白星の帰りを一人、自宅で待っていた。
白星は、図書委員をやっている。
今日は委員会があると言っていたが、それにしても遅い。

電気も付けず、窓から差し込む夕陽が部屋を、彼のどこか冷めた表情を、ぼんやりと照らしている。
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空虚。
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黒星は、満足感というものを感じたことがなかった。
何をやっても、上手く行き過ぎるのだ。
筆記のテストだろうが、実技だろうが。
楽しみが無かった。
そのため、最近は学校に行っていない。

白星の存在は、黒星の空虚をある程度満たしている。
自分と違い、普通のーーー髪の色はともかくとしてーーー人間。
家に帰ってきてクソ真面目に机に向かう様子は、どこか滑稽で。そして羨ましくもあった。

彼がいるときだけは、黒星は少しの満足感を得られた。だが、何か足りない。
一人、足りない。そんな気がしていた。
自分と、白星と、あと一人。

誰かが、いたはずなのに。

その事を考えようとすると、頭痛に襲われる。

「ちっ……まだか?」

頭痛に苦しみながらも、窓を見やる。夕陽が落ちかけ、闇が顔を覗かせようとしていた。

「夜……そうか、夜だ。夜だな。暗いな、闇だな」

彼は、独り言が激しい。

回りすぎる思考は、こうして口に出さなければ整理できずパンクするから。
あるいは、彼が常々感じている空虚を紛らわすためであるから。

何れにせよ彼は、これからも取り留めの無い独り言を呟き続けるのだ。

「何か、何かが足りない。欲しい。欲しい、欲しい……もっと」

夢遊病患者めいて呟き続ける。

部屋は夜の闇に蝕まれ、黒く染まっていく。
黒く、染まっていく……。