こんばんわ。久しぶりの更新です。最近、後輩や友人から司法試験の勉強のこと等について

アドバイスを求められているので、話に行きます。有難いことに、ローで教室の前に立って話す機会も頂けました。

 浪人時代は1年間ずっと自宅で勉強して、家族以外には誰とも会わない生活をしていたので、ここにきて人様に必要とされるのは、非常に嬉しいことですね。

 必要とされるうちが華ですので、できる限り人様のお役に立ちたいと思います。

 

さて、何人かに話をしている中で、ロー生の民間企業についての情報は、かなり需要があると感じました。また、アドバイスをする中で、簡単ではありますがレジュメを作成していたので、今回はこれをブログで公開したいと思います。

 ロー生の民間企業の就活は、情報が本当に少ないと思うので、少しでも参考にして頂ければ幸いです。

 

1 私の民間就活事情について

 司法試験が終わった直後から就活をした。5月の下旬にローで企業が説明会を開いてくれたので、そこから民間企業の就活を始めた。 

 自分の場合、就活が初めてなので、企業数を絞った。5社だけしか受けていない。そのうちエントリーシートを出しただけなのは3社(2社は新聞社だったが、ES通過後の筆記試験を辞退。1社はES落ち)、面接まで行ったのは2社です。

 内定先は、6月末にエントリーシートが締め切られ、7月末から面接を開始。8月中旬に内定を頂きました。

 

 

1 民間企業に興味をもったきっかけ


① 企業説明会で話を聞いたこと ②法律事務所の就活やアルバイトをして、弁護士のメリット・デメリットが分かったこと。

 

① 企業説明会で話を聞いたこと
  自分や両親の年齢を考えるといつまでも専業受験生はできないと考えていた。司法試験を受け続けるとしても専業で受験生をやるのは2回までにするという気持ちがありました。試験直後の手応えから、おそらく合格はしているだろうとは思っていましたが、落ちていた時に備えて民間の就活も行うことにしました
そこで、とりあえず試験直後にローで開催された合同企業説明会に出席することにしました。その説明会で法務部といっても企業ごとに業務内容はかなり異なることを知り、民間企業に興味を持つようになりました。
また、説明会後に、ある企業の法務部の方に個別に質問に伺ったところ、非常に熱心にお話をして頂き、「ビジネスの当事者」になることに魅力を覚えました。そこから、本格的に企業の就活を始めることにしました。
このように、私が、民間企業の就活を本格的に行うようになったのは、説明会に出席したことがきっかけです。

 

 

② 法律事務所の就活やアルバイトをして、弁護士のメリット・デメリットが分かり始めた。
ⅰ法律事務所はプロジェクトの初めから終わりまで関わることはできないこと
ⅱ法律以外の分野の勉強はなかなかできない
ⅲ海外に行くチャンスがあまりないこと
ⅳ弁護士の労働条件が厳しい(労働時間が長い、残業代でない、福利厚生)などが
デメリットとして感じるようになったことも民間企業に興味を持つようになった理由です。

 


民間企業のメリット
① ビジネスの当事者になることができる
② 法律以外の分野にも詳しくなれる
③ 海外に行ける
④ 福利厚生、労働条件が良い。

 


2 ロースクール生として面接で苦労したこと

① ロースクール生の就活情報が少ない。
ネットの記事や本を探してみても、学部生向けの就活情報しかない。
そもそもどんな企業が募集をかけているのか、選考フローはどうなっているのか、選考の形式・質問内容というのが分からなかったので、事前情報なしでぶっつけ本番になってしまった。


② 面接のネタが少ない。
商社の場合、学部生の方だと留学していたという方が多く、面接の際に話すネタが多くありそうでした。ロースクール生の場合、どうしても勉強の話がメインになってしまうので、どう興味をもってもらえるかを考える必要があります。
→ 自分の場合、学部時代にゼミの代表をやっていたので、そのことをメインで話した。「勉強以外で挫折したことはあるか」という質問に対して、答えに窮した。出来ればチームワークや協調性をアピールできるエピソードを用意しておくことをお勧めします。面接ではそれらのエピソードの方が受けがいいです。

 

 

③ 年齢が高いこと。
ロー卒はどうしても年齢が高くなってしまいます。
特に私の場合、ロー入試で1年浪人し、司法試験受験でも1年浪人したので、他の就活生と比べてかなり年齢が高かったです。
民間企業の就活をするのは学部生が多いので、他の就活生は高くても23、4歳の方が多く、年齢という面だけをみれば私は浮いていました。
また、面接でも「年齢が高いけど、やっていける自信はあるか」という質問を受け、企業の方でも年齢の高さは気にしているようでした。
⇒ 年齢が高くても、そのことをカバーできる魅力があることをアピールすることが大事。

 

反対に言えば、年齢が高くても諦める必要はないということです。事実、私は修習に行ってから就職するので、入社する時には28歳です。それでも、年齢制限が厳しいと言われる金融業界から内定を貰えました。

 年齢が高いことは確かに不利な事情です。しかし、だからといって最初から諦める必要は全くありません。

 


④ なぜ、民間企業を受けるのかについて、良く考える必要があること。
「なぜ民間企業を受けるのか」については、必ず質問されるので、答えを十分に考えておく
必要があります。
ⅰ なぜ、法律事務所ではなく民間企業なのか、
ⅱ なぜ、その業界なのか、
ⅲ なぜ、その業界のうち、その会社なのかという3点セットで質問の回答を用意しておく
必要があります。


3 民間就活で気を付けること

 

① 情報収集はきちんとしておくこと(足で稼ぐ)。
 

 

ⅰ 上記、商社の法務部担当の方
説明会の後に、個別にOB訪問に伺い、お仕事の内容について質問しました。
OB訪問はやっておくといい。ロースクール生でOB訪問をやっている人は少ないので、OB訪問をやると好印象のようです。

 

ⅱ 高校、大学時代の友人
高校や大学時代の友人に連絡をとり、それぞれが進んだ業界のことや仕事内容について聞きました。商社、弁護士、税理士、ベンチャー企業など色々な業種の友人に会い、なぜその業界に行ったのか、その仕事をやることのメリットやデメリットについて質問しました。

 

ⅲ ローの友人
民間企業の就活を行っていたローの友人と連絡を取り合い情報交換していました。

 

 

ⅳ 企業のホームページ
IR情報(投資家向け情報)の中に、有価証券報告書・決算短信があるので
それを見ておくと、どの分野が好調なのかというのが分かる。


② 説明会の後の個別質問は必ず行くこと
⇒ 個別質問に行っている人は、比較的少ないと感じた。企業によっては、全く人がいないブースもあって驚いた。そこで、個別質問を少しでもすると採用担当者の印象に残すことが出来る。実際、面接の担当官が個別質問会で対応してくれた方だった。

 

③ 法律以外の分野にも興味があることを示すことが大事。
⇒「法務部しか興味ありません」と答えるは絶対にやめた方が良いです。

企業としては、法律に強いのは勿論だけど、どの部門に配属しても使えるかどうかを非常に重視している気がします。それを表す言葉として「ビジネスパーソン」が欲しいという言葉をよく聞く。商社であるなら「商社マンが欲しい」という言葉も聞きます。

法律だけに興味があるなら、「じゃあ弁護士やれば良いじゃん」と言われてしまいます。

法律以外にも興味があり、法務部以外に配属されてもやっていけることをアピールすることが非常に大事です。
実際、私も「法務部以外の部門に配属されたら、どうするか?」という質問は受けました。

 

 

④司法試験の受験を続けるかについては必ず聞かれる。
同じく民間企業の内定を貰った人たちからの話を聞くと、どの企業でもこの質問はされているようです。そして、この質問に対しては「もう受けるつもりはない」というのが正解のようです。やはり、企業としては司法試験受験を続けられて、途中で転職等されてしまうことを気にしているようなので、司法試験に未練はないことをアピールした方が無難だと思います。
私の場合、上記のように専業受験生を続けるなら2回までと決めていたので、上記質問に対して「もう受ける気はない」ときっぱり言いました。その時は別に何にも考えて話したわけではありませんでしたが、結果として正解だったようです。

 

⑤雑談力が大事
私が何とか内定を貰うことができたのは、雑談が上手くできたからのような気がします。例えば、面接に入る前の「今日は暑いね」とか、「今の時期何してるの?」といったような雑談を割と長く続けることが出来ました。趣味もこれといってない私が、雑談を続けることが出来たポイントを書いておきます。


ⅰ 新聞を読んでおく
やはり、新聞の記事から雑談のネタが出たりするので、新聞(日経新聞が良いかな)を一面だけでいいから読んでおくことをお勧めします。


ⅱ 質問に答える時は、答えだけで終わらせない。
質問に答える時、回答にプラスして補足情報も答えていました。例えば、「趣味は何ですか」と聞かれたら「ランニングです」と答えるだけではそれだけで会話は終わってしまいます。「ランニングです。先月もここの近くの大会にでました」といえば、相手も「へー、近くでそんな大会あるんだ?どれくらいの規模なの?」と答えてくれて、会話が続きます。回答するときは、答え+補足情報を意識すると会話が続きやすいように思います。

 


⑥落とされても気にしない。大事なのは、なぜ落とされたのかを考えて、冷静に分析する
こと
⇒ 覚えている限り、ワードで質問事項と自分の回答内容を書き出し、良かったか悪かったかを分析した。もっと良い答えがある場合には、書いておいて修正した。

 

⑦ 修習に行かせてくれるかどうかは確認しておく。

 幸いなことに、私の場合、修習には行かせて頂けるので、修習に行って弁護士資格を取得後に就職することになります。以前の記事に、「修習に行かせてくれる企業が多い」と書きましたが、私が見た企業がたまたま修習に行かせてくれる企業であったようです。多くの企業は、内定を出したら、その翌年には働いて欲しいという条件のようです。

 自分の体験だけで誤った情報を掲載したことはお詫びいたします。企業の中には、修習に行かせてくれるところ(特に商社は行かせてくれるようです)もありますので、そういったところを受けてみることをお勧めします。

 

4 民間企業の就活はするべき。

 

① 法律事務所でも同じような質問がされる。
ⅰこれまで経験した困難なこと、挫折経験
ⅱ ⅰを乗り越えるために工夫したこと、成功過程
ⅲ どうして法学部、ロースクールに進学したか
ⅳ 自分の長所と短所
といったようなことは、法律事務所も民間企業も聞いてきます。そして、どちらも司法試験の勉強のことはあまり聞いてきません(笑)。まぁ、弁護士ならば司法試験の勉強ことは分かりきっているので面白くないし、民間企業の担当者は司法試験の勉強のことはピントこないので、やはり興味がないということなのでしょう。司法試験の勉強以外のエピソードを複数用意しておくことをお勧めします。

 

② 民間企業を見ておくことで、法律事務所のメリット・デメリットが分かってくる。
今、振り返ってみて民間企業の就活をしてみて、法律事務所のメリット・デメリットがはっきりした気がします。たとえ、法律事務所に就職するとしても、民間企業の就活を通して分かった、法律事務所のメリット・デメリットは必ず、法律事務所の就活に役に立ちます。

 

 

民間企業の就活のことでも、司法試験の勉強のことでも何か疑問に思うことがありましたら、お気軽にメッセージやコメントを下さい。

 

それではー