薔薇が欲しくて立ち止まる。買ってしまえばいいんだ、なにも考えず。フラワーベースがないとか切り花を長持ちさせた試しがないだとか、色々考えてしまうからいけない。
ショーケース内の薔薇は堂々と鎮座している。花はいい。互いに干渉することはなく、花は花であるだけで、美しい。薔薇の隣の白百合も、手前のかすみ草も、ただそれだけで。
そこに水を差すことが、果たしてわたしに許されるのだろうか。生け花だけに、なんてね、ばか。
明くる日また足を止めてしまうことなんて、言わずもがな。けれど買わない理由を、最もらしい理由を探し出して、わたしは今日も薔薇を買わない。
ショーケース内の薔薇は堂々と鎮座している。花はいい。互いに干渉することはなく、花は花であるだけで、美しい。薔薇の隣の白百合も、手前のかすみ草も、ただそれだけで。
そこに水を差すことが、果たしてわたしに許されるのだろうか。生け花だけに、なんてね、ばか。
明くる日また足を止めてしまうことなんて、言わずもがな。けれど買わない理由を、最もらしい理由を探し出して、わたしは今日も薔薇を買わない。