◎マックスウェル・ライヴ~レジェンドたちへの敬意を表して | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◎マックスウェル・ライヴ~レジェンドたちへの敬意を表して

 

【Maxwell : Tribute To The Legend】

 

先達。

 

それにしても余韻の残る素晴らしいコンサートだった。20年待たせただけのことはあった。

 

1996年のデビューから日本では一度もコンサートを行っていなかったシンガー、マックスウェルが2016年8月19日(金)、東京新木場のスタジオ・コーストで日本初ライヴを行った。来日は1998年のプロモーション以来18年ぶり。

 

結局満員になったスタジオ・コースト。雨にもかかわらずちょっとしたソウル好きがみな大集合していた感もあった唯一の来日コンサート。

 

ドレイク、ケンドリック・ラマ―などがBGMで流れていた19時11分、BGMが消え暗転すると、なんと大音量で流れてきたのはプリンスの「キス」。ショーはここから始まったと見たが、それはその後徐々に全貌が明らかにされる様々な先達(せんだち・せんだつ)へのリスペクト、トリビュート叙事詩の幕開けにすぎなかった。

 

ステージ後方、正面上のスクリーンには、ネルソン・マンデラ、マーティン・ルーサー・キング、ジョン・レノンなどの偉人たちが映し出され、ミュージシャンが待機する中、ステージセンターからグレイのクラシックなスーツを着たマックスウェルが日本の国旗、日の丸を持って登場した。(ちなみに、日本に来る前の韓国のライヴでは韓国の国旗が振られていたそうだ)

 

 

ライヴのMCには、「ありがとう」などの日本語のほか、歌詞に「トウキョウ」なども入れ込んだり、親日家をアピール。

 

かなりタイトな優れたバンドとともに、アーティスト、マックスウェルのヴォーカリスト、ソウル・シンガーとしての魅力が最大限に発揮されたライヴ・ショーになっていた。

 

セクシーでスタイリッシュで、かっこよくて。それでいてお茶目で。ときに抜群のグルーヴを聴かせるが、踊らせることは目的にしていないで。体が自然に揺れる感じのグルーヴがずっと続く。

 

 

マーヴィン・ゲイ、テディー・ペンダーグラスのセンシュアルなソウル・シンガーの王道を行く。しかも、強力なファルセットも聴かせ、ソウル界のど真ん中を行く真っ当なソウル・シンガーだ。

 

スクリーンには、モハメド・アリなどのほかに、なんと、千代の富士、永六輔、そして、大橋巨泉の顔写真まで映し出された。「フォーチュネート」ではプリンスの「アドーア」も少しいれた。多くの偉人たちをトリビュートしていたのだ。

 

完璧主義で、シャイでと思われていたマックスウェルがステージ上ではあれだけ饒舌になり、テンションが高くなる。

 

ディアンジェロ・バンドでも来日していたキーヨンのトランペットや、ケネス・ウェイラム3世のサックス、そして、デリク・ホッジのベース、ダリル・ハウエルのドラムス、CDでも付き合っているシェドリック・ミッチェルのキーボード/ハモンド、コーラスのラティーナ・ウェッブと実にタイトなバンドだ。単なる歌の伴奏バンドではなく、バンドだけでもしっかりと自立しているような見事なバンド。キーヨンってちょっと21世紀のマイルス・デイヴィス的な魅力があるんじゃないかなあ。(いい過ぎか)

 

このマックスウェルのライヴは、歌自体を聴かせることが最大の目的となっている稀有なコンサートで、マイケル・ジャクソンのように踊らなくても、その空間をマックスウェル色に、世界に染め上げることができるそんなライヴだ。この浮遊感、多幸感は、同年生まれのクラスメートとも言えるディアンジェロとはまた一味違ったものになっている。

 

なんか、マーヴィン・ゲイがプリンスのバンドで歌っているような感じもした。これは最大級の褒め言葉です。

 

それにしてもいいコンサートだったなあ。早期の再来日を期待したいが、難しいかな。この日ライヴを見に来ていた日本のシンガーたちにもかなり大きなインパクトを与えたと思う。

 

Maxwell & Soul Searcher: 1998 & 2016

 

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コネタ。

 

すでにご存じの方も多いようにトランペットのキーヨン・ハロッドとサックスのケネス・ウェイラム3世は、ディアンジェロの昨年(2015年)8月来日時に帯同しているメンバー。また、コーラスのラティーナは、古くはブランディーの初来日(1990年代後期)、またエル・デバージのライヴでコーラスとして帯同来日していたという。

 

19日のライヴが終わり、翌20日は、そのラティーナの誕生日。ということで都内の店で簡単なバースデイ・パーティーが行われた。

 

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■関連記事

 

ラジオの聴き起こしでおなじみのみやーんZZさんのマックスウェルのライヴ前日(2016年8月18日)に渋谷で行われたトーク・イヴェントの書き起こし。マックスウェルが30分にわたっていろいろお話しています。

 

マックスウェル 来日トークセッション with 高橋芳朗・渡辺志保

2016/8/19

http://miyearnzzlabo.com/archives/39163

 

余韻冷めやらず、セットリストで感動の反芻。

 

■セットリスト

Setlist : Maxwell, August 19, 2016 @ Studio Coast, Shinkiba, Tokyo

 

( )=denotes original artists,  (1)=source album: list is under

 

Show started 19:11

CD  Kiss – Prince

01      The Urban Theme (1)

02      Dancewithme (1)

03      Everwanting: To Want You To Want (3)

04      Badhabits (5)

05      Loveyou (5)

06      Hostage (6)

07      This Woman’s Work (Kate Bush) (2)(4)

08      Lifetime (4)

09      Lake By The Ocean (6)

10      1990x (6)

11      Sumthin’ Sumthin’ (1)

12      Get To Know Ya (4) (including a riff of Payback - James Brown as sampling)

13      Fortunate – a riff of Adore (Prince) (from Movie “Life”), 1999)

14      Let The Church Say Amen (Andrae Crouch)

15      Ascension (Don’t Ever Wonder) (1)

Enc.  (Pretty Wings) (5)

Show ended 20:32          

 

■メンバー

 

Maxwell (Vocal), 

Daryl Howell (Drums)

Derek Hodge (Bass)

Hod David (Guitar)

Shedrick Mitchell (Keys, Organ)

Travis Sayles (Keyboards)

Keyon Harrod (Trumpet, Chorus)

Kenneth Whalum III (Sax, Chorus)

La Tina Webb (Chorus, Vocal)

 

(2016年8月19日金曜、新木場スタジオ・コースト、マックスウェル・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Maxwell

 

1      Urban Hang Suite (1996)

 

https://goo.gl/ZnbNrI

 

 

2  MTV Unplugged (1997)

 

https://goo.gl/40tFzD

 

 

3  Embrya (1998)

 

https://goo.gl/6iikWa

 

4)  Now (2001)

 

https://goo.gl/qYb7xo

 

5)  BLACKsummer’sNight (2009)

                      

https://goo.gl/XyoM9z

 

6)  blackSUMMER’Snight (2016)

 

https://goo.gl/YgZvMM

 

 

ENT>LIVE>Maxwell

ENT>ARTIST>Maxwell