マーヴィン・ゲイ命日~ベルギー時代のデモテープが発見される | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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マーヴィン・ゲイ命日~ベルギー時代のデモテープが発見される

 

 

【Marvin Gaye’s Demo Tape Discovered During Belgium Days】

 

発掘。

 

マーヴィン・ゲイのベルギー逃避行時代のデモテープが発見。

 

BBCが報道→

https://x.gd/SM7cL 

 

ベルギーのミュージシャン、故チャールズ・デュモリンの遺族がマーヴィンが彼の自宅に居候していた時期に、スタジオでデモをカセットに録音。それらが出てきた。約30本のカセットテープに60曲以上のデモ曲が残されている。多くは完成してはいないようだが、完成に近い曲もある。「セクシュアル・ヒーリング」に似た曲もあったという。

 

マーヴィンのベルギー滞在は1979年~1982年頃の間。現時点ではこのテープの所有権はデュモリン家遺族にあるが、著作権はマーヴィン側にありそう。当然、発売までには今後マーヴィン遺族とデュモリン家遺族で話し合いが必要になる。

 

同家はデモの他、マーヴィンのステージ衣装なども保有している。カセットがこれだけあれば、最近ビートルズのデモカセットから声を抜き出し「新曲」が編纂されたように、声だけ抜き出して、「新曲」として完成させることも可能だ。同時に歌詞のノート、メモなどもあるという。

 

この記事によれば、ベルギーでは、たとえ盗品でも30年所有していれば所有権を主張できるという。時効があるためだ。ただし、著作権には時効はない。そのため、カセットテープ自体の所有権はデュモリン家にあるが、そこに録音されているマーヴィンの声や楽曲の「著作権」のようなものは、マーヴィン遺族に帰属することになる。

 

したがってこのデモテープがなんらかの編集作業を経て、世にでるまでには幾多のハードルがある。

 

デュモリン家は、マーヴィンのステージ衣装なども「寄贈された」として保有しており、これらの所有権は彼らにありそうだ。

 

BBCの記者はこれらのテープの一部を聴いているという。

 

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独自取材。

 

マーヴィン・ゲイのカタログを編纂しているユニヴァーサルのハリー・ワインガーに尋ねたところ、「まだこのテープは聴いていない。『完成した、完成に近い』といっているのは誰か、聴いてみなければなんども言えない」という。

 

また、同じくマーヴィン・ゲイの伝記を執筆し、ベルギー時代にしばらくマーヴィンと時をともにしたデイヴィッド・リッツは「彼らが何を持っているかまだよく知らない。素晴らしいものかもしれないし、まったく価値がないものかもしれない。現時点では何かをいうのは早すぎる。なにかがわかるのを楽しみにしたい」という。

 

デイヴィッド・リッツは、マーヴィンがベルギーに逃避行している時期に取材に出向き、そこで当時でたばかりのドラムマシンで作っていたデモテープの段階だった「セクシュアル・ヒーリング」の歌詞を書くのを手伝い、曲のクレジットにも名前が載った。そして、この「セクシュアル・ヒーリング」のデモを聴いた当時のCBSのA&Rディレクター、ラーキン・アーノルドは、これでヒットを確信し、その時点でモータウンに残っていた契約を買い戻し、CBSとマーヴィンの契約を結び、奇跡のカンバックを演出した。

 

ただし、デイヴィッド・リッツもこのチャールズ・デュモリンという人物とは面識がないようだ。

 

大きな疑問としては、マーヴィンが『セクシュアル・ヒーリング』のアルバム(ミッドナイト・ラヴ)を作るときに、これらのデモテープのことは考えなかったのか、ということ。単純に忘れていたのか、アルバムにいれるほどの作品ではなかったと思っていたのか。いずれにせよ、まったく現段階ではコメントもできない。

 

我々がこのデモテープを聴く日が来るにはかなりの日数が要されると思われるが、いい形で陽の目をみればいいと思う。

 

マーヴィン・ゲイは2024年4月1日で死去からちょうど40年、また翌4月2日はマーヴィンが生きていれば85歳の誕生日になる。

 

新情報でればさらに紹介します。

 

ENT>MARVIN GAYE>Demo-tape in Belgium

 

OBITUARY>Marvin Gaye>April 2, 1939 – April 1, 1984, 44 year old