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2014年 春公演『楽屋』特別ブログ!

演劇集団アクト青山春公演『楽屋 ~鏡の国より愛を込めて~』
特別ブログです。
アクト青山が総力を挙げて上演するこの作品をいち早く知ってもらうため、
出演者はもとより演出家、制作にいたるまで毎日更新中!!!!!!!!!

演出の小西です。
『楽屋』終わりました。

今回、本当にたくさんのお客様にご来場頂き、たくさんの温かい言葉を頂き、本当に幸せでした。感謝してもしきれないので、次回作も必ず面白くします。それが僕の感謝であり、生き方です。

そして、栗原はじめ、室越、W井上、広瀬、蔭山、竹中、やまなか、額田、よしざわ、千葉、浅野、吉田、相楽、水野に至るまでめちゃくちゃ働いてくれた皆、すげー嬉しかったよ、すげー心強かったよ、ありがとう。

で、役者のみなさん!
本当にありがとう。すげー面白かった!
すげー楽しめた!あっぱれな毎日を本当にありがとう。

さて、作品後記です。
何から書いたもんかな。
順番にいきますか。

【鏡の謎】
鏡を吊ったのは不安定さのため。揺れて揺らめく鏡は女優たちの不安定な心持ちを表すために作りました。思いもよらぬ表情や、狙ったかのような横顔を映し出す事で、二度三度観て下さるお客様に飽きない楽しみを提供したかった。それには芝居は安定的に創り上げ、副作用に鏡の効果が必要でした。
また、合わせ鏡に映る顔の何枚目かがデスマスクという迷信が好きで、死人が出るこの楽屋にはピッタリなんじゃないかと思って複数の鏡を用意して、様々に映り込む姿を観たいと考えました。

【衣装の謎】
『かもめ』の好きな台詞にアルカーヂナの「衣装代だってばかにならないわ!」というのがあり、女優さんにとって衣装は命みたいなもんです。だから、その命を舞台の中心に積み上げ、散って行った沢山の女優の命をそこに作り上げました。つまり衣装溜まりは、女優の命の結晶であり、それは一つ一つが個性でありクロニクルでありながらそれらは全て過去だという意味でした。女優Cの独白場面で彼女たちが衣装を投げつけてりしていましたが、それは女優が様々な女優の魂を乗り越え、投げつけ、今の自分を裸で取り戻すための儀式でした。またあの衣装溜まりの中にはウチが上演した、桜の園、かもめ、三人姉妹、ワーニャ伯父さんの衣装があり、演劇集団アクト青山のクロニクルと集大成でもあるといういみでした。
その上で表面を各チームのカラーにすることで、来場のお客様に色を意識して頂くようにしました。

【時計の謎】
時計は二つ。
壁に掛けられた文字盤のない時計。
これは9時36分を指しています。
この時間は長針と短針の差が72度で、72は最小のアキレス数で、なんらかのミニマムを表すためにこの時間にしてあります。ただ表面的には文字盤がないため、確かな時間は分からずそれが時の歪みを表している、というのが僕の観念でした。
次に、花道に描かれた針のない時計。しかも文字盤は数字が正しく並んでいるわけではないクレイジーアワー。これは時の観念、数字の概念を根本から否定することで、むしろ人間の時間を超えた思念、情念を表すために作った花道でした。今回は情念とかを役者の演技に重点を置くのでなく舞台そのもの、小道具や音楽に預けて観やすくすることが大きな目標で、それを実現するために花道は必要でした。

【花道の謎】
花道が何故あるか。この答えは容易ではないものです。一番最初に考えたのは、舞台でもなく楽屋でもないある場所という観念でした。特に、幕開きの本編『かもめ』が上演されていて、Bの妄想につながり、それが妄想として打ち破られ、オープニング音楽と共にCとDが対峙する。時間と場所を超えたある種の領域。それが花道でした。だから、マクベスも仙太もかもめも、彼女たちの妄想の産物、思念と熱情の権化として花道で演じられ、それぞれにかかる音楽はそのイニシアチブを握った女優とお客様だけに聞こえる脳内再生の音楽でした。つまり僕の中で劇中劇は楽屋遊びでなく、真剣な彼女たちの生き様だったというわけです。

【数字の謎】
時計の文字盤をめちゃくちゃに並べたのは時間とその概念を現世に置かず、永遠であることの表現でした。

11は何故赤いか?
それは鉄道の着色で11は赤、しかも通称がスカーレット。情熱。その意味で、文字盤の11は赤くしました。

8は何故青いのか?
そもそもブルーなら海、アズーロなら空というのが僕の観念でして、空なら無限、ということで∞として8をアズーロにしました。

5は何故黄色いのか!
僕が五黄土星だからです(笑)
黄色は可能性の色。僕の運と可能性にかけて黄色にしました。

【鳥籠と蝋燭】
これは、謎のままにしましょう。
想像力に任せます。

さて。
これでもう、当分は『楽屋』ともお別れ。
何だか長い間この作品について考えて来た気がします。
そして、トリプルキャストなんて荒業も当分は無理(笑)
僕はいま、身も心もボロボロです。
それを回復させながら、英気を養い、実力を付け、いよいよ劇団作品としての在り方に迫りたいと思います。
今回の『楽屋』の成功は僕に確かな自信を与えてくれるものでした。

では、次の作品でお逢いしましょう。
乾杯!
僕らの終わりなき稽古に!

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