岩見沢で見かけたコスモス…!もう秋?

帽子のターンアラウンドマネージャー札幌を行く - 認定事業再生士のブログ-ipodfile.jpg


 北海道に短い夏がやってきました。といっても気温は20度台。過ごしやすい気候です。

 夏の気温は例年こんな感じですよね。ということで今日は北海道にいると「当たり前」と考えがちだけれども日本の常識からするとそうではない、というところを列挙していきたいと思います。

1.日本の労働力人口は1997年頃から減り始めていてデフレ経済の原因では?とされていますが、北海道の労働力人口はそのずっと手前から減り始めている。

2.北海道は都道府県別にみると老齢化が進んでいる地域に入る。それをあまり感じないのは札幌市に道内の若年層が集まる形で札幌が比較的「若い」街だから。しかし、これが落とし穴で、札幌以外の町の老齢化がさらに進むことでそもそも、若者の絶対数が激減する。その結果道内各地から若者が集まる、といういまのパターンが崩れてくる。その先には道内の市町村よりはるかに速いスピードで老化する札幌の姿がある。

3.道内金融機関の貸出金利は低い。単純平均で2%を下回っており、低金利化が進んでいる。銀行からすると表面金利(いわば売値)が下がり続け、それにつれて利ザヤ(粗利益)も減っている状況。国債関連の収益がなければ非常に苦しい状況に置かれている。

4.道内企業の構成を見ると、札証上場など一握りの上場企業があり、その下の中堅企業がほとんどなく、中小零細企業の割合が高い。他の都府県だと、その地のトップ企業以下、きれいなピラミッド型になっているのだが、道内の場合はいびつな形になっている。

5.イタリアなど他の国を見るとその国の北が工業地帯、南が農業地帯となっているケースが多く、富める北、貧しい南、という構図になるが日本の場合は逆。北海道は地理的には北にあるがこれといった製造業が根付かず、農業地帯のままになっている。

6.経済からスポーツに至るまで北海道は「今一つ」という感覚があるが、北海道は人口ではデンマーク並、GDP規模ではポルトガル並の規模がある。コンサドーレ札幌をオール北海道選手のチームに変えでも単独でワールドカップ出場を狙うくらいのチームになっても不思議ではない。

7.北海道には、食糧、水、水産物、肉、石炭と天然ガスがあり、独立国家になってもやっていける地力がある。(実際、独立するためには軍が必要になるが…)

8.日本全体では名目GDPはさほど落ちていない(=乱暴にいうと各企業の売上を合計した数字はそんなに変動していない)が、道内の名目GDPは10年で11%落ちている。つまり、売り上げも給料も10年前の1割減であたり前、ということになる。また、道内の総貸出金額も減少しており、道内経済は縮小過程に入っている。北海道信用保証協会の付保額も2年前から減少に転じている。

9.道内に限らないが社長の高齢化が進んでいる。次代の社長に承継するか、M&Aで会社を売れなければ相当数の会社が廃業(実質的な倒産)に追い込まれる。向う5年-10年で承継がらみの廃業が激増する。

10. 北海道知事選、札幌市長選では現職が負けたことがない。つまり、知事や札幌市長が入れ替わるときは前職が引退し、新人同士が争うときだけ。

 北海道の中小企業再生はこれら経営環境を正しく把握しながら進めていく必要があります。

 私が学生だった頃とは全く隔世の感があります。これからも状況はどんどん変化していくことになると思います。