さて、人を安心・安定に導く「セロトニンホルモン」を脳内に分泌させる「セロトニン5」(「安心7支援」とほぼ同じ)の5つの接し方とは、どんなものなのでしょう。それは、
①きちんと見る
②微笑む
③優しく声をかける
④褒める
⑤優しくふれる(スキンシップ)
の5つです。なんだか、今まで聞いたことがある言葉があります。これまでのブログの中で、
①は、アイコンタクト
②は、相手の「困った子だ」という冷たい表情に敏感な自閉症を安心させるための微笑み
③は、怒鳴って萎縮させないための穏やかな話しかけ方
④は、小さなことから褒める(「横断的評価」と「縦断的評価」)
⑤は、抱っこをはじめとしたスキンシップ
としてお話ししてきたことです。実は、この5つの支援で子どもに接すると、子どもの気持ちが穏やかに安定するというのが「セロトニン5」なのです。

   結論から言うと、子どもが反発するのは、大人の「ちゃんとしなさい!」という表情や雰囲気が余計な刺激になっているからです。以前「子どものやる気スイッチをOFFにする方法」で紹介した「(きちんと)させようオーラ」とは、この怖い表情や雰囲気のことです。繰り返しになりますが、自閉症障害の子は、相手の「困った子だ」という突き刺さるような冷たい表情に敏感に反応します。ということは、もちろん自閉症の傾向を持っている健常の子どもたちも同様のことが言えるのです。
   つまり、今回の「セロトニン5」は、子どもたちが反発する大人の「ちゃんとしなさい!」という怖い雰囲気やオーラを子どもに伝えず、逆に安心させるための支援方法なのです。
   想像してみてください。例えば、子どもが「ただいま!」と帰った時に、(何かしながらの片手間でぶっきらぼうな「おかえり」ではなく)母親がきちんと子どもに視線を向けて微笑みながら、優しい口調で「おかえりなさい」と迎えるのです。その時に子どもが母親から感じるのは「させるオーラ」などではありません。いうなれば「安心オーラ」です。そんな安心できるオーラの中では子どもの反発心は生まれにくいので、(「今日こそ早く宿題やりなさいよ!」ではなく)「さあ、すぐに宿題できるかな?」と笑顔でやさしく言われたら、きっと「は~い!」と答えたくなるでしょう。すると母親は、すかさず「やる気いっぱいだね。えらいね。」と褒めます。褒められた子どもは、いい気持ちになってすぐに宿題に取り組み始めるでしょう。それを見た母親はさらに「お、もう始めてるの!えらいえらい」と頭をなでます。

   さて、この空気感伝わったでしょうか?この至る所に「セロトニン5」の手法が散りばめられていますが、この「安心オーラ」の中では、子どもの余計な反発心は生まれません。かえって、母親から優しく「できるかな?」と言われると、やる気を出すはずです。なぜなら子どもは、いつも"「セロトニン5」使い"の母親と接していると、自分が頑張った後に母親から返ってくる言葉は"褒め言葉"だろうと分かっているからです。