【今回の記事】
島根の小6女子、修学旅行先のホテル浴室で溺死

【記事の概要】
   島根県出雲市教育委員会は30日、同市立小学校6年の女子児童(11)が29日に修学旅行先の広島県廿日市市のホテル浴室で溺死したと発表した。
   同校は旅行前、女児が入浴中に体調に異変があったと保護者から聞いていたが、浴室では女児に対する特別な配慮をしていなかったという。
 発表によると、29日午後9時5分頃、女性教諭(48)がホテルの浴槽にあおむけで沈んでいる女児を発見。女児は搬送先の病院で死亡が確認された。女児は約20分前に他の児童13人と一緒に入浴し、教諭は浴室内を1度見回ったが、照明が暗く、他の児童を含めて異変に気付かなかったという。広島県警は検視の結果、事件性はないと判断した。
 女児の保護者は旅行前、6月に自宅で入浴中に意識がもうろうとしたことがあったとして、学校側に配慮を要望旅行は市内の別の小学校と合同で行われており、浴室を見回ったのは別の学校の教諭だった


【感想】
   完全な学校側の過失である。その過失は2つある。
   一つ目は、入浴後の見回りのあり方である。記事の中の、「照明が暗かったために異変に気づかなかった」という証言は到底信じ難い。いくら照明が暗かったとはいえ、多人数の子ども達が入浴活動を行なった場所なのである。きちんと浴室の中に入って見回っていたのなら、当然異変に気づくはずである。もしかしたら、浴室の入り口から浴室内を簡単に見渡しただけで済ませたのかも知れない。何れにせよ、点検の仕方が甘かったと言わざるを得ない。(この事は、プール指導においても同様である)ちなみに、どちらの学校の教師が点検していたかということは結果には影響はしない。なぜなら、「浴室では女児に対する特別な配慮をしていなかった」ということであるから、溺れた女児が在籍した学校の教師が点検していても、同じ結果が予想される。大切なのは、どちらの学校か?ということではなく、点検した教師が、きちんと点検する“用心深さ”を持っていたか?ということであった。
   二つ目は、女児に対する配慮の欠如である。記事からも分かる通り、「女児の保護者は旅行前、6月に自宅で入浴中に意識がもうろうとしたことがあったとして、学校側に配慮を要望」していたにも関わらず、「浴室では女児に対する特別な配慮をしていなかった」。この点が最大の過失であった。
   問題は、保護者がどのようにして学校側に配慮を求めていたかである。担任に直接電話で伝えたのか、それとも、旅行の事前調査書に記入したのか。前者であれば、完全に担任のミスである。後者であれば、調査書を回収した担任の他に、養護教諭の責任も問われる。担任が回収した調査書は担任が目を通した後、養護教諭の元へ集められ、養護教諭が全員分の調査書に目を通し、旅行の打合せ会で情報提供するからだ。更に、その旅行の打合せ会さえ設定していなかったとすれば、学校長の責任になる。

   今回は、限られた情報の中での推測しかできなかった。しかし何れにせよ、学校側の単純なミスであることには変わりはない。そのような単純ミスによって一人の子どもの尊い命が失われたのである。二度と、二度とこのような過ちを犯してはならない。普段の学校生活から飛び出して行う活動に対しては、十分な注意を払う必要がある。