EUとの貿易投資協定即ち日欧EPAが、7月5日の閣僚協議で、6日のEU首脳協議で大枠合意に達した。今後、詳細の詰めを行い、協定署名後双方の批准を経て2019年に発効する見通しとなった。

第24回日EU定期首脳協議 7月6日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/ep/page1_000351.html
岸田外務大臣とマルムストローム欧州委員(貿易担当)との会談(昼食会)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ie/page4_003105.html
セシリア・マルムストローム欧州委員(貿易担当)のTwitter

https://twitter.com/MalmstromEU/status/882588257493626881

 

外務省、農水省、財務省発表の発表資料から大枠合意の概要

 

日本への輸入品
 農畜産物において国家貿易或いはそれに準ずる関税割当制度に該当する米、麦、麦芽、砂糖、でん粉、チーズを除く乳製品は、関税撤廃にはならず現行の日本の制度を維持している。譲歩したのは、一部の品目の無関税の輸入枠の割当増であるが、輸入量全体量から見ればわずかな量である。議論になったのは、チーズの関税であり、関税割当枠内を対象とし段階的に関税を引き下げ16年後に無税になるソフト系と、16年後に無税になるハード・クリーム系が合意された。日本の酒類に対するEUの輸入規制(醸造法、容器)の撤廃とGI保護を条件として双方のワインの関税は即時撤廃となった。

 工業製品は、100%無税(現在77.3%、発効時96.2%)、最長16年後に無税になるのは皮革・履き物。

 

EUへの輸出品
 農林水産品 全ての品目で関税撤廃。
 工業製品は、100%無税(現在38.5%。発効時81.75)自動車(現10%)は8年目に無税、カラーテレビ(現14%は6年目に無税)。

 

 ルール分野については、目次をみればTPP協定に類似しているが、正確な理解は条文の開示が必要。ISDSについても協議中と書かれていて、どのような仲裁ルールになるか不明。

 

日欧EPAの全体の合意結果は、外務省の7月6日発表ファクトシートに書かれている。

 

日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート
Ⅱ 市場アクセス交渉の結果
1 物品市場アクセス
2 物品以外の市場アクセス
(1)サービス
(2)自然人の入国及び一時的な滞在
(3)投資
(4)政府調達
Ⅲ ルール分野の概要
前文,総則,物品貿易一般ルール,貿易救済,原産地規則,税関・貿易円滑化,衛生植物検疫(SPS)措置,貿易の技術的障害(TBT),サービス,投資,電子商取引,資本移動・支払い・移転,反トラスト,国有企業,補助金,知的財産(地理的表示を含む),政府調達,コーポレート・ガバナンス,貿易と持続可能な開発,農業協力,規制協力,中小企業,紛争解決,最終規定
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000270758.pdf

 

農林水産物の交渉結果(農水省所管品目)
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/f_eu/index.html

 

酒類、たばこ、塩などの交渉結果(財務省所管品目)
http://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/international/epa/20170707.html

 

NHK解説 7月7日
「日欧EPA 大枠合意で何が変わる?」(時論公論)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/275150.html

 

さいごに

 合意の内容は、日本にとってプラスの方が多いと感じている。距離的問題や日本の国家貿易で守られることから、日本の農畜産業への影響は深刻にならない。一方、EUの自動車と自動車部品の関税撤廃は、日本国内の生産と雇用を増やすことになる。(原産地規則にもよるが)