今いる場所から離れて遠くへ行きたかった。
目的は場所ではなく、行為であった。
台北郊外へ出るために1時間かけて電車に乗り、さらにそこからローカル電車に乗り換えて20分、この場所に日本人の姿は少ない。
周りを見渡すと中国語や韓国語が溢れていた。
完全にアウェイな状況に立たされるのは、嫌いではない。
一つの挑戦と思い、奮い立つことができる。
2時間前...
台北駅で高速鉄道の切符を買いに窓口へ向かう。
行きたい駅を指差して
『ワン、チケット、プリーズ!』
という超簡単な英語で話しかける。
駅員さんは紙を取り出して、時刻と値段を書き込んだ後、指を差しながら
『どの電車に乗る?』
というニュアンスの中国語が返ってきた。
1番早い時間のチケットが欲しいことを伝えて難なく購入。
電車の旅は久しぶりなので、普段買ったことがない駅弁を購入。
台湾にも駅弁があるんだね。
少しだけ多めにお金を払い、確実に座ることができる指定席を選んだのでゆっくりと小説を読みながら、駅弁を食べ、移りゆく景色を楽しもうとしていた。
だけど、ボクの神様はそうはさせなかった。
なんで?
見知らぬ子供がボクの座席の前を占拠し始めた。
親は注意するのかなと思っていたら
『いいとこ、見つけたじゃん!』
と言わんばかりに、そのまま座り続けるように指示。
時折、子供がボクに話しかけてくる。
もちろん、中国語だ。
『わからん、わからん。』
弁当をチラチラと見て何か言ってたので、目の前で駅弁を食べた。
食べるタイミングはもっと後にしたかったが、そういう状況だったので仕方なかった。
食べるタイミングはもっと後にしたかったが、そういう状況だったので仕方なかった。
駅弁を食べながら、子供は僕のスネに向かってデコピンをしてくる。
痛くはないが、超気になる。
頼むから、辞めてくれ。
こんな旅にする予定はない。
また悲劇が起きた。
前のスペースが空いて1分後に、
『あんたも此処に座りなさい。』
の絶対的な瞬間をボクはカメラに収めることができた。
予想できる状況なんて、ない。
明日何が起こるかわかっている状況に対する挑戦だ。
英国・イングランド編
地中海・マルタ共和国編